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立教大学経済学部は2007年、文学部とともに創設100周年を迎える。同学部が今年度よりスタートさせるその記念事業は、大学にとっても、そして社会にとっても意義のあるものになりそうだ。小西一雄経済学部長に、同学部の100年を振り返っていただくとともに、記念事業の概要をうかがった。
公開シンポジウムも経済学部ならではの切り口で
立教大学経済学部の100周年記念事業は、単なるお祭りではなく、この節目にあたって伝統を自ら総括し、将来に向けた課題を見つけ出すという重要な使命を担っています。
第一の柱は、経済学部100年史の編纂。これはまさに「総括」の作業であり、地味ながら今回の事業の中心的意義を持つものととらえ、大いに力を入れています。相当の予算と人員をさいたプロジェクトを立ち上げ、すでに作業を進めており、綿密な調査に基づく本格的な学部史が来年度に完成する予定です。
もう一つの柱は、記念奨学金の創設。学部生から論文を募集し、審査の上、優秀者3名程度に給付します。基金を募りつつ、来年度から開始しますが、学業のよい刺激になるのではないかと考えています。
三つめの柱は公開シンポジウム、講演会の開催です。すでに実施したものもありますが、秋以降もバラエティに富んだ内容の企画を準備しています。
中でも注目を集めそうなのは、来年1月13日(土)午後2時からの、作家・高杉良氏による講演です。企業や経済を題材にした小説で知られる氏に、メディアは経済をどう伝えてきたかというテーマでお話ししていただく予定です。作家ならではの視点から、興味深い分析を伺えるものと期待しています。
また12月には、戦時中に「戦争太郎」の名で知られ、本学の卒業生でもある中国人の曹石堂(そうせきどう)氏を迎えてのシンポジウム「中国のナショナリズム・日本のナショナリズム」を開催、ここでもタイムリーな議論の場になるのではないでしょうか。専門的な内容のものとしては、経済学者・ケインズの現代的意義を問い直す国際シンポジウムも開催します。
受験生、OBをはじめ、一般の方々に多数ご参加いただき、知的好奇心を満たしつつ、本学部の活動の一端に触れていただければ幸いです。そして、実際の100周年にあたる来年度は、さらに企画を充実させる予定ですので、ご期待いただきたいと思います。
「主流」を批判の目で見る姿勢を貫いて
英語と聖書を教える私塾であった立教学校が、1907年に立教大学として新たな一歩を踏み出したとき、最初に設置されたのが「商科」すなわち本学部と、「文科」すなわち文学部でした。
本学をはじめとするミッション系の学校は、キリスト教布教の前提となる「市民」の育成、つまりリベラルアーツ教育を目的としていましたが、よき市民は教養だけでなく、社会生活を行なうための技術も当然身につける必要があります。それを教える、いわゆる「実学」を本学部が担い、リベラルアーツの核となる文学・哲学などを文学部が担うことで、バランスのとれた理想的なリベラルアーツ教育を実現する。それが、創設時の発想だったのではないかと私は考えています。多くの私立大学が「法科(法学部)」から出発したのに対し、立教大学は商科を選択しました。このこと自体が、本学の個性につながっているといえるでしょう。
本学部はその歴史を通して、理論と歴史とを重視する、重厚なアカデミズムに基づく教育を行なってきました。そして常に時々の時流に安易に迎合することのない「批判的精神」を大切にしてきました。新しい時代のニーズを受け止め、常に変革を心がけながらも、この「批判的精神」を貫いてきたことは本学部の大きな特色です。
2002年には、現状をより生き生きと分析する「会計ファイナンス学科」を新設するなど、時代の要求に応じた改革を実施してきましたが、こうした基本的な姿勢はむろん変えていないのです。
立教大学創立以来の卒業生の約3分の1は本学部OBが占めています。マスコミの世界などで目覚しい活躍をする方も少なくありませんが、優秀な経営者も数多く輩出しているのです。本学部出身者が組織している「立教経済人クラブ」は、IT産業の隆盛以来、ますます活気にあふれているようです。
また、研究者を、私学としては多い年4〜5名のペースで送り出し続けていることも、本学部の評価されるべき特徴の一つです。
学部改革の成功をふまえ大学院改革へ
100周年を前にした今年度、本学部は大改革を実施しました。創設時から本学部のもう一本の柱であった「経営学科」が新設の「経営学部」に移り、代わりに「経済政策学科」を設置したのです。
これにより、理論を担う「経済学科」、具体的な分析を担う「会計ファイナンス学科」、それらの成果を政策立案に生かす新学科「経済政策学科」という、非常にバランスのよい3学科体制が実現できたと考えています。また、教員と学生の比率が大幅に改善され、少人数のきめ細かい教育が可能となりました。
そのほかの細かい改革点も含め、まだ数ヶ月の実績ではありますが、新体制は学生にも好意的に受け入れられており、予想以上によいスタートを切れたようです。来年度は入学試験の受験機会を1回増やし、より多くの受験生に目指していただきたいと思っています。
このように学部教育については態勢が整ったといってよい本学部ですが、次の100年に新たな発展を期するためには、大学院教育の拡充が急務となるでしょう。研究者養成、高度職業人養成、資格取得支援の3つの柱で考えていく必要があります。
本学部では今年度から、「特別進学生制度」を発足させます。3年次の秋の時点で一定の基準を満たす学生には、4年次に大学院の単位の一部を取得することを許し、入学から5年間で修士課程まで修了することを可能にする。就職にあたって年齢の高さが不利に働く傾向がまだまだ強いわが国にあって、そのリスクを最小限におさえつつ、高度職業人に必要な知識を身につけさせることを目指した新たな試みです。
また、大学院と学部の連携を密にし、より効率的な教育を行なうため、修士課程までの6年一貫カリキュラムの作成も進めています。もちろん、大学院の拡充は、大学の生存競争が激化している今、立教大学がより高い評価を獲得していくために、学部のワクを超えて取り組まなければならない課題です。本学部は、その先頭を切り、リーダーシップを発揮していきたいと考えています。
今後の立教大学経済学部に、大いにご期待ください。
こにし かずお(Konishi Kazuo)
1971年上智大学法学部卒業。中野区役所などの勤務を経て、1978年3月立教大学経済学研究科博士課程前期課程修了。1981年4月立教大学経済学部助手、現在にいたる。現在、経済学部長・教授。国際金融論、経済理論を中心に研究。最近では「アメリカの対外債務累積とドル問題」や「金融ビッグバン後の日本の経済と金融」などをテーマとした研究をしている。経済理論学会幹事・信用理論研究学会理事。 |
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「団塊の世代と<セカンドステージ市民大学>」
経営学部教授 笠原清志
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「職業だけでなく人生の「キャリア」」
キャリアセンター事務部長
加藤敏子 |
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