中西 哲生さん
スポーツジャーナリスト
中西 哲生さん
1969年生まれ。愛知県出身。1992年、同志社大学経済学部卒業後、Jリーグ名古屋グランパスエイトに所属。1997年からJ2川崎フロンターレにてキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たす。2008年、(財)日本サッカー協会 特任理事に就任。著書に「ベンゲル・ノート(玄冬社)」などがある。

人間の大きさは、フィールドを見渡す視野が持てるかどうかで決まる

決して逃げなかったガーバーに共感

 ニューヨークが舞台だけあって、テンポの速いスリルのある映画です。登場人物も魅力的ですね。特にガーバー役のデンゼル・ワシントンはこういう人間味のある役をやらせたらさすがに上手いですね。組織の中で個人がどう行動するかといったこともテーマの一つだと思いますが、弱みを見せつつも自分を信じて全力で犯罪に対峙していく姿に、“男”を感じました。

 当初ガーバーは自分の仕事を全うするだけと考えていたと思いますが、状況が変わるにつれて、人命救出やニューヨークの治安維持というより大きな仕事を自らの使命にしていきます。一介の鉄道マンである彼はとまどいながらも、決して逃げなかった。より大きなフィールドに足を踏み入れた時にいかに大きな視野を持って行動できるかで人間の大きさは決まる。このことは僕が長年サッカーに関わってきて痛感していることです。その意味で、彼の生き方には非常に共感するものがありました。

複雑化した現代社会を見事に反映

 政治や経済を始めとした様々な現代的な問題が織り込まれていることも、この映画の大きな魅力だと思います。今の世の中、一つの要素だけを分析しても限界があります。社会全体を視野に入れないと、いろいろな要素が複雑に絡まり合っている社会においては、一つの要素も理解できないからです。この映画には、こうした複雑化した現代社会というものが見事に反映されているように感じました。見る人によっていろいろな見方ができる映画だと思いますので、ストーリーを単純に楽しむだけではなく、ディティールも大いに楽しんで自分なりの見方をしてほしいですね。

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