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大学力2015

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インタビュー

グローバル社会に求められる変化対応力とキラリと光る個性 依田 誠 さん ジーエス・ユアサ コーポレーション 代表取締役社長

自分で考え、動き
チャレンジできる人材を

当社の主力商品は鉛蓄電池。これは100年以上前からある商品で、技術革新のスピードは緩やかです。一方、現在力を入れているエコカーなどに搭載のリチウムイオン電池、自然エネルギー関連の電源装置などは変化が非常に早い。単機能で勝負できた時代は終わり、新たな機能を付加し競争相手への技術優位を確立しなければなりません。常に時代や社会、事業環境の変化を察知し、変わり続けなければ会社は衰退します。

ですから当社が求める人材は、自律型人材。自分で考え、動き、変化に対応できる人です。フレキシブルでクリエーティブな発想やチャレンジ精神が欠かせません。また、お客様に買っていただくには、まずは自分を売り込むためのコミュニケーション能力も必要でしょう。

海外に多数の拠点を持ち、グローバルに事業を展開する当社ですが、社内の共通言語を英語にはしません。英語でもドイツ語でもその流暢さはさほど重要ではなく、要は自分の思いをいかに正確に伝えられるか。日本語できちんと説明できれば、語学力は後からついてくるものです。

振り返ると、私が入社後配属されたのは国際関係の部門でした。当時は中南米やアフリカとレターのやりとりをしたのですが、英語が得意ではなく辞書を片手に苦労しました。上司に見せると添削されて書き直す、そんな日々を送る中で、ビジネス英語が身についたと思います。最初の2年間はまるで学校のようでしたが、遠い国からのレターや海外出張は好奇心をくすぐり、仕事がつらいとは感じませんでしたね。

私は新入社員に「仕事にのめりこむのもいいけれど、少し距離をおくことも必要」とよく言います。仕事を軽んじるのではなく、視野を広げて自分の置かれた場を俯瞰することも時には重要でしょう。

学生時代は何事にも挑戦し
仲間と議論してほしい

学生時代はしっかり勉強をし、たくさん経験を積んでほしい。何事にも興味をもち、目の前のことを一度は受け入れ挑戦してほしい。その結果ギブアップするのなら仕方ありませんが、挑戦する前にあきらめないでください。

この姿勢は社会人になっても同じです。例えば、文系の管理部門や販売部門の人は、お客様と交渉の際、技術的な課題が出ると専門の人に頼りがちです。しかし、ごく基礎的な技術の知識をもてば、文系の人でも説得できるはず。その逆も同じで、技術系の研究開発や生産現場の人も、勉強すれば財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)くらい読めるでしょう。最初から他人任せにすると、幅広い視野や知識が養えません。

一方、最近の学生は、ディベートできない人が多いようです。仲間と和気あいあいと過ごすのもよいのですが、あえて角を立てて議論をふっかけるような経験をしてほしい。このディベート力は、当社のようなグローバルなビジネスの場で活躍するうえでも重要です。大学には、先生が一方的に与えるだけでなく、議論の習慣が身につくカリキュラムを充実させていただきたいですね。

また、社会人にとっては文章力も重要です。例えば、提出したリポートの出来栄えが、その後の人生に影響を与えることだってあります。その意味でも、学生時代からたくさん本を読んでほしい。名文に多く触れることで、文章力はおのずと磨かれるでしょう。ディベート力や文章力をしっかり身につけて、キラリと光る個性を磨いてください。

高校生で、大学卒業後のイメージをはっきりもてる人は少ないはず。とはいえ文系か理系か、自分が何をやりたいか、ある程度決めたうえで、最善の進路を見つけてほしいと思います。

ジーエス・ユアサ コーポレーション 代表取締役社長 依田 誠 さん
プロフィル/よだ・まこと●東京都出身。1972年日本電池㈱〈※現㈱GSユアサ〉入社。2002年日本電池㈱常務取締役。04年㈱GSユアサ代表取締役社長(現任)。06年㈱ジーエス・ユアサ コーポレーション代表取締役社長(現任)。大学時代の思い出は、仲間と行った北海道への卒業旅行。宿泊代節約のため夜行列車に乗り、気の向くままに旅を楽しんだ。