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広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

ニッポン、グローバル人材のリアル

デジタルネイティブ世代が捉える「世界」とは?
次世代グローバル人材に求められる資質

デジタルネイティブ世代が捉える「世界」とは?次世代グローバル人材に求められる資質

いま、教育を受けている10代・20代は生まれた時からITが生活の中に入り込んだ生粋のデジタルネイティブ世代だ。彼らにとって、インターネットはツールではなく、もはや生活に欠かせないライフラインである。

文字ではなく、画像や動画がメインカルチャーになったいま、彼らは国内発信・海外発信を問わず情報をフラットに受け取る。

そんなデジタルネイティブ世代は、「グローバル」をどう捉えているのだろうか。そして、このような時代にグローバルに活躍できるのは、どのような人材なのか。

それを探るために今回お話を伺ったのが、千葉商科大学の国際教養学部長、宮崎緑教授だ。

同校では、グローバルの最前線で活躍する企業と組んで、次世代型グローバル人材の育成を進めている。その取り組みには、海外のさまざまな大学から協定のリクエストがあるという。

千葉商科大学教授 国際教養学部長
宮崎 緑(みやざき みどり)
千葉商科大学教授。国際教養学部長。
奄美パーク園長、田中一村記念美術館館長。税調や東京都教育委員等、政策決定過程にも参画。編著に『大学維新への挑戦』等。NHK報道局「ニュースセンター9時」初の女性ニュースキャスターをつとめた。

デジタルネイティブ世代に広がる、「内なるグローバル化」

―日本の学生の留学数が年々減っています。理由の一つには、少子化が関係しているとは思いますが、実際に現場で学生を見て何か変化を感じることはありますか?(以下敬称略)

宮崎 よく「学生の内向き傾向」と言われますが、現場にいるとそれには違和感があります。

情報機器が発達して、SNSをはじめとしたネットワーク社会になったことで、オンラインで世界中とつながれるようになりましたので、「今さら留学に行くまでもない」と考える方がいらっしゃるかもしれません。けれども、ネットの情報と実際に行って肌で感じ触れ合った情報は違いますし、学生たちもそれを理解しています。一方で、グローバル化の視点で見てみると、いまは20世紀的な文脈から変化があり、「内なるグローバル化」が進んでいます。

―「内なるグローバル化」とは、どういうことでしょうか?

宮崎 日本のなかで、海外にルーツを持つ、あるいは、違う文化にアイデンティティを持っている人たちが増えています。たとえば、ご両親のどちらかが海外の方。あるいは、生粋の日本人なのだけれど、言語も生活も文化も海外という帰国子女や中国残留孤児だった方のお孫さん等となると、やはり文化や感覚は違います。また、外資系企業はじめ外国人労働者との競争も必要になってきました。むしろ、そういった背景があることで、海外をより身近なものとして捉える人は増えているのではないでしょうか。学生たちが外に目を向ける意欲を失ったわけではないと思います。

―それでは、なぜ学生は留学をしないのでしょうか?

宮崎 私が現場で見るなかでは、大きな理由は就職だと思います。日本の学生は、3年生になった途端に、一斉に就活体勢に入りますよね。そこで長期間、日本を留守にするのは、就活において極めて不利な状況だと判断する現実主義的な学生が増えてきたんです。

海外に出るのは、会社に入ってからでも海外勤務などの形で機会はたくさんあります。だからこそ、まずは日本での足固めが重要と考える。学生が理想で突っ走らずに、現実的になってきたというのが全体の傾向だと思います。

―外に出る意欲がなくなったのではなく、より現実的な選択をとるようになったということなんですね。はじめから海外に出る選択肢を選ぶ人は少ないんですか?

宮崎 わたしは教育委員を長年務めているのですが、実はいま、高校から直接海外の大学に行く学生が、ここ数年で飛躍的に増えています。

20世紀型の留学というのは、行ってみてから「思ってたのと違う」と感じることが多かったと思うのですが、いまはかなり細かく調べてから、ポイントを絞って行けるようになっています。「この教授のもとで学びたい」という希望も叶いやすくなっていると思います。

―留学で得られる一番重要な経験って何だと考えていますか?

宮崎 一番重要なのは、人脈のネットワークです。留学をするような学部やコースというのは、その国の学生だけじゃなくて世界中から留学生が来ますから、さまざまな国の学生と仲良くなることができますよね。友達というのは、個人にとって一生ものの資産になります。

留学先で様々な国の学生たちと仲良くなり、それぞれの国に帰った後もSNS等で繋がっています。すると、その国のニュース等がどんなメディアよりも早く、当事者の中継で入ってきたりします。

まさに今、進行中の事件などが現地から映像も含めて実況のように「手の中」に入ってくるのをみて、私は少し感動しました。SNSの技術が進歩したからこそできることであり、同時に、日本にいながらにしてなんでも情報が取れるのではなく、現地とのネットワークがあるからこそできることだと、改めて思いましたね。

次世代型グローバル人材には何が必要とされるか

―先ほど、「グローバル化には20世紀型の文脈からの変化があった」と話されていましたが、これからのグローバル人材というのはどのような存在だとお考えですか。

宮崎 20世紀型のグローバル人材というのは、自らの文化を尊重するより、グローバルスタンダードに合わせることが重要とされていたように思います。

これまでの国際系の高等教育では、まず語学ありきのカリキュラムが中心でしたが、世界に通用する真のグローバル人材の基本は、異文化理解とそれを支える豊かな教養にあり、語学はあくまで手段です。世界を理解するためにはまず、自らのアイデンティティを確立し、その価値軸で座標を組み立てて国際情勢に向き合う能力が必要になると思います。

―次世代型グローバル人材に必要なのは、異文化の理解、そして自国の文化を軸にしたアイデンティティの確立なんですね。

宮崎 たとえばいま、カタルーニャで起きていることやスコットランドの独立志向、多発するテロ等の背景に何があるのか、深い洞察とともに、「自分は何者でその事態をどう捉えるか」と、自らの文化や価値観を踏まえて語れる力をそなえていれば、異文化圏の人々とも強い絆を築くことができるようになるでしょう。

―次世代型グローバル人材を育成するために、国際教養学部ではどのようなカリキュラムを組んでいるのですか?

宮崎 そういった学習をさせるには、従来の古典的学問体系では対応しきれない部分があります。「日本を知る→周辺(アジア)を知る→世界を知る→世界とつながる(2年次必修留学)」というふうに、カリキュラムのスパイラル構造を創り上げて、実践しています。また、外と出入りしやすいようにクオーター(4学期)制をとっています。

―やはりはじめに「日本を知る」ことから始めるんですね。

宮崎 自分のアイデンティティと判断の軸がないと世界は見えませんので、まずはそこをきちんと作るということで、「日本研究」という講座から始めています。講座では、鎌倉の禅寺へ連れてって座禅を組ませたり、神社でお祭りに参加させるなどの実地研修がありますが、ただ体験するのではなく歴史や教科書を表面的に勉強しただけではわからないような部分を深めさせるような工夫をしています。

日本を知ったところで、次にアジアを中心に周辺を知る。アジアから徐々に世界に広げていって、最終的には、地球大の土俵に自分の軸足を定めて全体を見渡せるようになってもらうためのカリキュラムです。

企業が内側から入り込んだ大学教育をつくる“アドバイザリーボード”

―カリキュラムは、どのようにしてつくられたのですか?

宮崎 本学部には、企業から教育方針についてアドバイスをいただくアドバイザリーボード(諮問委員会)というものがあります。この学部を設計する段階から計画に入っていた仕組みなのですが、企業の方々に外側からじゃなく内側に入り込むような形で大学教育に参加してほしいと考えたのです。

―どのような会社が参加されているのですか?

宮崎 実際に海外で活動している会社を中心に、6社が参加しています。アドバイザリーボードの議長を務めるのは、アジアを中心に企業の海外進出をサポートしているマイツグループの池田博義さんです。学期はじめの学年計画や、学期末にその実行についての結果報告をアドバイザリーボード提携企業に行い、アドバイスをいただきます。かなり辛辣な意見もいただくようにしており、それを反映することで、カリキュラムの中に「企業の考え方」も練り込まれるような形になっています。

―そのような形をとることによって、どのようなメリットが生じていますか?

宮崎 アドバイザリーボードに提携している企業は、第一線でビジネスを推進している会社です。いま社会ではどのような人材が求められているのか、学生をどう育てていくのかなど、客観的な立場から判断していただくことができています。

―社会から求められている人材がダイレクトに伝わるということなんですね。実際に企業からはどのような意見をいただくのですか?

宮崎 たとえば、「1年生がたった数カ月でTOEIC800点取った」という報告をしたら、「TOEICで800点、900点取っても、使えない人材は使えないのだから、よく育てるように」と(笑)。

―なかなか辛辣ですね……。

宮崎 そうなんです……。けれども、海外で活躍するために何が必要かということを学問的に考えるのは私たちです。そのような意見をはっきり言っていただけるのは、やはりありがたいことです。

―それだけ企業の方々が本気で関わってくれているということなんですね。

カリキュラムの出発点は“海外フレッシュマンキャンプ”

―世界を知るために、「まず日本を知ることからはじめ、徐々に世界へと目を向けていく」と、自国文化の理解を念頭に置いていらっしゃいますが、カリキュラムは海外からなんですね。

宮崎 うちの学部の大きな特色のひとつなのですが、「フレッシュマンキャンプ」といって、入学式の式典直後に、そのまま5日間程度海外へ連れていってしまいます。

―入学式後にそのまま海外キャンプとは、斬新ですね。どのような意図で行っているのですか?

宮崎 大学生活の第一歩を「日本の外」から始めることで、外から日本を眺めたある種のカルチャーショックを感じてほしいんです。

ただ観光に行くのではなく、海外の提携先大学の学生とのコラボレーションをしてもらいます。向こうのアグレッシブな学生たちと交流することで、「ずいぶんのんびりした生活をしてきたんだな」と、さまざまなカルチャーショックを受けて、ぐっと学修意欲が高まったところから勉強をはじめてもらうことが目的です。

―はじめにカルチャーショックを与えてモチベーションを高めてから、学習に入るという流れはとても合理的ですね。なぜこのような取り組みをはじめたのでしょうか?

宮崎 簡単に言うと他大学の国際系学部との「差別化」です。国際教養学部は、世界に通用する本物のグローバル人材をつくるため、学部の設計やデザインを試行錯誤しながら2年間かけてつくりました。

―試行錯誤の2年間とアドバイザリーボード提携企業からのアドバイスからつくられたプログラムなんですね。実際にフレッシュマンキャンプを経験した学生たちからはどんな声が上がっていますか?

宮崎 「向こうの学生のアグレッシブな姿勢に影響を受けた」という学生や「メディアの情報を鵜呑みにせずに、自分の目で見て肌で感じたことを大切にしないといけない」という学生が多かったですね。

―そのようなカルチャーショックは、実際に生身の体として海外に行ったからこそ感じられたものなのでしょうね。本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

“語学力”だけじゃない国際教育を目指す千葉商科大学の国際教養学部

千葉商科大学が目指すのは、ただ単に“語学が堪能な人材”ではなく、深化していくグローバル社会において力を発揮するための本質的なグローバル人材の育成だ。

カリキュラムは、「世界で働く」「世界と働く」「世界をもてなす」をキーワードに組まれ、多面的に活躍していくための力を持ったたくさんの学生達が今この瞬間も成長を続けている。

千葉商科大学 国際教養学部リンク

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