田嶋 智太郎さん
金融ジャーナリスト
田嶋 智太郎さん
1964年生まれ。東京都出身。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て金融ジャーナリストに。主に金融・経済全般から個人の資産形成、資金運用までの幅広い範囲を分析・研究。一方で講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。

金融をテーマに米国の脆さを表現

事件は単純ではない

 ジョン・トラボルタ扮するライダーが地下鉄をハイジャックし、人質と引き換えにNY市に要求した金額は1000万ドル。壮大なサスペンス・アクション映画を盛り立てる金額としては少々“役不足”な気がする。もちろん、そこが一つのミソであって、冒頭からライダーが発する「商品」「現物取引」「先物取引」などといった言葉が大きなヒントとなる。ライダーの企みによって、NY市民は死の恐怖に直面し、NY市を象徴する地下鉄路線の機能はマヒした。しかし、ときに冷酷非情でありながら、ときに極めて頭のキレるライダーは、単に大儲けを企む悪者といった単純なキャラクターではないのだ。

米国の弱点を痛快に切る

 かつては9・11テロ、そして最近では米国の金融バブル崩壊が経済の大混乱を招いた。この映画は、ライダーという極悪人を疑似的に仕立てることで、NY市に代表される米国=世界の覇権国家に潜む「弱点」、「脆さ」、それに加えて「腐敗した政治」、「人々が隷属する会社組織」などといったものを極めてシニカルに表現したものと言える。見る者の多くが最終的にライダーという悪人に共感、同情してしまうというストーリーは、現世の「闇」を痛快に切るという意味で、劇場を訪れた多くの人々のストレス解消に大いに貢献することだろう。

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