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2007年に創設100周年を迎える立教大学文学部は、2008年度までの3カ年にわたる記念事業を、この4月にスタートさせた。「文学部」のイメージを一変させそうな、数々の多彩で刺激的な公開イベントが開催される。文学部の上田信教授(広報担当)に、その内容と意義を伺うとともに、同学部の100年を振り返っていただいた。
文学・文化を様々な視点から見直す多彩なイベント
立教大学文学部の創設100周年記念事業には、国際シンポジウムや国際会議など文学と正面から向き合う企画だけでなく、ユニークで実験的なアイデアをいろいろ盛り込みました。
たとえば、企業トップをお招きする「経済人から見た文学部」(シリーズ企画)、専門医による「アンチエイジングと文学部(仮題)」、豊島区長に口火を切っていただく予定の「地域コミュニティと文学部」(シリーズ企画)、あるいは、映画監督、詩人、識者など様々なジャンルの表現者による講演会。文化財でもある立教の建物のすぐれた音響効果が体験できるコンサート。さらに、ちょうど100周年にあたる来年度、池袋移転90周年にあたる2008年度と、従来から協力関係にある「江戸川乱歩邸」などの外部団体や地域コミュニティも積極的に巻き込みつつ、より内容を充実させていく予定です。そしてこれらのイベントは、原則としてすべて、一般の皆さんに自由にご参加いただけます(一部有料)。実際、5月に開催した映画監督のヴィム・ヴェンダース氏による作品上映と講演は大きな注目を集め、立ち見をお願いするほどの盛況でした。
大学が、学生だけでなく、広く市民に対して様々な情報を発信していく責務を負っていることは言うまでもありません。とくに文学部は、最も市民文化に近くあるべき学部といえるでしょう。
そこで100周年記念の一連のイベントでは、市民文化の自由でおおらかな「楽しみ」を、市民とともに見直すということを一つのテーマと考えています。「楽しみ」といっても、ちまたにあふれる受身で表面的な楽しみではなく、「知り、学び、創る」ことに根ざした、よりポジティブで深い楽しみ――それを求める空気が、この100周年記念事業をきっかけに、立教大学からうねりのように広がってくれたらと願っています。
そのためにも、興味のある催しに、まずは足を運んで、それを「楽しんで」いただけたらと思っています。また、大学受験を前にした高校生諸君には、オープンキャンパスとは違った形で、立教大学を「体感」できるよいチャンスになるのではないかとも考えています。
文学部100年の歴史に今年新たな1ページが
アメリカ聖公会の宣教師により、聖書と英語を教える私塾として1874年に創立された立教学院は、1907年、「専門学校令」に基づく「大学」として新たな出発をします。その際、最初に設置されたのが「商科(後の経済学部)」と「文科」、つまり本学部でした。創立以来の伝統である「英語」と「聖書」を教育の核として受け継いだ文科は、まさに立教大学の「起点」となった学部といってよいでしょう。
その後、文科・文学部は、教育内容を多様化させるとともに学科を増設、さらにはそこからいくつかの新しい学部を誕生させて、大学全体とともに発展してきました。
大きな転機が訪れたのは1969年。それまで、学科ごとに専門性を追求する、いわば「蛸壺」的教育を行なっていた本学部は、学生の強い要望に教職員が応じる形で、学科の垣根を越える新しい教育の形を造り出したのです。それは、立教の目指す「リベラルアーツ(教養)」教育に不可欠な、広い視野の形成に、大いに貢献する改革でした。
以来本学部は、教員が専門外のテーマを学生と同じ目線で教える「共通科目」、複数の教員が合宿形式で教える「集中合同講義」、さらには小論文による入学試験など、斬新なアイデアを次々に導入。それらは立教全学で発展的に取り込まれていっただけでなく、他大学の多くが追随することになった、先駆的試みでした。
そして今年度、こうした歩みにさらなる一歩を加えるべく、本学部は大規模な改革を実施しました。新たに「文学科」を創設、その中に、従来の「日本文学」「英米文学」「ドイツ文学」「フランス文学」の各学科を「専修」の形で配置し、従来の比較文芸・思想コース(3年次からコースに編入)を拡充・発展させて「文芸・思想専修」(1年次から所属)を新設しました。一方「史学科」は、従来の「日本史」「東洋史」「西洋史」「地理」の各コースを廃し、代わりに「日本史」「世界史」「超域文化」の3専修を配置。この改革により、学問の枠にとらわれない研究・教育を目指す本学部の姿勢は、より明確に具体化されたと考えています。
新しい文学部には早速多くの優秀な学生が集まってくれました。彼らとその後輩たちが、これまで以上に幅広い知識と複眼的な視野を身につけて社会で活躍し、本学部の新たな歴史を創っていってくれることを期待しています。
文学部が社会に対して果たす役割を見直す機会に
このように、立教大学の発展に大きく寄与し、さらには大学教育全体にも影響を与えながら歴史を刻んできた本学部ですが、一方でその存在意義は過小評価される傾向にあります。これは、立教の文学部に限ったことではありませんが、大学で文学を学ぶことは、実社会に出るにあたってあまり役に立たないのではないか、と考える人は少なくないのです。
もちろんそれは、全く間違っています。確かに文学部では、具体的な「職業」の中で使えるようなスキルを教えることはしません。しかし、そうしたスキルは、実際に仕事に就いてからでも十分に身につけることが可能です。
それに対して、いかなる職業・立場の人間にも求められるリベラルアーツ、すなわち人間に対する深い理解や倫理観といった教養は、学ぶための豊富な時間と、新しい考え方を吸収する柔軟な頭脳のある学生時代でないと、なかなか身につけられません。そして、リベラルアーツの基盤である文学・哲学の古典、あるいは歴史などを集中的に学べる場が、文学部なのです。
耐震偽装、ライブドアの事件を持ち出すまでもなく、日本人の教養や倫理観が社会のあらゆる場面で問い直されている今、大学教育における文学部の存在意義はますます大きくなっているのではないでしょうか。
今回の100周年記念事業は、これまで立教大学文学部が社会に対して果たしてきた役割の大きさをあらためて確認し、またこれから果たすべき役割を探りつつ、それを広く社会にアピールすることも、大きな目的の一つとなっています。
多くの方にご参加いただき、本学部について忌憚のないご意見をお聞かせいただければ幸いです。
うえだ まこと(Ueda Makoto)
1957年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1989年立教大学文学部専任講師から1997年より教授。NHK教育番組「高校講座:世界史」に講師として出演。文学部100周年記念事業実行委員会事務局長。専攻は、中国史(明・清時代)、アジア社会論。 |
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「団塊の世代と<セカンドステージ市民大学>」
経営学部教授 笠原清志
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「職業だけでなく人生の「キャリア」」
キャリアセンター事務部長
加藤敏子 |
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