最先端医療を担うスペシャリストをめざして
チーム医療
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近年、医学の進歩と医療技術の高度化・専門分野化には目覚しいものがある。それと平行して医療現場ではさまざまな専門職がお互いに対等に連携し患者中心の医療の実現をめざす「チーム医療」が主流になってきた。そのため、高度な知識と技術高い職業倫理を持ったスタッフの養成が課題となっている。
医師・救急救命士・チーム医療 看護師・助産師 薬剤師・歯科衛生士 理学療法士・作業療法士・はり師・きゅう師・義肢装具士 診療放射線技師・臨床工学技士・臨床検査技師 言語聴覚士・視能訓練士 管理栄養士・社会福祉 これからの医療
言語聴覚士・視能訓練士
言語聴覚士は、言語・聴覚、えん下機能に障害を持つ人に対して、そのリハビリ支援を行う。医療だけでなく、介護、教育の分野での活躍が期待されている。視能訓練士は、目の健康管理をする眼科診療を担う専門職。視機能検査や斜視・弱視の訓練治療に携わる。どちらも根気と思いやりの心が必要なので、積極的で粘り強い性格が望まれる。


言葉は人間関係の基盤その人らしい生活をめざして

言語聴覚士

言語聴覚士


人間の尊厳を支える
コミュニケーションを支援


 近年、わが国では高齢化を背景に、言語や聴覚に障害を持つ人が急増している。また、言葉の遅れを持つ子どもたちへの対策も十分とは言い難い。。そうした社会的なニーズを背景に1997年、新しい医療専門職として言語聴覚士が法制定された。
  言葉は人間だけに与えられた機能で、高度に発達した脳がベースとなっている。私たちは言葉を用いて自分の考えや感情を相手に伝え、お互いに情報を共有している。通常の生活においては、言葉は大きな役割を担っているといえよう。
 一口に言葉といっても、言語、聴覚、 発声、発音、知能、記憶、認知、注意などの機能が密接に関係している。これらの機能が病気や事故、発達上の問題などでダメージを受けると、失語症、言語発達の遅れ、難聴、発音障害、吃音、発声障害などの言語聴覚障害が生じる。

ニーズの多い新分野
活躍の場は多彩


 言語聴覚士の業務は言葉によ るコミュニケーションが困難な人に 対し、機能の最大限の回復や言語以外のコミュニケーション能力の獲得と訓練を図り、その人らしい日常生活と社会参加ができるように支援すること。摂食・えん下の問題についても専門的に対応する。 具体的には、さまざまな検査・評価をし、その結果に基づいて訓練・指導・援助などを行う。場合によっては、医師や理学療法士、作業療養士などの医療専門職、ソーシャルワーカーやケアマネージャーなどの福祉専門職、教師や臨床心理士などとチームを組む。 治療や訓練は長期にわたることが多く、年齢層も子どもからお年寄りまで幅広い。粘り強さと細やかな心配りはもちろんのこと、優しい心遣いが必要である。 言語聴覚士が活躍する場は多彩だ。病院、診療所、リハビリテーシ ョンセンター、発達支援センター、児童相談所、老人ホーム、介護老人保健施設、通所リハビリ施設・訪問 リハビリ施設、ことばの教室・特別支援学級・特別支援学校、保健所などがある。 言語聴覚士資格を取得するには、 高校卒業後、大学、短大、養成所などで言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得し、国家試験を受験して合格することが必要である。


クオリティオブビジョン(視覚の質)の向上をめざす視機能検査唯一のスペシャリスト

視能訓練士


細やかな心配りで
視力障害を訓練・回復


 私たちは情報の多くを視覚によって得ている。毎日の生活の中で、「みる機能ー視能」は重要だ。視能に障害[はっきり見えない(視力障害)、見える範囲が狭い(視野障害)、二重に見える(複視)、見えていてもわからない(視覚認知障害)など]があると、クオリティオブビジョン(視覚の質)の低下が余儀なくされる。
  近年、早期発見・早期治療が叫ばれているが、眼科医療においても例外ではない。視能障害には、先天性のものと後天性のものがある。昨今は、生活習慣病の増加で、糖尿病などによる眼の合併症や、高齢社会に伴う白内障などの疾患、また情報機器の普及や車社会によるクオリティオブビジョン(視覚の質)の低下など、新しい形の後天的障害が増えている。
  視能訓練士は、医師の指示のもと、こうした人たちに「視覚の質」を検査・評価し、矯正や訓練で視能が向上する可能性がある場合は、斜視・弱視の視能矯正計画を立てて実施する。また視覚障害者となった人には、リハビリやカウンセリングの専門家と連携しながら指導・訓練をしていくのも視能訓練士の役割だ。

眼科診療の一端を担うプロ
人材の育成に期待

 視機能検査のスペシャリスト・視能訓練士を求める声は年々高まっている。英国を初めとする欧米では、古くから医療専門職として定着しているが、わが国での歴史は浅く、1971年に導入された。
  その後、93年に法改正され、矯正分野だけでなく、眼科一般分野まで幅広く検査ができるようになった。しかし、有資格者は、眼科医の半数に満たず、今後一層の人材育成が期待されている。
  視能訓練士の職場は、眼科のある病院や診療所が中心。検査結果が適切な診断治療と繋がることから、眼科診療チームの一員である重要な専門職として認められている。
  視能訓練士の資格を取るには、高卒は3年以上、短大・大学卒及び看護学校卒は1年以上、視能訓練士の教育課程を修めた後、国家試験に合格することが必要である。



臨床検査技師
治療の入り口にあって、病気の経過観察、治療効果の判定、病気の早期発見などに大いに貢献している。仕事の守備範囲は非常に広く、医師の指示のもとに、検体検査(血液や胃液、粘液、尿、便など)と、生理学的検査(脳波・眼底写真・呼吸機能検査、心電図、心音図、超音波、MRIなど)を行い、専門的な判断に基づいたデータを作成・提供する。検査のための採血なども重要な業務のひとつだ。
  受験資格
高校卒業後、4年制大学、3年制短期大学、3年制専門学校で養成課程を修め、国家試験を受験する。

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