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トリノで開かれた冬季オリンピックにおける荒川静香選手の演技は、世界の人々を感動させた。スポーツが観戦する人々を感動させるのは、それが純粋な遊びだからである。選手は自分の知力と体力だけを頼りに苦しい練習を克服して勝利を目指す。結果としての勝利は、他人の力や偶然によるものではないから、人々は勝利者を心から賞賛するのである。選手は、苦しい練習を克服したことが成功体験となって、人間的にいっそう成長する。スポーツの力は偉大である。
オリンピックは、スポーツの分野における世界最大の祭典である。同時に、オリンピックは文化の祭典であることも忘れてはならない。荒川選手は優勝を決めたフリーの演技にイタリアの作曲家プッチーニのオペラ「トゥーランドット」を選んだ。この曲は、イタリアが誇るオペラ歌手であるパバロッティが得意とする曲であって、開会式でその名場面を熱唱すると、会場は大歓声に包まれた。開会式を観賞した世界の人々はイタリアの文化の真髄をも堪能したのである。
2008年には夏季オリンピックが北京で開催される。北京でのオリンピックの開催は、観光大国としての中国の地位をさらに飛躍させることになろう。オリンピックを契機に、世界の人々が改めて観光目的地としての中国の魅力に目を向けるからである。中国は、現在すでに多数の外国人旅行者を受け入れて、1位のフランス、2位のスペインに続く3位の地位をアメリカやイタリアと競っている。
ひるがえって、日本の国際観光の現状は、きわめて低調である。送り出す海外旅行者の数は1680万人(2004年)と、人口が1億2800万人(世界10位)であることを考えると世界の平均的な出国数をやや上回る程度である。しかし、外国人旅行者を受け入れる方は、近年増えたといっても614万人(2004年)に過ぎず、受け入れる数の世界ランキングでいえば30位以下である。人口が日本の半数以下である韓国にも及ばない。
外国人旅行者の数が極端に少ないということは、端的にいえば、世界は日本のことをほとんど知らないということである。例えば、パリの街角で人々に日本に行ったことがあるかと問えば、ほとんどの人々が行ったことはないと答え、日本のことを知っているかと聞いても断片的な知識が返ってくるだけであろう。世界の人々の多くが、日本人がどのような世界観の下でどのように暮らしているのかを知らないということは、国の長期的な安全保障に関わる由々しい事態といわなければならない。
そのため政府は、小泉政権となってから、観光立国を標榜し、国際観光の振興、とりわけ外国人旅行者の受け入れに積極的に取り組んでいる。2002年には国土交通大臣を観光立国担当大臣に任命、国際観光振興のための予算を増額して、外国人旅行者を2010年には1千万人に増やすために、多彩なプログラムからなるビジット・ジャパン・キャンペーンを展開中である。
オリンピックの話題に戻すと、東京都が2016年の夏季大会を誘致するため、石原都知事のリーダーシップの下、過日東京都議会でもその招致決議案を賛成多数で可決し、本格的な取り組みを開始している。前回の東京大会から半世紀に当たる節目の年に再度の誘致を目指す。
1964年の東京オリンピックは、日本が戦後の荒廃からいち早く立ち直り、世界の檜舞台に再登場した瞬間であった。日本は東京オリンピックを契機に、東海道新幹線に表象されるような高い技術水準が世界に認知され、その後高度経済成長を実現するに至った。当時の東京の都市計画は、景観の破壊など功罪半ばする面があったものの、2回目のオリンピックにおいては、持続可能な発展を希求する成熟都市としての新しい東京の新しいあり方を提示すべきと考える。2016年に照準を照準を合わせることによって、世界有数の大都市としての東京が、スポーツと文化の振興の分野で、世界とりわけ開発途上国の若い世代の人々に対して、どのような役割を担うことができるのか、日本の高い志を改めて示したいものである。
おかもと のぶゆき(Okamoto Nobuyuki)
1964年立教大学社会学部卒業。 1970年米国ミシガン州立大学経営大学院ホテル経営学修士課程修了。 社会学部観光学科教授を経て、1998年4月より現職。主要研究テーマは 「都市やリゾートにおけるホテルの生成と発展」。国際的な宿泊施設である ホテルで、都市やリゾートにおけるホテルの生成と発展を研究対象としている。 現在、東京都観光事業審議会会長・東京オリンピック基本構想懇談会座長を務める。 |
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「団塊の世代と<セカンドステージ市民大学>」
経営学部教授 笠原清志
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「職業だけでなく人生の「キャリア」」
キャリアセンター事務部長
加藤敏子 |
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