梅原 淳さん
鉄道ジャーナリスト
梅原 淳さん
1965年生まれ。東京都出身。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)に入社。その後、雑誌編集の道へ。交友社月刊「鉄道ファン」編集部、あいであ・らいふ月刊「頭で儲ける時代」編集部などを経て2000(平成12)年からフリーランスとなる。現在は鉄道ジャーナリストとして活動中。

敢えてハイジャックが困難な地下鉄をハイジャックした理由

地下鉄ハイジャックの難しさに挑む

 航空機やバスと異なり、鉄道の列車を乗っ取ることは非現実的である。車両の進路は決められているため、山手線のような環状路線でもない限り、終点に着けば逃げ場を失うからだ。しかしながら犯人グループはあえて地下鉄をハイジャックするという行動に出た。元来乗っ取りが困難な鉄道であるうえ、トンネルという密室を行く地下鉄では自ら捕まりに行くようなもの。しかし、ニューヨークの地下鉄ならばハイジャックという犯罪そのものが注目を浴び、社会への打撃も巨大だ。ここに敢えて困難な地下鉄をハイジャックした理由が隠されている。かつての地下鉄サリン事件の悪夢が改めて思い起こさせられる。

乗客の安全を守るのが鉄道員の誇り

 指令室の指令員として犯人と交渉に当たるガーバーが運転士の経験を有していた事実には安心した。日本では古今、指令員に運転経験のない人が就くケースが多い。ある意味、ハイジャック事件よりもこちらのほうが恐いことなのだ。国鉄が引き起こした洞爺丸遭難事件は、そのことが一因とも指摘されている。

 劇中では地下鉄内での犯人の凶行を許してしまうが、現実の地下鉄職員は乗客の安全を第一に考え、日々仕事をしている。このことは日本でもアメリカでも鉄道員共通の誇りだろう。

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