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建築家、
東京大学名誉教授

安藤 忠雄

 戦後、日本はアメリカの大量生産・大量消費に象徴される物質的豊かさにあこがれ、ひたすらそれを追い続けた。そして、日本人持ち前の勤勉さ、忍耐強さにより、世界有数の経済大国になった。だが、物質的豊かさの代償として、日本人はものを大事にする心も失ってしまった。
 現在のような消費を続ければ、地球の資源は底をついてしまう。一方で、世界の人口は増え続けている。もはや、自然の保護を自然に頼ることはできない。人間自身の手で、人間と自然の関係を正常に保つ意識が必要だ。  
 日本人は自然と共に、自然を生かしながら、こまやかな人間関係、地域社会を育み、助け合って生きてきた。ある意味で、日本ほど「サステナブルな社会」を営んできた国はない。個性がないと言われる日本だが、「環境立国」として外国に発信できる可能性は十分ある。
 環境と深いかかわりのある建築に携わる私も地球への責任感を持って、仕事に取り組もうとしている。例えば、建物の寿命を三倍にすれば、廃材は三分の一にできる。みんながそれぞれの立場や職業の中で、自分の責任と役割を考え、できることをしたらいい。
 私は瀬戸内海の破壊された自然を回復する活動にかかわってきた。淡路島の土砂採取場跡地を再生した「淡路夢舞台」では、市民や子どもたちに苗木を植えてもらい、自然に対する意識の改革を目指した。また、「直島コンテンポラリーアートミュージアム」では、修復した古い民家に現代美術を展示することで、島の風景を考える場を提供したいと考えた。
 持続可能な社会を実現するためには全体的な視点で地球の現在の状態を正確に知り、その上で自分に何が出来るかを考える必要がある。ごみの問題、資源の問題、食糧の問題。見渡せば、地球の存続につながる小さな環境問題は、身近に転がっている。人まかせにするのでなく、一人ひとりが積極的に取り組んでいかねば、決して環境問題は解決しない。抽象的な議論を交わしてばかりいても始まらない。行動を起こすときだ。




■お問い合わせ
 地球市民フォーラム事務局(月〜金・10時〜17時) TEL.03(5541)8948



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