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07月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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【緊急特別企画】 田原総一朗さん&林修さんが「岳飛伝」を語る

「岳飛伝 -THE LAST HERO-」トレーラー
STORY時は12世紀。宋(北宋)は北方の強国・金に国土の半分を奪われ、最大の危機を迎えていた。先帝と皇帝が金へ連行された「靖康の変」により、江南へ追われた皇帝の弟・高宗が即位し南宋を興す。だが戦局は好転せず、領民は家族を奪われ、生きる望みを失っていく。そんな人々を守り、故郷を取り戻したい一心で百戦錬磨の智将・岳飛が立ち上がる。背中に刻まれた「尽忠報国」の精神で義兄弟たちと無敵の岳家軍を率いて次々と金の軍勢を打ち破っていく。だが、岳飛の敵は金だけではなかった。岳飛に降りかかったあまりに悲しい運命とは!?

私たちは今こそ彼を知る必要がある忠義を尽くした中国史上希代のヒーロー「岳飛」

 中国の歴史において、圧倒的に支持されている英雄「岳飛」。権力を欲せず、無双の武勇と誠実な人柄で人々に広く慕われた彼の、知られざる生涯を描いた超大作ドラマ『岳飛伝―THE LAST HERO―』がDVDとして日本に上陸。なぜ今「岳飛伝」なのか。その意味を田原総一朗さん、林修さんが考える。

中国の人々が愛してやまない英雄

田原 中国の歴史小説『三国志演義』『水滸伝』はこれまで幾度か読んでいますが、正直、岳飛のことは知らなかった。中国にこんなすごい英雄がいたとは。

 僕は幕末の志士・橋本左内が好きなのですが、彼が岳飛を尊敬していたので名前と功績は把握していました。でも今回、DVD『岳飛伝―THE LAST HERO―』を観(み)てようやく全容をつかんだような感じです。中国でナンバーワンの英雄を尋ねると、最初に必ずその名が挙がるほど実は有名な人物です。このDVDはそんな宋代随一の武将・岳飛の壮絶な人生を描いています。

田原 とにかくスケールが大きくて驚いたね。日本の歴史ドラマとは比べものにならない。無数の馬、無数の人が出てきてダイナミック。迫力がすさまじい。一騎打ち、城攻め、砲撃戦などバトルシーンも多種多様で全編にわたって展開されていますが、どれもかなり見応えがありました。

 岳飛役のホァン・シャオミンが実にいいですよね。目力があってカッコよくて。アクションもすごい。映像の印象は『三国志』よりも日本の漫画『北斗の拳』に近い感じ。岳飛は超人的な技を使いますから。

田原 感心したのはやはり岳飛の圧倒的な強さ。彼は岳家軍という軍を率い、強国金との戦も次々に勝利していく。時には少ない軍勢で大軍の敵陣を打ち負かしてしまう。戦術も相当長(た)けている男ですよ。

 その上、文才もあり、彼の詩書は江戸時代の日本でも人気だったそうです。明治時代には西郷隆盛が自身の心情を岳飛に例えて詩を詠んでいます。前述の左内もそうですが、岳飛の精神は幕末の志士たちにも相通じるものがあったんでしょうね。

林修さん

予備校講師

1965年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。日本長期信用銀行を経て東進ハイスクールの現代文講師となる。現在は「林修の今でしょ! 講座」(テレビ朝日系)、「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)などテレビ番組にも多数出演。

林 「一つの信念のために生きる。岳飛のその愚直さにやられました」

岳飛の一本筋の通った生き様に感動

田原 印象深いのは岳飛の母親の言葉。「何のために戦うのか。何のための忠義か。仁のため」と。その母親が「尽忠報国」と岳飛の背中に入れ墨をするシーンがあったでしょう。あそこも衝撃的ですね。母親への畏敬(いけい)の念を強烈に描いています。また、岳飛は妻や子どもへの思いも熱い。あんなに家族の絆を強く描いているということは、今の中国はそんなに家族の結びつきが強くないのかな。

 どうでしょう。ただ、ふだん予備校で生徒に接していて思うのは、母親から絶対的な信頼、強い愛着を得ている男子ほど精神的な強さがある。勝手な推測ですがいわゆるマザコンに優秀な男子が多い気がします。

田原 なるほど。それと岳飛は筋の通し方に目を見張るものがある。どんなに裏切られても仕返しせず、上の命に殉じる。あそこも彼の人間としての魅力。私利私欲も一切ない。あの真っすぐさは今の時代に欠けているからこそ、中国でも支持されるんだろうね。

 物語は最初、宋対金という国と国との戦いなのですが、いつしか岳飛対秦檜(しんかい)の戦いという構図に変わっていきます。本当の敵はまさに味方にいるという感じで。この秦檜は宋の皇帝・高宗の参謀で、歴史上では最悪の奸臣(かんしん)と呼ばれています。

田原 真実はわからないけれど、この『岳飛伝』を見る限りにおいては間違いなく悪いやつ。卑劣でいやらしい感じです。

「戦場での岳飛の超人的な活躍を見事に映像化したドラマです」 田原

田原総一朗さん

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経てフリー。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」などに出演。近著に『おじいちゃんが孫に語る戦争』(共著)、『愛国論』(百田尚樹共著)など。

岳飛はトップの器ではない!?

 こういうやからをはびこらせるのは、結局トップに力がないから。ここで言えば、高宗があまりにもへなちょこ過ぎる。器でない人がトップに立つととんでもないことになる。

田原 ただ高宗の代わりに岳飛が皇帝になれるかと言えば、そうでもない。彼はあくまで戦闘が得意な将軍。非常に直線的で間違ったことが許せないタイプ。だから政治のトップには向かない。

 岳飛が政治を行うには傍らに優れた参謀が必要ですよ。実は『岳飛伝』には『三国志』における諸葛亮のような参謀がいない。僕自身が参謀タイプなので気になって。

田原 確かに岳飛がその場で瞬時にすべて決断している。部下はそれに忠実に従う。参謀もいるんだけれど、意外にその存在は影が薄い気がする。

 岳飛にもっと強烈な参謀がいたら、歴史もまた大きく変わったかもしれませんね。

田原 僕が思うヒーローとは、最後は非業の死を遂げる人。日本で言えば西郷隆盛、源義経あたり。あとは岳飛と息子の岳雲の関係にぴったり合致するのが楠木正成(くすのきまさしげ)と正行(まさつら)親子だね。林さんはどう?

 岳飛が西郷隆盛で秦檜が岩倉具視かなと。ヒーローの誕生にはちょうどいい敵が必要なんじゃないかとも思うんですよ。

田原 確かに。敵によって不当に追い込まれ、悲劇的な最期を遂げるからこそ、ヒーローとしてその名を歴史に残せるのかも。

 いずれにしても岳飛の生き様を通して、いつの世にも人として守らなければならないものがある、それに殉じて生きるって美しいなと感じてもらえたら。岳飛にはなれなくとも、自分の生きている世界でもう一度、何が正しくて何が間違っているのか、一つの信念のために生きるとはどういうことなのか、なんて考え直すのに最適な物語です。

田原 うまくまとめましたね(笑)。とは言え、あくまでエンターテインメント。圧倒的なスケール感とダイナミックさに純粋に酔いしれてもらってもいいと思う。

 「あ、こういうやつ、いるよな」と身近な人を登場人物と照らし合
わせても面白いです。個性が強烈な人ばかりなのでそんな風にも
楽しめます。

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