治療者から支援者へ幅広いニーズに対応
わが国では、急速な高齢化に加え、生活習慣病や事故などにより、身体が不自由になる人が増加している。理学療法士は、病後の機能回復から障害者の日常動作の維持改善まで、医療分野におけるリハビリの専門家である。 近年は、身体機能障害の回復・維持のためのトレーニングだけでなく、脳卒中などによる身体のマヒ、新生児の運動能力の発達の遅れ、骨粗鬆症など、対応するケースも多様化している。こうした人々の日常生活の質を上げるため、健康増進、体力維持、傷害予防などの指導も、理学療法士の仕事として要求されるようになってきた。 つまり、これまでの整形外科に付属する治療者から、日常生活の支援者へと、その役割が変化してきたのである。これらの要求に応えるには、高度な医学的知識に加え、心理学や福祉関係など他分野も視野に入れた幅広い知識が必要である。さらに、検査技術が進歩し、患者や障害者に対する治療の的確なフィードバックが可能となったため、科学的な療法への取り組みも求められている。 医学的リハビリチームの中心的存在 年々広がる活躍の場 病気やケガ、障害を乗り越えるには、患者の治療に対する意欲がカギとなる。理学療法士が、医学的リハビリチームのなかでも中心的存在といわれるのは、患者やその介護者との信頼関係を築きながら、患者の治療意欲を支えていくところにある。 近年、介護保険制度の訪問リハビリが急増しているが、ここでは、理学療法士が利用者に直接指導するのではなく、介護者に間接指導する。こうした状況を踏まえると、今、理学療法士に求められているのは、良好な人間関係を構築できるコミュニケーション能力である。 理学療法士の職場は多様化し、医療分野だけでなくスポーツ界や福祉分野でのニーズも高い。病院やリハビリ施設、身体障害者(児)福祉施設、介護老人保健施設、スポーツ施設、特別支援学校、行政機関、福祉住宅や介護機器の開発などがある。 理学療法士になるには、高校卒業後、理学療法士養成校で3〜4年学び、国家試験に合格することが必要である。
特性に合わせて個別に指導 日常生活に向けて応用力をつける
日本で作業療法教育が始まって40年余り。この間に、医療は病気の治療だけでなく、人間らしい生活を取り戻すまでがその役割である、と認識されるようになった。人間性の回復をめざすリハビリの中心的役割を担う作業療法士は、医療の分野だけでなく、多様化する社会の医療・保健・福祉ニーズに対応する専門職として、その将来性が期待されている。
障害者の心に寄り添いながら 人間らしい生活を取り戻す作業療法士作業療法士
作業療法士は、人間として生きていくうえでの作業活動(食事・衣類の着脱・洗面・入浴といった日常的な身の回りの活動から、買物・掃除・他の人との交流・余暇活動・仕事などより広い社会的な活動まで)を行う力を取り戻したり、新たに獲得するための手助けをする。 対象となるのは、身体的障害、精神的障害、発達的障害、老年期特有の障害を持つ人。治療や援助の内容も、患者の状態、疾患や障害の特性によって異なる。 たとえば、コミュニケーションの苦手な子どもには、遊びの内容を工夫、その子どもの社会性を伸ばすように働きかける。手に障害のある人には、その人の好きな手作業を行うことで、関節や筋力を強化し、より複雑な動作が行えるよう指導する…。自助具など福祉機器の開発や、住宅環境の改善も仕事の一環である。
理学療法士や言語聴覚士と連携 医療・保健・福祉分野で活躍
リハビリの現場で、理学療法士や言語聴覚士などさまざまな職種とチームを組むことが多い。なかでも理学療法士との連携が重要。作業療法士が関わるリハビリは、理学療法士の指導によって基本的な運動能力を回復した人に対して行われるからである。 作業療法士は、医療や保健、福祉、教育など幅広い分野で活躍している。職場としては、一般の病院、精神科病院、高齢者保健施設・小児保健施設、在宅介護支援センター、リハビリテーションセンター、福祉事務所、特別支援学校など。 作業療法士になるには、高校卒業後、作業療法士養成校(大学・専門学校)を卒業した後、国家試験を受験することが必要である。