その6

有害情報からこどもたちをどう守るか
フィルタリングソフトを生かす無償の努力が必要

朝日新聞編集委員 原 淳二郎

 インターネットには教育にとって有益な情報がたくさんある半面、こどもに見せられない情報、教育上好ましくない情報も氾濫している。だから何らかの方法で規制すべきだ、という意見がある。いや、インターネットに限らず世間にはこどもに見せたくない情報があふれているではないか。現実世界にないものがインターネットにあるはずはないのだから、インターネットだけ特別視して規制をかけるのはおかしい、という意見もある。
 米国で96年通信法の中の通信品位法で猥褻な情報、下品な情報を配布したものを処罰する条項が盛り込まれた。しかし、同条項は表現の自由を侵すとの訴訟が起き、結局、連邦最高裁で憲法違反の判決が出た。では何の対策もなくていいのか、となるとそうはいくまい。わが国では猥褻画像を流した人やプロバイダーが検挙されたり、業界がガイドラインをつくって自主規制をしたりしている。だが、インターネットに国境はない。国内の規制や公権力の介入はそうした問題サイトを海外に移転させる効果しかないのが現状だ。表現の自由か猥褻規制かのむずかしい議論はさておき、現実には自分で自分のこどもを有害情報から守るしかない。
 最近、自分のパソコンに有害情報を表示させないようなソフトを乗せ、自衛する方法が登場してきた。フィルタリングソフトと呼ばれるが、学校向けに電子ネットワーク協議会が配布している。もちろんソフトだけでは機能しない。何が有害情報なのか、目印がないとフィルターにかけられない。さらに何がどの程度有害なのか、客観的かつ世界で通用する基準も必要になる。自分でチェックしてフィルターにかけることもできるが、全世界のサイトをチェックすることは不可能だ。客観的基準に従って有害サイトの情報を集め、フィルタリングソフトが利用できるかたちのデータベースにしてだれでも参照できるようにする必要もある。同協議会はこうしたデータベース作りも進めているが、複数の第三者機関がこうした作業を積み重ねる必要もある。
 だれもが世界に向けて情報発信できるインターネットの良さ、表現の自由を損なうことなく、こどもたちを有害情報から守るには、こうした無償の努力が欠かせないのである。
 







第1回:インターネットのマナー
「相手を思いやる心を育てよう」

第2回:文章で議論できる技術と作法を

第3回:こどもは生まれながらの質問の天才だ

第4回:スクールページコンテスト審査に参加して

第5回:インターネットへの接続の是非より、
その危険性の見極めが大切