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06月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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大学力2015

大学が社会を更新する 特集大学2015

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インタビュー

全従業員がアイデアマン 失敗を恐れず新市場を開拓 小林 章浩 さん 小林製薬株式会社 代表取締役社長

若手にもチャンスを与え
“あったらいいな”を実現

小林製薬グループが取り扱う製品は、医薬品をはじめ、芳香剤、栄養補助食品、日用雑貨品などさまざま。ジャンルは多彩ですが、すべてに一貫しているのは「“あったらいいな”をカタチにする」というブランドスローガンです。例えば、洗眼薬「アイボン」、水洗トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」、冷却ジェルシート「熱さまシート」など、いずれもそれまで世になかった製品を通じて、こんなものが欲しかったという消費者の期待に応えてきました。

新製品のアイデアは、職種に関係なく「社内提案制度」を通じて全従業員が提案できる仕組みを構築。また、当社では若手にも活躍の場をどんどん与えますので、営業や開発いずれの部門でも入社1年目から力を発揮できるチャンスがあります。その結果、会社に貢献したり成果を上げたりした人には「ホメホメメール」といって、私から本人に直接その頑張りを大いに褒め、チャレンジをたたえるメールを送信します。この制度が始まって約20年経ちますが、今なお脈々と受け継がれ、先日も地道な努力で電話対応のスキルが高まったお客様相談室のスタッフに健闘をたたえるメールを送ったところです。このような企業文化が、従業員のチャレンジ意欲を引き出すと共に、世にない製品を生み出し続ける原動力になっていると思います。

常に100点じゃなくてもいい
今日の努力が未来につながる

人は100人いれば、個性も100通り。それぞれの個性を生かして、誰もが活躍する可能性を秘めています。ただ、チャレンジしないことには何も始まりませんし、挑戦しても失敗に終わる場合もあるでしょう。確かに成功への道のりは楽ではありませんが、だからこそ努力が報われた瞬間、苦労も吹き飛ぶ。それを誰かに認められることが人生の充実感にもつながるのではないでしょうか。

それでも「失敗が怖い」とか「失敗は恥ずかしいこと」と、チャレンジを前に二の足を踏む若い人には、失敗は恥ではないと伝えたいですね。なぜなら、今日はできなくても、明日100点を取れるように頑張ればいいのだから。常に100点の自分でいる必要はありません。むしろ、失敗してもあきらめずに挑戦し続けることが大事なのであって、その積み重ねが社会に出た時に大いに役立つことを知ってほしいですね。

ただ、大学は高校までとは違い、挑戦するかどうかは今も昔も学生の自主性によるところが大きいでしょう。大学には、積極的に行動するのが苦手な人も巻き込んでチャレンジできるような仕組みを作ってほしいと思います。例えば留学も希望者のみではなく、全員参加にするなど。そうすることで、漠然と4年間を過ごすことはなくなるような気がします。

チャレンジといえば、近年は当社でも海外市場の拡大に向けグローバル化を推進しています。そのため社内の英語研修などにさらに力を入れ、グローバルな人材確保に向けて採用方法も見直しました。また今年から私は、新たに「強いボール」を社内に投げ始めました。キャッチボールと同じで、人とのコミュニケーションも投げる球が強ければ、相手からも同じように強い球が返ってきます。どんなに難しい課題も、知恵を絞り解決策を見つけることで、相手も自分も、ひいては会社も強くなっていくのだと思います。

高校生の中には、進路や将来について悩んでいる人もいることでしょう。迷った時は「あの人みたいになりたい」という憧れの存在と同じ道をたどってみるのもいいかもしれません。その背中を見て自分もそうなりたいと努力や工夫を重ねるうち、自然とオリジナリティあふれる個性も備わっていくのではないでしょうか。

小林製薬株式会社 代表取締役社長 小林 章浩 さん
プロフィル/こばやし・あきひろ●1971年、兵庫県出身。日本の大学を卒業後、アメリカの大学院へ留学。99年、小林製薬入社。製造や国際営業部門などを経て、2013年、42歳の時に代表取締役社長に。大学時代の一番の思い出は「たくさんの友人に恵まれたこと」と語る。