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私たちの身の周りでは毎年無数の商品やサービスが溢れるように紹介されている。その中で幾つかのものは「ヒット商品」とよばれ、多くの人々から支持を受けるようになる。
私が例年『現代用語の基礎知識』(自由国民社)のマーケティングの項目で紹介しているトピックもヒット商品に関わるものが多い。例えば、2006年度版ではフラッシュメモリーやハードディスクを利用した小型・軽量のオーディオ機器の流行などを取り上げている。
日々生活を送る中で私たちは皆消費者である。おそらく一日たりとも消費という行為をすることなしに生きていくことはできないであろう。それほどまでに生活に密接に関係しているがゆえに消費という行為は通常は強く意識されないものであるが、その行為(具体的には商品やサービスの選択行動)のための意思決定には色々な情報が必要とされている。そのなかでもヒット商品などに関する流行の情報は多くの人への影響力が強いものである。しかしながら、流行しているからといって不要なものまで買ってしまうのは浪費以外の何物でもない。私たちは日常生活を楽しみながらも賢く消費をしていく必要がある。
ビジネスの論理では如何に多くの売り上げを得るかが優先課題となる。企業は、そのために最も効果的であると考えられるデザインや広告を工夫して私たち消費者にメッセージを送ってくる。また、雑誌やテレビ番組などでもグルメ特集や旅番組などで消費者の需要を喚起するような話題を日々提供している。これらの情報は魅力的に伝わるように巧みに演出されたものが多い。しかしながら、消費者の立場で考えた場合には、冷静に考えれば不必要なものの購買を煽る内容のものも存在するのである。
日々送られ続けるこうした情報を鵜呑みにして無駄な買い物をすることなく、それぞれのライフスタイルにあった消費をするためにはどのようなことを心がければよいであろうか。一つには、「比べて選ぶ」という気持ちを常に持つことである。一つの情報だけに傾聴すると美辞麗句で固められている商品であっても、他の商品と比較してみると長所と短所が見えやすくなってくる。急ぎの買い物をしなければならないときには、実際には多くの商品を念入りに比較することなどはできないであろう。しかしながら、最低限二つのものを比べてみるだけでも多くのことがみえてくるものである。そうした作業の中でなされる購買の意思決定は冷静なものになる割合が高いから、後で悔やむような失敗は少なくなるであろう。
いま一つは「誰に利益をもたらす情報なのか」を想像してみることである。私たちに提供される商品やサービスは自然に発生しているものではない。必ず誰かが企画して作りだされたものなのである。こうした売り手の立場だったらどのような工夫をするだろうかということを想像してみると、いろいろな売るためのからくりというものが浮かび上がってくるものなのである。たとえば、ある商品を二つずつ販売したい場合に「一つが100円で二つで200円です」と素直に売価を伝えるよりも「一つ200円でいまならもう一つおまけに付きます」と伝えるほうが消費者にはお買い得なように聞こえるものなのである。こうした売り手の巧みな販売方法を見破れるようになれば、かなりの確率で無駄使いは減らせるのではないであろうか。
もちろん消費という行為は日常生活の楽しみの一つであるから、その人の経済的に無理のない範囲で楽しんで買い物をすればよいのである。また、そうした消費者に応えるために企業も懸命な努力を続けている。例えば、パソコンや乗用車などでビルド・トゥ・オーダー(Build To Order, BTO)とよばれる顧客の注文どおりに好みの商品を組み立ててくれるメーカー対応をあげることができる。また、ミステリー・ショッパー(Mystery Shopper)とよばれる客に扮した調査員による店舗の接客態度調査などもより快適な購買を顧客にしてもらうための企業の積極的な取り組みの一つといえるであろう。
どのように買い物をする場合でも、誰かに煽られるような形で欲しくもないものの購買にお金を費やしてしまうことは決して好ましいこととはいえない。であるから、買い物を楽しむ気持ちと同時に賢く消費をするのだということを心がけることが現代のような情報の溢れる時代においては必要不可欠な知恵であるといえるのではないであろうか。私の専門は売り手の最前線を取り扱うマーケティングであるが、ただ企業が売り上げを上げられれば良いとは考えていない。健全な企業と賢明な消費者によって社会が構成されていくことが何よりも重要ではないかと考える。さまざまな情報が飛び交う現代社会であるが、企業と消費者双方が良識ある行動ができる社会に向かうことを期待したい。
ありま けんじ(Arima kenji)
1962年愛知県岡崎市に生まれる。明治学院大学経済学部卒業。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得満期退学。早稲田大学商学部助手、立教大学経済学部専任講師、立教大学経済学部助教授を経て2006年4月より立教大学経営学部助教授。専攻、マーケティング理論、マーケティング戦略論 |
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「団塊の世代と<セカンドステージ市民大学>」
経営学部教授 笠原清志
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「職業だけでなく人生の「キャリア」」
キャリアセンター事務部長
加藤敏子 |
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