メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

06月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

大学力2015

大学が社会を更新する 特集大学2015

トップに戻る

特集大学

京都学園大学

吉岡達也さん瀧脇晴香さん
京都学園大学の大学力Message & Topics
京都学園大学の大学力

今春、学部学科を改組・新設して4学部10学科となり、京都亀岡キャンパスに次いで京都太秦キャンパスを開設した京都学園大学。創立以来の「実学教育」を進化させ、「社会が求める人材」の養成に拍車をかける。大きく生まれ変わろうとする同大学の展望について、篠原総一学長に聞いた。

“新生・京都学園大学”の教育モデルを構築

篠原総一学長
篠原総一学長

今年4月、京都太秦キャンパスが誕生し、京都学園大学は、従来の京都亀岡キャンパスとのダブルキャンパス体制へ。経済経営学部・人文学部・バイオ環境学部に新たに健康医療学部を加えた文理融合大学としてスタートを切った。

「急速なIT化やロボット化などにより、仕事の場で省人力化が起こっています。これにより、大学が輩出する人材と社会が求める人材に隔たりが生じてきました。実学重視を伝統とする本学として、社会のどの部分を支える人材を養成すべきか、改めて原点から見直した結果、既存の学部を再編し、人と接する仕事として今後もニーズの高まる看護師や言語聴覚士、健康スポーツ領域の人材を育成する健康医療学部を新設しました」と篠原総一学長は新体制となった背景を話す。

同大学は今、「人間力」の育成を教育の柱とする。その定義は、「コミュニケーション力・協働力・適応力・行動力・課題発見力・論理的思考力」の6つの基礎力を総合的に鍛えること。篠原学長は、これらを次の3つの学びに集約する。①仕事に必要な専門知識や技術を確実に身につける。「“確実に”が肝心。中途半端なまま卒業すると苦戦します」②他者と協力できる「働き方」を学ぶ。「どんな職場も一人きりの仕事はない。社会生活にも欠かせません」③卒業後も学び続ける力をもつ。「科学技術も社会のあり方への理解も変化が激しい今、幅広く学び専門性を常に更新してほしいですね」。この3つを全学生に浸透させれば、社会から真に求められ活躍できる人材の養成が果たせると、篠原学長は考える。

学習意欲を高めるために
インターンシップを多彩に提供

京都太秦キャンパス内「京學堂」は、学生たちが運営するショップ。<br />
                  地域連携やマーケティングの実習にも利用する
京都太秦キャンパス内「京學堂」は、学生たちが運営するショップ。
地域連携やマーケティングの実習にも利用する

大学が用意した優れた教育の仕組みや制度を活用するのは学生自身だ。「学ぶ意欲を引き出すためにはまず、学生と教員、学生同士の関係がポイント。もう一つは卒業後、どんな能力でどんな社会貢献ができるか、学生が具体的にイメージできる体験が必要です」と篠原学長。同大学がインターンシップに注力するのはこのためだ。

例えば、東アジアの協定大学などで語学学習を2カ月半行った後、現地の海外企業・海外進出企業に企業留学するGIP(海外インターンシップ)、京都の企業で3カ月間就業体験をして実務を学ぶAIP(長期インターンシップ)など多彩なプログラムがそろう。「GIP、AIPは上質のプログラム。今後も社会の実態を観察できるプログラムを作り、学生が今何を勉強すべきか気づく機会を色々と与えたいですね」。今年度から新たなカリキュラムが全学部で適用され、地域社会で学ぶアクティブ・ラーニングもさらに推進。実社会を知り経験値を増やす学習プログラムが充実する。

また、同大学では教員と職員がともに学生を支援する仕組みも整う。「職員のゼミ副担任制の一部導入により、教員がいなくても顔見知りの職員と連絡が取れ相談もできます。特に文系では教員との距離が遠くなりがち。大講義室での授業を削減するなどして、教員と学生がより密な関係で学べるゼミを増やしたいですね」

学生同士も、マンモス大学ではないからこそ絆が生まれやすい。「ゼミはもちろん、多彩なプロジェクト学習が学生の居場所になるのでは」と篠原学長。その代表が、経営学教育の一環として京都太秦キャンパスに開設するショップ「京學堂」。学生主体で地域の福祉施設や生産者と提携し、商品企画から仕入れ、販売まで経営の流れを実体験できる。取材に訪れた日も、多くの学生でにぎわっていた。

グローバル人材の育成
ハーバード大学と教員・学生を交流

語学研修先のシティ・オブ・バース・カレッジ
語学研修先のシティ・オブ・バース・カレッジ

同大学の教育の要となる6つの基礎力は、一人ひとりの「学生カルテ」に記される。学生は半年に一度目標を立て、受講した科目ごとに基礎力の習熟度をチェックして次の学びに生かし、教員はカルテを共有し手厚い指導を心がける。さらに、教職員の資質向上のためFD・SD活動も盛んだ。「本学のFDで特徴的なのは、授業方法の改善はもちろん、大学が抱える課題の講演や議論も行うこと。SDでは、最新の大学教育について職員自身が理解を深める研修を行い、実務に役立ててもらいます」と、教職員一丸となり学生と向き合う。

グローバル人材の育成にも積極的だ。従来の留学・研修プログラムに加え、イギリスのシティ・オブ・バース・カレッジでの語学研修、中国・上海体育学院と連携しスポーツの最先端領域を学ぶプログラムなどを新設する予定だ。「ゆくゆくは学生全員を海外に送り出したいですね」と篠原学長。

特筆すべきは、2014年に連携協定したハーバード大学アジアセンターとの交流だ。京都太秦キャンパスにハーバード大学アジアセンターの教員が拠点として利用できるオフィスが開設され、ハーバード大学教授による講演も同キャンパス内ホールで実施するなど、注目を集める。「ハーバード大学と本学の教員間の研究連携はスタートし、学生が交流できる体制も整いました。ハーバード大学に留学する学生もどんどん出していくつもりです」と篠原学長。

昨年度の入学志願者が、前年度の約1.6倍に増えた同大学。今年度以降、さらに改革を進め、アピールするという。「創立50周年を迎える4年後には、教育体制を大胆に刷新するめどをつけます。その途中でも、新しい指導法を検討するなどできることはあるはず。最終的には、個々の学生に応じた最適な学習環境を提供する『京都学園大学モデル』を創りあげたい。本学がどんな大学になっていくのか、楽しみにしてほしいですね」と目を輝かせる篠原学長。同大学の改革から目が離せない。
※FD(Faculty Development)は、大学教員の授業改善、教育能力向上のための組織的取り組み。SD(Staff Development)は、職員の職務改善と技量を高めるための組織的取り組み

京都学園大学の大学力Message & Topics