メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

10月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

名古屋工業大学

ものづくり産業の集積地・愛知県で、1905年の開学以来、優れた研究実績を生み出し、日本の繁栄をリードする数多くの人材を輩出。基盤的・先進的工学分野をほぼ網羅する教育体制は、国立の工業大学として全国屈指の規模を誇る。2016年に教育体制をドラスティックに改編。「高度工学教育課程」では産業界を支える中核技術者を、「創造工学教育課程」では新しい価値を生み出し、イノベーション創出を担う人材を養成する。

〒466-8555
名古屋市昭和区御器所町
TEL: 052-732-2111(代表)

工学のイノベーションハブ

「集め」「整え」「創り出す」
大学の中で新しい価値を生み出し
地域、日本、世界に向けて発信する

「大学の持つハブ機能を活用し、イノベーションを創出する」と語る鵜飼裕之学長。

工学のあらゆる分野を網羅し、世界的評価の高い研究成果により「テクノロジーの宝庫」と評される名古屋工業大学。産業界で新しい価値の創造が期待されるなか、鵜飼裕之学長がさらなる研究力強化のキーワードに掲げるのが「工学のイノベーションハブ」構築だ。鵜飼学長は「中京地域はものづくりの集積地。ハブ機能を有する大学を基点として、さまざまな人と組織のネットワークを築き、イノベーション創出の一翼を担っていく」と語る。目指すのは知を集約し、整え、新しいものを生み出す、〝共創の場〟の創出だ。

ハブ構築の軸として注力するのは、産学官連携の推進。とりわけ組織対組織の連携を重視し、2015年に完成した4号館最上階には、企業や公的機関が大学の研究資源を活用し独自研究を進められるスペース「産学協同研究講座・部門」を設置した。また、大学と企業の技術者が意見交換する「パートナーラウンドテーブル」を開催し、新たな研究テーマの創出や共同研究の誕生を促進。学外研究員の雇用が可能な「プロジェクト研究所」の存在も、研究の継続をサポートしている。「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」をはじめ、産学官による共同研究事例は常に国内トップレベルを誇り、2015年度は約250件、16年度は約280件と右肩上がりで増加している。

大学が所有する研究設備の共用化も、産学官連携推進を後押しする。16年度には大型設備基盤センターを活用した「新たな共用システム導入支援プログラム」が、文科省の先端研究基盤共用促進事業に採択された。その流れを加速させるため、同センターと産学官連携センターの一体化も計画されている。

「研究ユニット単位での外国人教員招致」や「若手研究者在外研究員制度」など、ハブ構築ネットワークはグローバルに広がる。一方、あいち産業振興機構、愛知県中小企業診断士協会との「三機関協働支援事業」や、企業技術者が学ぶ「工場長養成塾」など、地域貢献につながる産学官連携共学プログラムも多彩。質量ともに充実した取り組みで、イノベーションを創出し産業界を牽引する。

実践的工学エリート養成

2年目を迎えた「創造工学教育課程」
シームレスな6年一貫のカリキュラムで
工学全体を俯瞰する幅広い視野を育成

コミュニケーション力を磨くため、アクティブラーニングも多く取り入れている。

イノベーションを生み出すためには、一つの専門を基軸としながら、幅広い視野と教養を身につけ、価値基準の尺度を磨くことが必要だ。世界トップレベルの研究・教育環境を通じて名古屋工業大学が養成を目指すのは、社会で活躍できる総合力を備える「実践的工学エリート」。鵜飼学長の言葉を借りれば「哲学の鎧(よろい)をまとった工学技術者」だ。2016年に新設された「創造工学教育課程」では、工学全体を俯瞰する幅広い知識と視点を備え、技術に新しい価値を生み出せる人材の育成に取り組む。 同課程の特色は、分野融合的なカリキュラムが展開されること。そして、学部4年間と大学院博士前期課程2年間の学びが、シームレスにつながる〝6年一貫〟の教育課程になっていることだ。

学生は学部1年前期終了までに、13の専門分野の中から主軸となる分野を選択する。「主軸専門科目」で専門性を磨きながら、「創造工学設計科目」では全専門分野から目標に応じて科目を選択できる。分野の枠を超えた工学センスを養っていく。

さらに「PBL演習」や「クリティカルシンキング」など、論理的思考力やコミュニケーション力を磨く「工学デザイン科目」を履修することで、複数分野にわたる専門知識を有機的に結びつけ、「実践的工学エリート」の基盤を身につけていく。

「研究室ローテーション」や「研究インターンシップ」を、必修科目としている点も大きな特徴だ。「研究室ローテーション」は、学部1年後期から学部3年前期にかけて幅広い研究室を体験し、じっくりと〝自分が学びたいこと〟を見定めていく。一方、博士前期課程で行う「研究インターンシップ」は、学外の研究機関や企業で実施され、うち半数は海外を舞台とする予定だ。

独自に学びの内容が構築できる「創造工学教育課程」は、いわばハンドメイドの教育課程。履修選択をはじめ、学生生活へのきめ細かなサポートが不可欠だ。そこで「創造工学教育課程」では、学生一人ひとりにメンター教員を配置し、入学時から定期的に面談を実施。将来展望をふまえてディスカッションを重ね、学生とともに最適な道筋を探っていく。

女性研究者への活動支援

女性研究者にとって働きやすい環境を整え
卒業生の再チャレンジをサポートする
「OG人財バンクi―net」

「OG人財バンク i-net」の支援を受ける工学研究科情報工学専攻の武藤敦子准教授(前列中央)。

2016年4月に女性活躍推進法が施行され、男性に偏りがちな工学研究分野でも、女性研究者の活動支援が重要な課題になった。名古屋工業大学では、2014年12月に「男女共同参画推進センター」を設立。多様な角度から、女性研究者が働きやすい環境づくりを進めている。

代表的な取り組みが、「OG人財バンクi-net」に登録する名工大卒業生の研究支援員としての活用。女性研究者のワークライフバランス改善とともに、出産・子育てなど、ライフイベントで離職したOGに、再チャレンジの機会を与える独自制度だ。実際に制度を利用する、工学研究科情報工学専攻の武藤敦子准教授は「データ分析やアンケート検証など、重要かつ時間を要する作業を支援員にお願いしています。以前よりも研究の効率が上がり、論文の数も明らかに増えました」とメリットを語る。

実験補助やデータ収集など作業内容はさまざまだが、工学の専門知識を持った支援員は研究活動の即戦力となる。「同じ環境で学んだ支援員なので、意思疎通も図りやすく、何気ない会話が研究のヒントになります」と武藤准教授。制度が始動した当初は、利用者がほとんどいなかったが、センター設立後は女性研究者だけでなく男性研究者にも利用が広がっている。

土日の出勤時に利用できる託児制度や、横のつながりをつくる「女性研究者・技術者の会」も、女性研究者の活動支援の一例。学内で接点の少ない女性研究者同士の交流は、子育ての情報交換や、研究につながるネットワークの広がりを生む。

女性研究者の育成にも力を注ぐ。名古屋市と共催する「女性技術者リーダー養成塾」は、企業の女性研究者とともに地域雇用創出を目指す取り組みで、共同研究に発展する事例もある。また、優れた研究活動を表彰する「女性が拓(ひら)く工学の未来賞」も、若手女性研究者の意欲を高めるための仕掛けだ。

環境の整備が進んでいるとはいえ、まだまだ女性研究者の比率が低い現状の改善に向け、講演やパネルディスカッションなど、積極的な啓発活動を展開していく予定だ。

注目トピック

学内の“つながり”を強化
高度化する教育ICT環境

Beaconで取得した位置情報と連携することで、授業の出席登録などができるアプリ「Nitechピロリン」。

「キャンパスの情報化の推進」を第2期中期目標(2010年度〜)の重点項目に掲げ、ICT環境の整備に取り組んできた名古屋工業大学。NTT西日本と協同し、学内のすべての人が、さまざまな手段でコミュニケーションを取り合える、世界最先端の教育ICT環境が構築されている。

あらゆるツールを統合・連携させた新しい通信システムの魅力は、従来の音声通話に加え、インスタントメッセージの送信や、データ・ファイルの共有、パソコン画面を見ながら複数のメンバーで会議ができること。学生のスマートフォンに直接、緊急連絡や通知メッセージを送ることも可能。世界中にアクセスができることから、海外インターンシップ中の学生との連絡ツールとしても活用できる。

また、キャンパス内に約1600台のBeacon(※)が設置されており、学生の位置情報や移動動線の把握が可能な出席管理システムも導入されている。キャンパスの至る所でコミュニケーションの輪が広がり、親身でタイムリーな学生サポートが可能で、教職員とのつながりも強化された。

さらに、ICT化によって得られるデータを分析し、教育の場に還元する動きも始まっている。例えば、情報工学専攻武藤准教授らはBeaconの打刻履歴から友達グループを推定する研究を行っている。分析結果をもとに、授業で異なるメンバーと共同作業をさせ、新たな人間関係の構築や学びの広がりをサポートし、孤立学生の発見にもつなげる。ビッグデータを利用した学習支援は他大学に前例がなく、名古屋工業大学が誇る「次世代コミュニケーションプラットフォーム」の効果に、各所から注目が集まっている。

※位置情報などを取得するため、常時電波を発信している固定装置。