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06月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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大学力2015

大学が社会を更新する 特集大学2015

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インタビュー

何を学びたいのか考えて大学を選び、目的や情熱ある学生生活を 矢崎 和彦 さん 株式会社フェリシモ 代表取締役社長

感じる力とパッションが重要 好きなことには頑張れる

フェリシモがコアバリューにしている言葉は「ともにしあわせになるしあわせ」です。私たちは、ものづくりや技術開発などの会社ではなく、何か課題や目標を見つけ出して解決のアイデアを出し、それを具体的な商品・サービスなどに実現するという通販ビジネスを展開しています。

ですから採用したい人材は、普段の暮らしのなかに、他の人には見えない何かを見つけるセンサー、感じる力を持っている人。それは特殊能力という意味ではなく、朝起きて顔を洗い着替えて出社するといった日々の行動の中で、「こうなるともっとすてきだな」と思えるようなことを発見できる能力です。また当社に限らず、仕事は一人でできるものではなくチームプレーですから、自分の思っていることをきちんと人に伝えて、まわりを巻きこんで実現し、それを進化させ続けられる力も重要です。

さらに私が何より大切だと思うのは、思いの強さ、パッションです。例えば当社独自の「500色の色えんぴつ」。あの色数を実現できたのは、私たちがどうしても作りたかったから。つまりパッションの成果だと思っています。

当社は、そのような強い思いを持った人を見つけるため、最終段階に近い採用試験で、ちょっと面白い課題に取り組んでもらっています。それは、20㌻の白紙のノートを渡し「あなた自身を商品だと思い、自分を紹介するカタログを1週間で作ってみてください」というもの。それを見ると、当社に対する本気度はもちろん、表現力や人間性などが見事にわかります。必ずしも上手な表現である必要はなく、会社というものは様々な人たちの掛け合わせで化学反応を起こすのが面白いわけですから、ベクトルは同じくしたうえで人材の多様性を重視した採用活動をしています。

また特徴的ともいえる人材育成の制度のひとつが、「部活」です。当社では、毎週水曜の午前中だけ、勤務時間中に興味のある分野の仕事をすることができます。代表的な例が「猫部」というプロジェクト。猫好きの社員が、普段の仕事とは別に、動物と人がともにしあわせに生きる社会を作るためのビジネスモデルを考えて、商品の開発・販売にチャレンジし、今では当社の正規部門に昇格しました。人は情熱を傾けられるものには自然に頑張れますし、成功することで自信が育っていくと考えています。

大学の4年間で人生が変わる それぞれの個性を育んで社会へ

フェリシモは現在、香港、台湾、中国、韓国など東アジアを中心に、グローバルサイトによる海外通販を展開し業績も伸びています。そのようなビジネスの海外展開には、いわゆるグローバル人材が必要。英語などの語学力はもちろん、現地の文化・習慣などを含む顧客理解、そして人間としての個性が求められると思います。しかし今、大学を卒業して働き始める一般の新社会人を見ていると、海外の人たちと比較して個性が感じられず、標準的な良い子が増えています。大学はぜひ、受験で頑張った学生を、燃え続けた状態で、企業や社会に送り出してほしいと思います。

大学の4年間は、人生の時間の20分の1ほどを占める貴重な時間。何を考え、どのように時間を使うかで、間違いなく、その人の一生が変わります。私自身は、大学の部活動の仲間や友人たちと夜中まで話しこみ、会社づくりの具体的構想などを一所懸命に語っていました。かけがえのない4年間にどのような意味を持たせたいのか、そのために何を学びたいのか、じっくりと考えたうえで大学を選び、若さを武器に懸命に勉強してほしい。そして「燃えたぎるようなパッション」を持って社会に巣立ってください。

株式会社フェリシモ 代表取締役社長 矢崎 和彦 さん
プロフィル/やざき・かずひこ●1955年、大阪市生まれ。78年に大学を卒業後、株式会社ハイセンス(現株式会社フェリシモ)入社。同社マーケティング本部長、専務取締役、取締役副社長を経て、87年4月に代表取締役社長就任。2012年、神戸市産業功労者賞を受賞。大学時代は、ブルーグラスのバンドでギターを担当し、コンサートの企画・運営など小さな経済活動も体験した。