山田 真哉さん
公認会計士
山田 真哉さん
1976年生まれ。神戸市出身。大阪大学文学部卒業後、会計・法律・経営などの勉強を始め、2004年、公認会計士三次試験に合格。独立して公認会計士山田真哉事務所を開設。2005年、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を出版、7ヶ月でミリオンセラーを達成。

“アメリカの今”を浮き彫りにした象徴的な映画

すべての登場人物にリアリティーがある

 久しぶりにハリウッドの“王道映画”を見たという感じです。第一に、ストーリーがうまくまとまっている。伏線の張り方もわかりやすい。この種の映画にしては珍しく破綻もなく、すべての伏線が回収できています。第二に、ビジュアライズが秀逸。シーンの配分も絶妙で、生と動がはっきりと描かれている。非常に丁寧に作られている映画という印象を持ちました。

 リアリティーという点に関しては、主人公2人をはじめガーバーの上司や事件を担当する警部補、ニューヨーク市長などの登場人物のそれぞれが、何かしらだめな部分を持っていて誰ひとりとして完璧な人がいないという設定に、現実味を強く感じました。それでいて、1人ひとりのキャラクターには意外性もあったりして、きちんと練られている。犯人の短絡的な行動も含めて、すべての登場人物の言動にきちんと理屈が通っている。見る人には納得できるものに仕上がっていると感心しました。

小さい事件が世界を動かす

 この映画には、“アメリカの今”が非常にリアルに描かれていると感じました。おそらく、今回の地下鉄ハイジャック事件は、9・11や昨年の金融危機などもモチーフになっていると思われますが、パニックがパニックを呼ぶという現代の過剰反応社会を浮き彫りにしているように感じました。そのやるせなさとばかばかしさのようなものへの風刺も込められているのではないでしょうか。一方で、ガーバーが犯人のところに乗り込む直前に奥さんと電話で話す場面などは、非常にアメリカ的で心温まる良いシーンだと思います。

 一番の見所は、何と言っても地下鉄という閉鎖空間でのアクション。車内の様子がネット中継され、テレビでも流れる。密室の事件なんだけれども、それが全世界に開かれている。一車両が世界につながっているという設定は、現代社会をとらえている意味で非常に象徴的だと思いました。

 小さい事件が世界を動かしていく。これが、この映画のもう一つのテーマだと思います。

他のコラムも合わせて読む

  • 伊藤 元重さん
  • 一色 清さん
  • 神戸 孝さん
  • 清宮 克幸さん
  • 今井 澂さん
  • 田嶋 智太郎さん
  • 中西 哲生さん
  • 原田 泰さん
  • 山田 真哉さん
  • 梅原 淳さん