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VIA Président

学生自らが考え、行動するボランティア 吉岡 知哉 立教大学総長/飯島 裕基 立教大学ボランティアセンター バリアフリー映画上映学生実行委員会代表(法学部法学科3年次)/荻生 奈苗 立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティサポートセンター東日本大震災復興支援推進室 Three-S【Support Station by Students】代表(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科3年次)/横田 明子 立教大学アイセック(社会学部社会学科4年次)

2011年10月17日掲載

ボランティアに取り組むきっかけ

吉岡 「ボランティア」は立教のキーワードの一つです。ボランティアというと何か特別なことという印象が強いのですが、日本に「ボランティア」という言葉が根づくずっと以前から、立教にはボランティアの精神が息づいています。創立者であるウィリアムズ主教が丹後の寒冷地を伝道地として開拓した伝道の精神や、元本学名誉教授ポール・ラッシュ博士の清里での自然・農村・青年教育を結びつけた活動、チャペル団体を中心とした一連の奉仕活動はその一例と言えるでしょう。
さて、本日はボランティア活動に主体的に取り組んでいる皆さんに、ボランティア活動の魅力や活動を通して得たものについてお話を伺いたいと思います。
まず、それぞれの活動について簡単に紹介していただけますか。

  • 横田 明子さん

横田 1年次から「立教大学アイセック」で活動しています。アイセックは世界110の国と地域にグローバルネットワークを持ち、海外インターンシップ事業を通して、学生同士の交流を推進するNPOで、立教大学アイセックはその一員です。現在池袋キャンパスと新座キャンパスに約60人のメンバーがいて、海外の企業やNGOなどでのインターンシップを希望する学生を送り出す送出事業局と、海外の学生を国内の企業や自治体、教育機関等に派遣する受入事業局を運営しており、私はずっと送出事業局のマネジメントに携わってきました。この夏に約2カ月間、ウガンダの首都カンパラのスラムにあるローカルNGOで、孤児やストリートチルドレンの基礎的な学習や職業訓練をサポートする活動に参加してきました。

荻生 私は、3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに「立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティサポートセンター 東日本大震災復興支援推進室 学生支援局Three-S【Support Station by Students】」(以下Three-S)という団体を仲間と立ち上げました。「コミュニティサポートセンター」は、コミュニティ福祉学部が有する人材などの資源を生かして地域コミュニティと連携することを目的に設立。その中に、学部をあげて東日本大震災の被災地域のコミュニティ再生の支援に当たるため、「復興支援推進室」を開設、支援活動を始めました。Three-Sは、その「復興支援推進室」の中で活動している学生主体の団体です。学生自身が考えたオリジナルの復興支援活動を企画・提案・実施しています。より多くの学生に被災地支援にかかわってもらうために、仲間と知恵を絞っているところです。

飯島  「バリアフリー映画上映会」の企画・運営を担当しています。これは視覚障害や聴覚障害をもつ人にも手話通訳、文字通訳、日本語字幕、音声ガイドを使って映画を楽しんでもらおうという活動です。今年は12月11日(日)に『英国王のスピーチ』を上映する予定です。実現に向け、春から市民団体の方や学内のサークルなどさまざまなグループと打ち合わせを重ねているところです。

吉岡 それぞれの活動にかかわることになったきっかけはなんでしょうか。

横田 中学校の担任で社会科の先生から、今の私たちと同じような生活を送っている人々は世界でもほんの一部であることを教わり、私たちだけ恵まれた生活を送っていていいのだろうかという疑問を持ったのです。大学に入り、立教大学アイセックのチラシを見て途上国のNGOなどでインターンシップができることを知り、自分もぜひやってみたいと思いました。

  • 荻生 奈苗さん

荻生 大震災以来、私は学生として何ができるのかをずっと考えていました。でもスキルもないし、知識もない。学生なので時間も限られている上にお金もないことから、私にできることが果たしてあるのか…と、一歩踏み出せずにいました。
それが4月半ばに避難所調査の外部ボランティア活動の一環で、仙台を中心に東松島周辺の被災地を訪れ、被災者の方と話す機会がありました。そのとき、できる・できないではなく、一人ひとりができることを探して行動していくことが復興支援になるという思いを強くしました。でも東京に戻ってみると、周囲の震災に対する意識が薄れかけていました。そこで、「何かしたいけれど、具体的に何をしたらよいか分からない」という人が、第一歩を踏み出すきっかけとなる活動を支援する団体をスタートさせました。

飯島 大学1年次のときはアルバイトばかりの生活でしたが、あるときボランティアセンターの掲示で、バリアフリー映画上映会の存在と、パソコン要約筆記などのボランティアを募集していたのを見て興味を引かれました。参加してみるととても面白く、ネットワークも広がりました。バリアフリー映画上映会は、昨年までは立教大学ボランティアセンターの主催でしたが、今年から学生実行委員会がより主体的に運営にかかわることを目的に活動しています。

主体的にかかわるから面白い

吉岡 お話を伺っていると、皆さんとても楽しそうですね。しかし活動を続けるにあたっては、大変なこともあるでしょう。取り組んでいて最もやりがいを感じるところと、苦労するところを教えてください。

横田 私が入ったばかりのころのアイセックは、インターンシップ希望者が大勢いるにもかかわらず、彼らをフォローする体制が整っていない状態でした。当時、実際に現地で活動していた人数は年間わずか8名程度でした。そこでまずは、より多くの学生を送り出しできる体制づくりを進めるために、主に3つのことに取り組みました。
1つ目は送り出し人数の目標設定です。現地への送り出し人数を前年度の倍以上に設定し、立教大学アイセックの活動を拡大していくことをメンバー全員の共通認識としました。
2つ目は立教大学アイセックの広報です。大学内で立教大学アイセックを認知拡大するため、説明会の回数を増やし、時間帯も夕方から多くの学生が参加しやすい昼休みに変更しました。説明内容も過去の参加者の体験談や参加可能なインターンシップ先の紹介をメインにし、参加希望者が活動内容に具体的なイメージと興味を持ちやすいものにしました。
3つ目は準備期間中のスケジュール設定です。インターンシップに参加するためには、英語力をつけることはもちろん、アイセックメンバーとの面談や、参加の目的意識を書いた行動計画書の作成が必要です。これらを準備するためにいつまでに何をすればよいのかを明確にし、参加者の不安や準備不足を解消することに努めました。
この結果、昨年は30名以上の学生を送り出すことができました。 改善に取り組んで良かったと実感しました。
大変なことは、メンバーの間でもっと活動したい人、そこまではしなくてもいいと思う人など、取り組みに温度差があることです。お互いに納得した形に調整するのが難しいところです。

荻生 やりがいを感じるのは、なんといっても、私たちの活動で実際に被災地の役に立てることです。被災地に行かなくても東京でできる支援活動や、息の長い復興支援に取り組むための企画をいろいろ考えて、興味のあるプログラムに参加してもらっています。実際、ボランティアに参加した人たちから「自分たちにできることをもっとやりたい」と、意識の変化が見られたときは嬉しいですね。
そのほかにも、社会人や他大学の学生、さまざまな年齢や職業の人など、この活動がなければ出会えなかった人から教わったり刺激を受けたりすることも勉強になります。
参加者のニーズや条件を考慮しながら最適な企画を立ち上げていくことは大変ですが、やりがいがあります。

  • 飯島 裕基さん

飯島 やはり人との出会いが大きなやりがいにつながりますね。学生実行委員会のメンバーは池袋キャンパスの学生が中心ですが、実際の運営にあたっては、放送研究会や新座キャンパスの手話サークルの人たちに音声ガイダンスを手伝ってもらう必要があり、学内のいくつものグループをまとめていかなければなりません。大変ですが、ネットワークが広がっていく実感があります。学外の市民団体と協働する場面も数多く、人生の勉強になっています。また、手伝いを頼んだ友人から「面白かった」という声をもらえると、他の人に影響を与えることができたなとやりがいを感じます。

吉岡 学生生活の中でのボランティアの位置付けはどのようなものですか? 勉強とボランティア活動のバランスをどう考えているか、興味深いところです。

飯島 僕は、学生のときは、興味のあることを積極的に行うべきだと思います。僕自身、ボランティアにも興味がありますし、専攻している中国政治も興味があります。同じように上映会メンバーもそれぞれ興味のあることをボランティア以外にも持っています。だからこそ、何もやらない人が一人もでないように、そして誰か一人がすべてのことを背負い込まないように、メンバー内でそれぞれのスキルにあった役割分担を行い、効率のよい運営を目指しています。その中で、各自がそれぞれ興味のあることを積極的に行うことができればと思います。

荻生 勉強とボランティアは別々のものではなくて、全部つながっていると思います。復興支援も一つの勉強ですし、今やっていることがすべて勉強につながっていて、私にとっては同じ位置付けです。勉強とボランティアは分けられるものではありません。

横田 アイセックの活動には、大学での勉強と同じくらい力を注いでおり、大学生活で自分を形づくってきた重要な存在です。でも、現地との交渉や、派遣国や受入団体、企業について正しく理解するためには、もっともっと勉強していかなければなりません。アイセックの活動をさらに充実させるために、大学の勉強にもヤル気が出てくるという相互関係にあります。

  • 優れた研究者は、優れた教育者でもある 立教大学特任教授:黒岩 常祥/立教大学総長:吉岡 知哉(2月1日)
  • グローバル時代の大学の役割 国際交流基金日米センター所長 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク理事:野村 彰男/立教大学総長:吉岡 知哉(12月16日)
  • 学生自らが考え、行動するボランティア 立教大学総長:吉岡 知哉/バリアフリー映画上映学生実行委員会代表(法学部法学科3年次)飯島 裕基/コミュニティサポートセンター東日本大震災復興支援推進室 学生支援局 Three-S【Support Station by Students】代表(コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科3年次)荻生 奈苗/立教大学アイセック(社会学部社会学科4年次)横田 明子(10月17日)
  • 大学スポーツは人を育て、社会に活力を与える 立教大学総長:吉岡 知哉/立教大学体育会本部委員長(法学部国際ビジネス法学科4年次)荒川 高史/「立教スポーツ」編集部編集長(社会学部メディア社会学科4年次)太田 佳希(8月22日)