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特集大学

新学部で地球規模の諸問題を解決する人材を育成

新学部で地球規模の諸問題を解決する人材を育成

九州大学は2018年4月、52年ぶりとなる新学部「共創学部」(設置申請中)を創設する。人類社会が抱える地球規模の諸問題を解決できる人材の育成という、壮大なスケールの構想。カリキュラムでは文系・理系の枠を超え、人文科学、社会科学、自然科学を横断的に学ぶ。入試制度改革も含めた意欲的な新学部への取り組みに、周囲の期待も高まっている。

人類が抱える諸問題に立ち向かう人材の育成

久保千春総長

2018年4月、九州大学に共創学部が誕生する。歯学部の設置以来、52年ぶりとなる新学部の創設だ。人類社会が抱える地球規模の諸問題に立ち向かい、その解決策を見出すための方法論を学び、国際的に活躍できる高度な人材育成を目指している。

「私たちが暮らす社会は、科学技術の進歩やグローバル化が進み、環境汚染、地域紛争、貧困、食糧問題など、多くの問題が地球規模で起きています。これらは単一の学問領域だけでは解決できません」と、久保千春総長は指摘する。

共創学部の学生は、入学初年度には同大学の他学部学生と同様に、基幹教育課程で自ら学び続ける学習態度(アクティブ・ラーニング=能動的学習能力)を身につけるが、2年次以降は、①文系理系の枠を超え課題解決に必要な、さまざまな学問分野を関連付ける能力(課題構想力)②言語や文化、専門分野の壁を越えて意思疎通できる力(国際コミュニケーション力)③他者と議論し、他者の知識や能力も組み合わせて協働し、諸課題解決に対応する力(協働実践力)④「課題解決型」に立ち向かうための手法(共創的課題解決力)――という四つの能力を学び、修得していく。

他者との協働を学ぶ「チーム基盤型学習法」

共創学部のカリキュラム編成では、人類が抱える諸課題の存在する領域として四つのエリア「人間・生命」「人と社会」「国家と地域」「地球・環境」を設定し、人文科学、社会科学、自然科学を横断的に学ぶ。

また、「チーム基盤型学習法(Team Base Learning)」を積極的に取り入れ、他者と協働して課題解決を行う際の手法や技法、知識の活かし方や合意形成のプロセスなどを学ぶとともに、「英語インテンシブコース」を設け、徹底した英語教育を実施する。

さらには、多彩な留学生とのクラス・シェアや海外大学への留学などを義務付け、異なる価値観や文化的背景を認識してコミュニケーション力の向上を図ることも特徴となっている。

このような教育プログラムは、同大学が17年間積み重ねてきた「21世紀プログラム」の実績が土台となっており、学生自らがオーダーメイドでカリキュラムを組み上げることで、教育効果を高めることになる。

「知識を問う入試」から「能力を見極める入試」へ

まったく新しい学部教育を展開するためには、入試制度も新たなものにする必要がある。同大学が打ち出した新たな入試制度は、従来の大学入試に見られた「知識を問う入試」から「能力を見極める入試」へ転換し、「思考力・判断力を見極め、多様な学生を選抜」するために、AO入試、推薦入試、一般入試、国際型入試の四つのタイプの入試を実施するという内容だ。

すべての入試で、入学後の学習構想を含む「志望理由書」の提出が求められる。また、「21世紀プログラム」入試を引き継いだAO入試と九州大学で初となる推薦入試では、「活動歴報告書」の提出も求められる。前期日程のみで実施される一般入試では、個別学力検査として小論文を課す予定だ。

「九州大学共創学部は、従来の学問方法のトレーニングを中心とした人材養成ではなく、世界が、人類が直面している課題を解決できる新たな高度人材養成を行うことを目的に設立される、日本におけるまったく新しいタイプの学部となります。問題意識を明確に持った、優秀な高校生の受験を望んでいます。大学で特定の専門能力を磨くことを望んでいる方ではなく、現代の世界が直面しているさまざまな具体的な課題の解決をしたいと考えている高校生の方の受験を期待します。入学される学生諸氏には、私たち教員と一緒になって、素晴らしい学部を創ることにチャレンジして欲しいと思います」と、久保総長は高校生たちへメッセージを送る。

共創学部で学ぶことにより、高い専門性と違いを乗り越えられる高度なコミュニケーション能力、そして多様な人々と協働する力を身につけた人材が、同大学で育成される。「明日の世界を共に創り上げる」(久保総長)人材の育成に向けた取り組みに、大きな注目が集まっている。

九大が発見した新鉱物「アブアイト」

阿武石を含む岩石(左上)とその電子顕微鏡像

九州大学は研究分野においても多方面で成果を上げており、世界をリードする研究や社会に貢献する研究を数多く擁している。今年4月には、「九大が山口県で新鉱物を発見――『阿武石』と命名」というニュースが社会的に注目された。

同大学大学院理学研究院地球惑星科学部門の上原誠一郎助教と、理学府博士課程3年の延寿里美さんが、山口県阿武郡阿武町に広く分布するロウ石鉱床の鉱物学的調査中に、未知の鉱物を発見したというものだ。

鉱物は地球型惑星や小惑星を作る基本単位。自然界の物質は生物、微生物、鉱物に分類されており、近代鉱物学は19世紀に確立し、現在まで発展を続けている。

上原助教と学生・院生たちは、主に地球表層の水を含む岩石の野外調査で収集した鉱物の室内実験を行い、岩石に含まれる鉱物やそれらの形成条件を研究してきた。

延寿さんは、卒業研究で阿武町に広く分布するロウ石鉱床の鉱物学的調査を行った。その中に未知の鉱物が含まれていることを確認したが、何かは分からなかった。大学院に進級した後、その詳細な鉱物学的性質の記載を行い、新種の鉱物であることを確信した。

国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物名・分類委員会に申請したところ承認され、この鉱物を阿武石(あぶせき、〈英〉abuite アブアイト)と命名した。

古くから鉱業が盛んで、鉱物学や地質学の研究が進んでいる山口県だが、これまで新種の記載はなかった。阿武石はごく一般的な元素で構成されているにもかかわらず、極めて限られた環境でしか形成されないと考えられる。このような鉱物の性質や産状を調べることが、地表付近での熱水活動の解明につながると期待されている。

興味がある分野を追求する環境が整った大学です
農学部 生物資源環境学科 1年
坂元 渚さん(鹿児島県立甲南高校卒)

九州大学の伊都キャンパスは施設が新しく、広々としてとてもきれいです。留学生が多いことも特色で、英語学習をサポートする「SALC」で留学生の人たちと会話することもできます。私は食品衛生の研究をしたかったので、それには九大の食品衛生科学研究室がぴったりだと考え、農学部を受験しました。

基幹教育では、全学部の学生と交流し、さまざまな学部の情報を共有できます。交友の輪も広がりますし、他学部の学生の考え方を知ることで刺激を受けています。「農学入門」では、各研究室の教授による研究室紹介を含む講義があります。さまざまな研究について知ることができるので、農産食料流通工学研究室も面白そうと感じるなど、自分が知らなかった分野にも興味を持たせてくれるプログラムです。九大は多彩なプログラムが用意されていて、自分の興味がある分野を追求できる環境が整った大学です。

風力発電のベンチャー企業を在学中に立ち上げました
2017年 21世紀プログラム卒
ローン・ジョシュアさん

九大発のベンチャー企業「日本風洞製作所」の代表取締役社長を務めています。自分の研究で新開発した高効率の風力発電技術(特許出願中2件)を製品化するため、在学中に会社を設立しました。温暖化や脱原発が進む中、より低コスト・高効率な再生可能エネルギーの開発に強い期待が寄せられています。私たちのような風力発電技術のベンチャーは、この社会的な重要課題に直接取り組めるというやりがいがあります。

私が在籍していた21世紀プログラムは、複数の学部にまたがって授業を受け、オーダーメイドのカリキュラムを作ることができます。私は風力発電に必要な分野の講義を各学部からピンポイントで受講し、自分を「風力発電のスペシャリスト」に育てるべく勉強しました。受講した学部は8学部にのぼり、非常に効率的でした。講義以外にも勉強の場があふれている九大で、さまざまな勉強にチャレンジしてみませんか。

九州大学(国)

〒819-0395 住所:福岡県福岡市西区元岡744 TEL:092-802-2130(広報室)

【創 立】 1911年

【学 部】 文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、芸術工学部、農学部、共創学部(設置申請中)

【公務員試験合格 国家公務員総合職】 全国8位
【高校からの評価 生徒が伸びた】 全国5位
【大学図書館 蔵書冊数】 全国6位
【外国人留学生 大学院総数】 全国4位(いずれも『大学ランキング2018版』より)