2025年には、団塊の世代(1947~1949年生まれ)が75歳を超えて後期高齢者となり、全人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の超高齢社会が訪れる。医療費や社会保障費の急増が懸念されるなか、医療の進歩や健康志向の高まりに合わせ、病気やけがの場面だけにとどまらず、健康の維持や増進を含めて、老若男女すべての人の質の高い生活を医療面から支えるスペシャリストの育成が求められる。
高齢社会を迎えた日本で、病気は多様化するなか、体全体のバランスを考える東洋医学が改めて見直されている。医療現場への導入が進み、介護予防やスポーツ選手のケアにも広がると期待されている。
「西洋医学と東洋医学を融合させた新しい統合医療システムを担うメディカルプロフェッショナルの育成が社会的使命だと考えています」と話すのは、関西医療大学の吉田宗平学長。同大学は、この考えをもとに、保健看護学部、保健医療学部で、未来の医療を支える教育に取り組んでいる。
体の痛みや不調を改善するために、人間の持つ自然治癒力を高めること、または治癒力を阻害するものを取り除こうとする東洋医学。「保健看護学科」では、鍼灸(しんきゅう)や漢方などを学修領域に組み込み、心身ともに支えられるホリスティックナースをめざし、より質の高い看護を学ぶことができる。
「理学療法学科」は鍼灸の理論を取り入れた「経穴刺激理学療法」を学べる数少ない学科。けがや病気で障がいを抱えた人の回復をサポートする理学療法士は、スポーツ分野にも活動の場が広がり、同大学がテーマとしている"治せるセラピスト"への期待が高い。「臨床検査学科」は、正確な検査技術を養い、物事の本質を見抜き、高度なチーム医療の一員として活躍できる力を身につける。
東洋医学の神髄とも言える鍼灸を本格的に学べるのが「はり灸・スポーツトレーナー学科」。鍼灸はスポーツ分野での活用も進み、アスレティックトレーナーの資格取得にもつながる技術を磨いていく。「ヘルスプロモーション整復学科」は、柔道整復師の知識と技術をベースに、健康運動実践指導者ら、健康面や生活習慣病予防を指導できるプロを育てる。
関西医療大学での学びは、「人々が自らの健康をコントロールする」という予防医学的な側面も持ち、豊かで質の高い生活を支える人材として、さらに活躍の場が広がるだろう。
徹底した「現場主義」のもと、同大学は臨床教育を重視し、全学科で実習時間を多く取り、数多くの現場を経験して、より実践的で専門性の高い実力を身につける。
充実した設備に加え、キャンパス内に附属診療所、附属鍼灸治療所、附属接骨院を併設。住民検診、脳ドックなど地域の医療機関として実際に機能する「現場」が、日常的に学生たちの臨床教育に活用されている。1年次から附属施設で臨床現場の見学や実習が段階的にスタート。また、学外の医療施設でもさらに実習を重ねながら、専門的な知識や技術に加えて、コミュニケーション能力を高めていく。学科を超えた交流も盛ん。現在、医療現場では、複数の専門家との連携が不可欠であり、こうして培われる「現場力」がチーム医療を担う人材を育てる。
さらに、附属施設では、診察に加えて地元住民を対象に健康教室や健康相談も開催。教員とともに一般の人と交流することで、学生たちは医療現場が持つ地域拠点としての役割や地域連携の大切さを肌で知ることができる。
また、学内の全人工芝サッカーグラウンドに地元の中高生や社会人チームを招き、スポーツトレーナーとしての実践力を磨く取り組みも行われている。
現場主義に鍛えられた学生は、実習先でも評価が高く、そのまま就職につながるケースも少なくないという。今後ますます医療へのニーズが高まる中、「医療で人の支えになりたい」と夢に向かって進む学生を、関西医療大学は送り出す。
手厚いサポートで視野広がる / 打越 美翔さん(看護師・2014年3月卒業)
在学中は日頃の授業から、国家試験対策、個別指導、就職活動まで、先生方の手厚いサポートがあり心強かったです。大学での学びを通して視野も広がり、念頭にあった看護師に加えて保健師の資格も取得しました。一つひとつ課題をクリアしながら、今後も成長していければと思います。
現場実習で正しい“目”を養う / 山本 将揮さん(理学療法士・2013年3月卒業)
中学の頃に野球で肩を痛めて理学療法を経験。今度は自分がサポートしたいと理学療法士を志望しました。在学中は先生方が夏休みにも授業を行ってくれるなど熱心に指導。現場実習を通して人間の正しい動作を見極める“目”を養うことができました。今後もスキルアップしていきます。
業務範囲が広く医療にやりがい / 米田 季布さん(4年)
病気の発症メカニズムや微生物の検出方法を探る「微生物検査学」では、微生物名を覚えるのが大変でしたが、先生のプリントをまとめ直したり、分からない点を調べて理解を深めました。臨床検査技師は業務範囲が広く、医療での役割も大きいので、やりがいを感じています。
実践で理解深めて夢へまっすぐ / 阿部 峰歩さん(4年)
水泳とテニスをしていた小2の時に初めて鍼灸治療を経験してから、ずっと鍼灸師になりたい気持ちは変わっていません。今はトレーナーの勉強をしていて、車いすバスケットボールチームのボランティアも。今後ますます注目されるスポーツの現場に、トレーナーとして関わっていきたいです。
幅広い知識と視点が今も役立つ / 谷内 翔太さん(柔道整復師・2013年3月卒業)
職場では手技療法と専門機器を使った運動療法のサポートを主に担当しています。会話の中の一言が、痛みの原因を見つけるきっかけになることもあるので、施術中は常に気を配っています。今は大学併設の専門学校にも通学。大学で身につけた幅広い知識と視点が、仕事に役立っています。
特待生は公募推薦Ⅰ期と一般前期A・Bから、学科ごとに入学定員の10%を上限に一律40万円の授業料を減免する。1年次は公募推薦Ⅰ期から各学科1人ずつ、残る人数を一般前期A・Bの成績上位20%から選考。2年次以降も選考があり、AO入試や推薦入試での入学者にも「スカラシップチャレンジ制度」などが用意されている。