朝日新聞
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大学力2017 Power of University

関西学院大学 ハンズオン・ラーニングセンター始動 実社会に入り課題を発見し行動する学び関西学院大学 ハンズオン・ラーニングセンター始動 実社会に入り課題を発見し行動する学び

主体性、タフネス、多様性理解のマインド体得のために

関西学院大学は2014年に「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」に採択され、スクールモットー“Mastery for Service”(奉仕のための練達)を体現する世界市民の育成とともに大学改革を進めています。

SGUに採択された「グローバル・アカデミック・ポート」構想の大きな特長の一つが、国連や国際機関で働く人材を輩出することです。本学は国連ユースボランティアの派遣を04年に始めるなど国連での活動が根づき、今年4月に大学院副専攻「国連・外交コース」を開設。コース開設を記念した講演会では、国際原子力機関の天野之弥事務局長と受講生が英語で熱い議論を繰り広げ、学生のレベルの高さを実感しました。また、23年度までに協定校への海外派遣学生数日本一(年間約2500人以上)を目指しており、16年度は約1400人と目標を大幅に上回っています。学内の留学フェアの参加者も急増し、留学に関心を持つ意欲的な学生が増えているのを感じます。

村田 治 学長

そして、同構想の柱の一つ「ダブルチャレンジ制度」の3プログラムの一つ「ハンズオン・ラーニング(実践に基づく教育)」を推進する「ハンズオン・ラーニングセンター」が今春、始動しました。学生が主体的に社会の課題に向き合い、解決するための視座や手法、態度を身につける教育プログラムを開発・提供します。

特に重視しているのが「問題発見能力」を養うこと。問題の所在を明らかにできれば解決の糸口が見え、イノベーションを起こせます。変化の激しい社会の中では次々に新しい問題が起こり、自ら解決しなくてはなりません。学外の現場に身を置くと、解決するための知識不足に気づき、それがモチベーションとなって、自分の専門をはじめとする勉強に果敢に打ち込むようになります。

昨年、ハンズオン・ラーニングの一環として行った「PBL※1特別演習(福島から原発を考える)」では、ニュース番組でキャスターを務める村尾信尚教授と学生が福島第一原子力発電所の敷地内に入り、風評被害や日本のエネルギー問題などをそれぞれの視点で考察しました。自ら課題を見つけ、主体的に学ぶことで問題発見能力は鍛えられます。ハンズオン・ラーニングは本学が目指す人間像「主体性、タフネス、多様性への理解」が身につく、大学教育の根幹となる学びです。

※1 PBL(Project-Based Learning):問題解決型学習

福島第一原発・免震重要棟内で意見交換会

1、2年生をターゲットに鍛え「知的基礎体力」を習得

ハンズオン・ラーニングセンター(以下、センター)は、「キャンパスを出て、実社会を学ぶ」実践的・体験的な教育プログラムを開発・提供する部局だ。学生を責任あるひとりの社会人と認め、企業・行政・地域と連携・協働して「知的基礎体力」を習得させ、社会を探究し続ける学修者を育てる。「知的基礎体力」とは、社会の課題に自ら向き合う学習姿勢・思考・方法論を身につけることを意味している。

教育プログラムの基本方針として以下の三つを挙げる。一つは「視野の拡大、視座の確立」。主な履修対象を1、2年生とし、多様なテーマでの学びから視座の確立を目指す。二つ目は「徹底した思考、言語化の鍛練」。実践的な現場での知見を一過性の学びに終わらせないよう、演習・実習の事前・事後に学習を組み合わせ、「振り返り」を行い自分の思考を言語化、文章化する。三つ目は「主体的・能動的・継続的な学修者の育成」。現場で気づきを得ることで、もっと学びたいという学生の「学びのスイッチ」を入れ、3、4年生で行うゼミなどの専門的な学びや大学生活、将来にわたって学び続ける力を養っていく。

高大接続でも重要な役割を持つ。高校時代アクティブラーニングに取り組んできたSGH校※2、SSH校※3などの生徒が、大学でも挑戦し続けられる魅力あるプログラムを展開する考えだ。

※2 SGH校:スーパーグローバルハイスクール指定校

※3 SSH校:スーパーサイエンスハイスクール指定校

学生の挑戦を後押しする魅力あふれる科目を提供

今年度にセンターが開講する科目は、カリキュラムマップのように四つに大別される。センター長の角野幸博教授をはじめ、センターに所属する木本浩一教授、奥貫麻紀准教授、勝又あずさ准教授ら教員と、教務機構の永嶋恒治課長を中心とした職員が心血を注いで作り上げた、“学生を本気にさせる”科目だ。

ハンズオン・ラーニングセンター カリキュラムマップ

センター開設に先立って昨年から始まった「社会探究実習(豊島環境FW)」ではポスト産廃の豊島の「社会」を探究する。担当教員の木本教授は「産廃問題が『終わった』豊島をあえて選びました。産廃問題を調査するのではなく、産廃問題があった地域においていかに問題を設定するのか、自分なりに格闘してほしい」と話す。現地では誰にどのような話を聞いて、何を考えるのか、学生自らが判断し行動する。「事前準備はしていますが、学生をいい意味でほったらかしにもする。教員がケアしすぎると学生は主体的になれません。『力がついている手応えがある!』と学生が自信をもって言えるよう、共に学んでいます」

フィールドワークで得た成果をもとに、具体的な提案を住民に発表。「社会探究実習(豊島環境FW)」から

キャリア教育全般もセンターが展開する。勝又准教授が担当する「キャリアゼミB」は東京での合宿形式の授業。企業の現場を訪問し課題解決に向けてチーム力を発揮する。OB・OGもアドバイザーとして参加し互いに学び合う場が形成される。後続科目には、アプローチする企業を学生自身が開拓する「キャリアゼミC」がある。

今年度から新たに開講されるのは7科目。その一つが「社会探究実践演習(朝来活性化プロジェクト)」だ。フィールドは「日本のマチュピチュ」と呼ばれる竹田城跡のふもとにある兵庫県朝来市の城下町。急速に観光地化することで起きる諸問題を商工会や観光協会などと連携・協働しながら活性化について調査・提案する。

戦時中、戦後の暮らしについて話を聴く「社会探究実習(江田島平和FW)」から

「ハンズオン・インターンシップ実習」も注目だ。夏季や春季休暇の1カ月間を利用し、尼崎市や能登などの地域で実践的なインターンシップに参加する。「1、2年生のうちに企業現場に身を置き、熱い経営者らとともに汗をかき、自分の課題と将来の可能性に気づいてほしい。多様な実社会で実践的に学び成長することで、次の挑戦へとつながります」と担当の奥貫准教授は語る。

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