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04月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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特集大学

九州大学

高い国際性を備えたアクティブ・ラーナーを育成

日本を代表する基幹総合大学として、教育・研究分野をリードし続ける九州大学。2014年にスタートした「基幹教育」では、未踏の領域に挑戦し、新たな「解」を見出せる人材を育成している。18年には伊都キャンパスへの移転・整備事業が完了し、“未来型キャンパス”が全面的に稼働する見通し。同年には新学部の設置構想も控え、同大学の今後の展開に注目が集まる。

新たな学問領域を創造する分野横断型の新学部構想

学び続ける能力と姿勢が大事と語る久保総長学び続ける能力と姿勢が大事と語る久保総長

久保千春総長は2015年10月に「世界最高水準の研究とイノベーション創出」、「社会と共に発展する大学」など六つの主要施策からなる「九州大学アクションプラン」を策定し、今後6年間の活動指針を示した。その一つである「グローバル人材の育成」について、次のように語っている。

「グローバル化する社会経済において活躍できる人材が求められています。そのような人材には、文理にわたる基礎的知識と課題解決のための学際的な思考力、課題を発見しその解決のために自律的に学び続ける能力と姿勢が求められます。また、異なる価値観を有する人たちと良好な関係を築いて協働できる外国語運用能力を含むコミュニケーション能力も必須です。九州大学はこのような人材像を目指し、基幹教育や創設準備を進めている新学部などにおいて、海外留学も積極的に取り入れることにより、高い国際性を備えたアクティブ・ラーナーを育成します」

同大学では18年4月の開講を目指し、分野横断型のカリキュラムを特色とした新学部の実現へ向けて取り組んでいる。新しい学問領域を創造し、多様なものの見方や考え方を身につけた人材を育成するのがねらいだ。また、新学部開設に伴い、各学部に「国際コース」を設置する構想を打ち出している点にも注目が集まる。

学生の潜在的な可能性を拡く「基幹教育」のスキーム

課題協学科目の授業の様子課題協学科目の授業の様子

スタートから3年目を迎えた「基幹教育」には、さまざまな成果が生まれている。基幹教育は、従来の座学中心の受け身的な教養教育に代わり、「考え方・学び方を学ぶ」ことに重点を置いた新しい教育スキームだ。その中の「課題協学科目」では、文系と理系の学生が同じクラスとなり、あるテーマに対して協力しながら問題解決の道筋を探っていく。

「学生に聞き取り調査をしたところ、『さまざまな分野の人と話し合い、知の交流を体験する中で、自分の視野の狭さ、自分の考え方の限界に気づかされた』という声が聞かれました。彼らがそこに気づいた意義は大きい。また、他者との交流により、『他者によって救われる私』と同時に、『私も他者に何らかの形で貢献できている』という自分の存在意義にも気づかされる。学生の潜在的な可能性が、基幹教育によって開かれていくわけです」と、基幹教育院長の丸野俊一理事・副学長は解説する。また、丸野副学長は、高校までの学びを「社会にある既存の知識やルールを自分の中に取り入れる“在る文化”」、大学での学びを「どこに問題点があり、それをどう解決していけばいいのかを真剣に考えることで、将来は社会を担う人材になるという“成る文化”創り」と規定。「基幹教育は、“在る文化”から“成る文化”への橋渡しとなるもの」と説明している。

今年2月には、ビッグデータで教育・学習の向上を図る「ラーニングアナリティクスセンター」を、日本の大学として初めて設置した。学生たちの学習活動のプロセスをデータとして記録し、そのデータを分析することによって、教育・学習の改善を行うことが目的だ。生涯にわたり自律的に学ぶ姿勢を身につけたアクティブ・ラーナーの育成に役立つ施設として注目される。

学生の英語力を高める環境とサポート体制

「トビタテ!留学JAPAN」の第4期生(19名)壮行会にて「トビタテ!留学JAPAN」の第4期生(19名)壮行会にて

グローバル人材の育成に向けた取り組みも数多く実施されている。教育面では語学教育に重点を置く一方、「英語を学ぶ」ではなく「英語で学ぶ」教育に力を入れる。また、一つの授業で日本語と英語を両方使う「J/E」授業も実施されている。

正課授業外で英語を学べる場として開設された英語自律学習スペース「セルフアクセスラーニングセンター(SALC)」は、学生一人ひとりの英語力や英語学習ニーズに応じた支援を提供。英語学習相談やTOEFLなどの国際検定試験対策支援に加え、留学生TA(ティーチング・アシスタント)との英会話や外国人教員による勉強会や講演会などを行い、学生が英語に触れる環境づくりに効果を発揮している。さまざまな活動を通して留学生と日本人学生が交流するコモン・エリアとしての役割も果たしており、利用者数が順調に増加している。

文部科学省が実施する官民協働留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」。これまで第1期から第5期まで総勢72名の学生が採用されてきた。採用合計数は国立大学では東京大学に次ぐ全国2位で、意欲的に海外に挑戦する学生が非常に多い。国際性を飛躍的に高めている九州大学から、今後も数多くのグローバル人材が輩出されていくに違いない。

地球温暖化と大気汚染の正確な予測へ挑戦

SPRINTARSのPM2.5濃度予測(全世界)SPRINTARSのPM2.5濃度予測(全世界)

地球温暖化と大気汚染は、きわめて身近な問題であり、同時に国際的な環境問題でもある。温室効果ガスも大気汚染物質も、人類が燃料を使用することによって大気中に大量に放出されている。

九州大学応用力学研究所の竹村俊彦教授は、こうした大気中の浮遊微粒子であるエアロゾルの地球規模での3次元分布をシミュレートするための数値モデル「SPRINTARS」を開発し、それを用いてエアロゾルの気候に対する影響の解析を行っている。

「地球温暖化と大気汚染の関係性は、単に発生源が共通である場合が多いというほかに、もっと深い関係があります。例えば、大気汚染物質として知られている光化学オキシダント。その主要物質はオゾンですが、オゾンは温室効果ガスであるため、地球温暖化ももたらします。また、PM2.5も大気汚染物質ですが、こちらは正味として地球を冷却する効果を持っています」と、竹村教授は解説。地球温暖化と大気汚染は複雑に絡み合っているため、両者を同時に考えながら問題解決に当たらなければならないと指摘する。

そのための科学的根拠資料を作成する研究に取り組んでいるのが、九州大学応用力学研究所気候変動科学分野だ。また、この研究からの派生として、日々のPM2.5濃度を予測するシステムを開発し、その予測結果は生活情報として広く国民に利用されている。九州大学の最先端の研究は、私たちの生活にも深く関わっているといえるだろう。

システム生命科学府 一貫制博士課程 5年 森田 伸友さん システム生命科学府 一貫制博士課程 5年
森田 伸友さん
基礎学習から異分野での応用研究・
海外留学まで幅広い経験ができるのが魅力
もともとロボットなどに興味があり工学部に入学しました。主に機械や制御といった工学的な基礎を勉強してきましたが、医療機器などに興味を持つようになり、現在は工学を軸に医学や農学についても学びながら、医療や農業のためのヘルスケアデバイスの研究をしています。生命系の遺伝子や細胞など幅広い分野のカリキュラムも受講し、自分の専門分野との関連性を見出したときは、大きな刺激になります。また、「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムへの応募・採用を経て半年間シンガポールに留学し、研究を深めました。研究スキルだけでなく、異文化圏での人々それぞれの考え方の違い、逆に共通点などを体感しました。人やメディアから得た海外の情報というのも大事ですが、自ら体験してみないと分からなかったことばかりで、貴重な経験ができたと思います。留学にあたって、九州大学ではこういった留学の準備段階から留学に関する細かな手続きに至るまでサポートも充実しています。
今後はこれまでの知識と経験を活かして社会貢献を目指した研究を進めていきたいと思います。
工学部 物質科学工学科 2年 孟含晴(モウ・カンセイ)さん 工学部 物質科学工学科 2年
孟含晴(モウ・カンセイ)さん
九州大学は留学生が安心して
学習できる環境が整っています
中国・瀋陽市の高校を卒業し、九州大学に入学しました。九州大学は国際化が進んでいて、優秀な先生方がいるため、留学生が安心して学習できる環境が整っています。特に応用化学分野のレベルは抜群で、私が勉強したい分野を深く学ぶことができています。先生から課題を与えられ、グループで研究して発表する授業もあり、自分の力で情報を探す能力が身についただけではなく、チームワークの大切さも学びました。留学生向けのビジネス日本語講座もあり、将来の就業に役立つと感じています。
地域との交流活動にも参加し、ISU(留学生委員会)の一員として、留学生と日本人学生の登山活動や相撲見学などの活動に参加しました。糸島市観光大使も半年間担当しました。今は中国留学生会九州地域宣伝部の副部長として、新入生歓迎会、小学校訪問なども行っています。将来は大学院へ進学し、日本の企業に就職したいと思っています。

九州大学(国)

〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744 TEL:092-802-2130(広報室)

【創 立】1911年
【学 部】文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、芸術工学部、農学部、21世紀プログラム
【公務員試験合格 外務省専門職員】全国5位
【社会人からの評価 自分の子どもに入学してほしい】 全国6位
【大学図書館 蔵書冊数】 全国6位
【外国人留学生数(正規、聴講生、研究生、科目等履修生、交換留学生など)】 全国6位
(いずれも『大学ランキング2017版』より)