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09月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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大学力

大学が社会を更新する 特集大学2015

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特集大学

大阪大学

比留間啓仁さん山本真梨子さん
大阪大学の大学力Message & Topics

11学部16研究科と五つの附属研究所を擁し、国立大学として学部学生数で全国トップを誇る大阪大学。2031年の創立100周年に向けて、世界トップ10の研究型総合大学となるという明確な目標を定め、全学一丸となって日夜進化を続けている。

“調和ある多様性”を創造する「世界適塾」へ

平野俊夫総長
平野俊夫総長

1931年に国内6番目の帝国大学として創設された大阪大学。その原点は1838年、緒方洪庵が開設した「適塾」にまでさかのぼる。医師であり優れた教育者でもあった洪庵の「人のため、世のため、道のため」という無私の精神と倫理観に導かれ、当時「適塾」には西洋の学問を求めて日本各地から意欲あふれる若者が集まってきた。のちに明治の近代化の原動力となった福沢諭吉や大村益次郎らも、そこで互いに 切磋琢磨 せっさたくま しながら知の探求に励んだ塾生たちだ。

そんな逸材を数多く輩出した「適塾」の流れをくむ大学として、大阪大学は「世界適塾」を掲げて新たな挑戦の途上にある。

世界中から集まった志のある多様な学生たちが、大阪で学び、世界へと羽ばたいていく―そんなイメージで描かれた現代版「適塾」としての歩みが着々と進み、徐々に成果を上げ始めている。

「幕末の適塾がそうだったように、『世界適塾』大阪大学はグローバル化が進む現代社会が抱える複雑で困難な課題を解決し、豊かな発展に資する人材を輩出することで人類社会の発展へと寄与していきます。世界には人種、言語、文化、宗教など様々な多様性が存在しています。それらは人類の発展にとって不可欠でしたが、一方で紛争の原因やコミュニケーションの妨げとなり、現代社会の様々な問題を生んでいます。多様性の負の側面を乗り越える力を備えているのが、スポーツであり芸術であり学問という、人類共通言語です。『世界適塾』に集う学生や研究者の共通言語は、もちろん学問です。わが大阪大学にとって、学問を通じた“調和ある多様性の創造”こそが21世紀に求められる新たな役割だと考えます」と平野俊夫総長は語る。

活発な国際交流
深まる人的交流、広がる国際共同研究

UC大阪オフィスでの取り組み
UC大阪オフィスでの取り組み

国際社会で活躍できるグローバル人材の輩出に向けて、大阪大学では近年、海外との人的交流や共同研究がますます盛んになっている。昨年12月には、カリフォルニア大学との交流拠点として学内に「UC大阪オフィス」を開き、学生や研究者の西日本の拠点として活動を始めた。海外機関の研究者が、現職を離れることなく大阪大学にも身分を有し教育研究活動に従事できる「クロス・アポイントメント制度」では、すでに欧米やアジアの大学や研究機関など31機関と協定を結び、優秀な研究者が大阪大学に集まってきている。最先端の研究に従事する外国人研究者と大阪大学の研究者との国際ジョイントラボは、昨年度14件が追加されて計36件が稼働している。

25種類もの専攻言語がある外国語学部の学生に対しては「マルチリンガル・エキスパート養成プログラム」が今年度からスタートした。副専攻プログラムとして文学・法学・経済学・人間科学などを学び、多言語に精通しながら専門知識をも併せ持つ、ハイブリッドな人材の育成に力を注ぐ。

2017年度からは、学事暦を海外で主流のクォーター制(3学期制及び夏期講習期間)に変えて、さらなる学びの充実を目指す。集中講義が多数開けるほか、海外でのサマースクールや夏季の留学生受け入れなど、相互交流もさらに深まる。平野総長は「留学などで海外を体験した学生は皆『ものの見方が変わった』と話します。ものごとを複眼的に見る視点は“調和ある多様性の創造”に欠かせません。他者をリスペクトしつつ、己を知り、己を磨き、大きく成長してほしい」と期待を寄せる。

チャレンジに応える
学生・研究者の挑戦を手厚く支える

進取の気性と 自由闊達 じゆうかったつ な学風の中、学生や研究者のチャレンジを支える仕組みも充実している。今年4月に始まった「学部学生による自主研究奨励事業」は、研究テーマの立案をはじめ指導役の先生への交渉や研究計画の作成もすべて学生が担当。大学は、あくまで学生のチャレンジを補助金などで支援するサポート役だ。その他、若手研究者の共同研究や新たな研究分野の育成に向けた支援プログラムも多数用意されている。

また大阪大学の強みを生かしながら、戦略的課題に大学全体で部局横断的に取り組む「未来戦略機構」の教育・研究推進プロジェクトも展開。物質科学やヒューマンウェア、創薬、認知脳などが先行してきたが、昨年、人文系初となる「グローバルヒストリー研究部門」がスタート。アジア太平洋地域における世界史の研究・教育の拠点として、既成の歴史観にとらわれない新たな視点からの情報発信や人材交流に取り組んでいる。

大阪大学オリジナルウイスキー「光吹」
大阪大学オリジナルウイスキー「光吹」。1500本ほどの限定生産で、4月13日に大学生協で販売し、即完した

新たなプロジェクトが始まる一方で、成果を形にしたプログラムもある。4月に限定販売された大学オリジナルウイスキー「 光吹 みぶき 」は、超域イノベーション博士課程プログラム履修生と酒造メーカーとのコラボから生まれた、まさに調和ある多様性のシンボル的存在だ。企画段階から学生が携わり、大阪大学11学部のイメージを調査。それをもとにメーカーが11の原酒をセレクトし、各学部生の人数割合でブレンドしたという。

「ウイスキーが熟成までに長い年月を要するのと同じく、大学改革も一朝一夕に結果が出るものではありません」と語る平野総長。その視線が見据える未来とは……。「世界適塾」も世界トップ10への夢も、すべては“22世紀に輝く大学となる”ため。その道のりは長くとも、大輪の花を咲かせる日を心待ちに、大阪大学の挑戦はこれからも続いていく。

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