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10月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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編集長に聞く
「大学ランキング」編集長・杉澤誠記

取材を通して全国のさまざまな大学に接してきた、「大学ランキング」編集長・杉澤誠記に最近の傾向を聞きました。

―進学先の大学を選ぶ際に、受験生が注目すべきポイントを教えてください。

 意外かもしれませんが、「ゼミ・研究室」は重視すべきキーワードですね。ほとんどの大学では、1、2年次は大講義室で講義を受けますが、3年か4年次からは少人数制のゼミ・研究室に所属し、担当教授のもとでテーマに沿って仲間と共に研究していきます。一般的に、文系ではゼミ、理系は研究室と呼ばれます。

 自分が希望する大学にはどんなゼミ・研究室があり、どのような研究が行われているのか。誰が、どういうことを教えてくれるのか。そこで、どのような学びが得られるのか。できる限り、調べておいた方がよいと思います。なぜなら、所属するゼミ・研究室によって、卒業後の就職先や進学先が左右されることも多いからです。

―受験の段階では、どうしても大学名や学部名で大学選びをしがちですよね。

 たとえ有名大学でも、自分の勉強したいゼミ・研究室がなければ、入学後にモチベーションを維持するのが難しいでしょう。多くのゼミ・研究室では、研究実績や論文を公開したホームページがあります。専門性が高く、内容を理解しにくいかもしれませんが、教授や学生の素顔が紹介されていることも。メンバーの人柄や雰囲気が伝わってきて、イメージが湧いてくると思います。他にもオープンキャンパスで情報を集めたり、雑誌やインターネットで検索したり、先輩から話を聞いたり、さまざまな方法で情報を集めておくことをおすすめします。

―受験生にとっては、キャンパスライフも気になります。

 ここ最近、大学のキャンパスで急速に広がりを見せているのが「ラーニング・コモンズ」です。学生の自主学習をサポートする目的で始まったもので、図書館に併設したオープンスペースが一般的です。通信環境が整い、IT機器やモニターが設置されているので、プレゼンテーションにも使えます。静かに集中して勉強をするだけでなく、学生同士が集まってグループ学習をしたり、ディスカッションするなど、能動的な学習にも使われています。

 また、最近のラーニング・コモンズは、学生にとって快適な居場所にもなっています。授業がない日でも利用したくなるような、大学を〝行かなければならない場所〟から〝自らすすんで行きたい場所〟へと変える力があると思います。

―具体的には、どのようなところなのでしょう?

 おしゃれなカフェを思わせる内装を施したところもあれば、インテリアにテーマパークのようなエンターテインメント色を打ち出しているところもあります。大学ごとに独自性を出し、空間としての魅力もあるラーニング・コモンズ作りが行われているようですね。オープンキャンパスの際は、ぜひ、チェックしてみてください。

―そのほか、注目のキーワードはありますか?

 「学生間の交流」でしょう。見知らぬ人と打ち解けるのに時間がかかるタイプの人もいれば、海外からの留学生で、言葉や生活習慣の壁にぶつかる人もいます。こうした学生たちが気軽に参加できる交流の場をサポートする大学が増えています。日本の学生と留学生が一緒に英語で授業を受けるクラスや学生間の交流を目的としたサークルの運営、国際寮で暮らして学内留学を経験できるところもあります。英語力を伸ばし、国際感覚を身につけるうえでも有効なので、どのような体制があるのかを、調べておくとよいでしょう。

 また、「学食」も注目ポイントですよ。学生にきめ細かな対応を行っている大学は、学食のメニューがとても充実しています。特にグローバル教育に注力する大学は、各国からの留学生に対応してメニューのバリエーションが豊かです。

―最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

 大学の個性は、インターネットや資料だけでは伝わりきらないものです。実際にキャンパスを歩き、先輩たちと会話する中で、自分に合うかを確かめることができます。また、気になった大学には、オープンキャンパス以外の日にも足を運んでみるとよいでしょう。キャンパスの空間がしっくりくる、というのも大切なポイントだと思います。

杉澤 誠記(すぎさわ・せいき)

「アエラ大学ムック」「大学ランキング」などの編集長。全国の大学の現在を、豊富な取材を通して分析している。