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広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

ニッポン、グローバル人材のリアル

「多能工化」が実現する働き方改革。
子育て世代が実感したメリットとは?

noritakeが取り組む「多能工化」子育て世代が実感したメリットとは?

労働は進化した。「勤務時間」と「勤務場所」が固定されていた20世紀に比べると、今はテレワーク、フレックス制、時短勤務など、様々なワークスタイルが当たり前のものとなっている。「働き方革命」が意識されるようになり、「ワークスタイル」は、もはやただの制度ではなく企業のブランドを左右する要素ともいえる。

労働者にとって魅力的であり、業務効率が向上する制度とは何か?というテーマは多くの企業で追求されている。 高級食器メーカーとして知られるノリタケカンパニーリミテドも、そんな企業のひとつだ。

創業110年を超える老舗で、食器づくり以外にも様々な事業を展開するノリタケの切り札は、「多能工化」だ。もともとは、製造業などで積極的に進められていた取り組みだが、昨今は様々な職種・業務で効率化の手段として広まっている。

今回は子育てをしながらノリタケで研究開発を行っている加藤夕子さんと、技術開発を担当する男性である岡田和之さん、人事部で社員の就労実態をよく知る伊藤亜衣さんにお話を伺った。

株式会社ノリタケカンパニーリミテド
岡田和之さん
工業機材事業本部 研削ソフト技術部 加工技術グループ(神守工場)

株式会社ノリタケカンパニーリミテド
加藤夕子さん
開発・技術本部 研究開発センター 電子材料開発グループ(三好)

株式会社ノリタケカンパニーリミテド
伊藤亜衣さん
経営管理本部 人事部 労務厚生課(本社)

食器づくりの技術を応用・発展させる、ノリタケの事業

―本日は、よろしくお願いいたします。まずはみなさんの業務内容について教えてください。(以下敬称略)

岡田:私はノリタケが開発した商品や技術についての性能評価を行っています。具体的には金属などを研削する砥石を扱っており、BtoBで様々な部品の加工方法の提案や、お客様の求める製品の共同開発を行っています。

加藤:私が所属しているのは研究開発部署です。電極ペーストという、電子機器に使われる素材を研究しています。最近では、低温で形成可能な樹脂を使った製品などの開発をしています。

伊藤:私は人事部で、労働実績の確認や給与計算などがメインの業務になります。その他にも福利厚生、雇用保険、社会保険に関する業務を行っています。

―「ノリタケ」と聞くとまず「高級食器」を思い浮かべると思いますが、実は現在の食器事業の売り上げは全体の約8%(2016年度実績)で、その他に様々な事業を展開していますね。

岡田:そうですね。もちろん食器づくりが基になっているんですが、その技術から応用・発展した事業を展開しています。砥石に関しては、お皿の裏の糸底と呼ばれる部分の研磨に使われていた技術です。私の取引先でいえば、身近なものでは自動車や電車などの乗り物があります。工業用砥石を使わない乗り物はないと思います。

加藤:電子ペーストなどの電子素材でいえば、陶磁器づくりの原材料を混ぜる技術や絵付けに使う転写紙の技術から始まっています。ペーストは導電体、絶縁体として電子部品の材料に使用されています。みなさんが持っているスマートフォンや自動車部品に応用されています。

働き方を変革する「多能工化」という取り組み

―ノリタケが取り組む「多能工化」とはどういったものなんでしょうか。

伊藤:私の部署では様々な事務仕事がありますが、以前はそれぞれに専門が決まっていて、他の業務についてはくわしくわからないという状況でした。でもそれでは従業員の方に質問されても答えられなかったり、休みを取りたい場合にも制限がかかってしまうということがありました。そこでひとりひとりがすべての業務をこなせるようになることで、問題を解消するという考え方です。

岡田:BtoBの業務では、お客様を待たせることになってしまうので、自社の潜在的な損失に繋がりかねない。業務のスピードアップという意味でも、必要な取り組みだと思います。

―具体的にはどういったことをしているんですか

伊藤:人事部としては、まずそれぞれの仕事をグラフ化し、それぞれの仕事量を可視化しました。それを基に仕事の割り振りを行って、負担の平準化を図っています。また、こまめにジョブローテーションすることで、いろいろな業務を経験することにも役立てています。

加藤:新製品の開発などは、どうしてもその人しかできないことが多く、部署としても開発はそういうものだという考えがありました。ただそれでは引継ぎなども困るということで、1つの研究テーマに対して、複数の人が関わるようにしました。

もちろんメインの研究者がいるんですが、必ずサブ的に手伝う人を入れるということです。例えば自分が10やっていたところを8にして、2は誰かに手伝ってもらう。そのぶん、自分も誰かを2手伝う、といった具合です。

また研究を進めながら作業手順書を作成しています。これによってメインの開発者がいないときでも、ある程度は進行させられる体制を整えています。

岡田:研削ソフト技術部としては、それぞれがどんなスキルをどれくらい習得しているかを表す「スキルマップ」を作成しています。例えば休みの人がいた場合、業務を滞りなく進捗させるために誰がフォローできるのか、一目でわかるようになっています。

―自分が休んだら仕事が滞るので休みづらい、という状況をなくしていくわけですね。

伊藤:休みを取りやすくする試みでいうと、休暇に名前をつけて必ず休暇を取るように会社側から促しています。例えば「ひまわり休暇」といって、子どもが夏休みの7・8月に必ず2日、休みを取るというものがあります。

岡田:ひまわり休暇は上司から取るように言われましたね。でも自分の仕事を計画的にすすめていれば、会社の雰囲気として休みを取りにくいと感じたことはないですよ。有休の理由を聞かれることもありません。

多彩な制度が家族の暮らしを豊かにする

―加藤さんは育児中ということですが、お子様の都合で休みたいこともあるかと思います。

加藤:お休みは子どもの行事などで使うことがほとんどですね。仕事には納期があるので、1人で研究をしているとなかなか休めないこともあると思います。でもノリタケでは複数の人が関わっているので、どうしても休みたいときには代わりに進めてもらうこともできるので助かります。

伊藤:今年から育児フレックスも導入していて、男性も利用しています。また時短勤務の制度もあり、小さなお子さんがいらっしゃる方などは、朝の出勤を遅らせたり、帰りを早くしたりできます。フレックスと時短勤務は組み合わせることもできるので、自分のライフスタイルに合わせて利用されていますね。

それとまだ利用者は少ないんですが、フレックス制度は介護にも適用されます。高齢化社会が進む今後は、そちらの利用者も増えてくるでしょうね。

加藤:その他に、今は時間単位で有給休暇を取れる制度が始まっています。先日、小学校で作品展がありました。午後2時から6時まで学校が開放されて自由に見に行けるんですが、定時に帰っていては間に合わないので、この時間有休を利用しました。短時間だけ休めればいいので、ありがたい制度ですね。

―部署としても、少しの時間のお休みならフォローもしやすいですね。それにしても時間単位の有休というのはおもしろい制度ですね。

伊藤:時間有休はまだ新しい制度ですが、利用する人がとても増えています。お昼休みとつなげて病院に行ったり、友人とランチを楽しむ、という使い方もできますよ。

岡田:どうしても銀行に行きたいというときなども便利ですよね。個人的には、旅行が趣味なので、休みの前日に少し早く帰って、夜のうちに出かけたりしています。行ける範囲が広くなったので、プライベートが充実しましたね。

多能工化を体験して分かった、時短とスキルの向上効果

―反対に、いろいろな仕事を覚えたりマニュアルを作ったりする大変さもあると思います。

伊藤:多能工化の大きな軸は、作業手順書などのマニュアルを作ることです。自分の専門のことをマニュアルにして他の人に教えながら、自分は別の仕事を覚えるという時期は確かに大変でした。でもいろいろな仕事を覚えられることは、スキルの向上につながるのでやりがいはあります。

また、私たちの部署では、実際に仕事の可視化によって残業が減ってきました。負担を平準化した効果で、効率よく仕事をこなすことができているんですね。

岡田:スキルマップの意義でいえば、それぞれが弱いところもわかる、ということもあります。強いところを武器にフォローするだけではなく、弱い分野をあえて経験させることもある。そうすることで、個々のスキルの向上につなげようということです。

また自分がやっていたこと以外の業務を知ることで、知識や視野が広がります。効率のいいやり方など、今まで気づかなかったようなことに気づくこともありますね。

加藤:研究にサブ的な人を置くことで、覚えることは増えますが、忙しい時期に負担を分散できるようにもなりました。そういう意味では自分のためにもなっていますね。

また、自分がしている研究は自分が一番よく理解していると思っていたんですが、ちょっと他の人が外から見たときに、すごくおもしろい意見をもらえることがありました。伊藤さんや岡田さんがおっしゃったように、スキルの向上や多角的な視点など、これまでにはなかったメリットも出ていますね。

岡田:専門的な知識が必要な場面はもちろんあるんですが、幅広い興味を持っている人にはいい環境だと思います。僕自身もいろいろなことに挑戦したいと思っていたので、いい機会をいただいています。

伊藤:100年以上の歴史があるなかでも、大きな変化が起こっているところですよね。それでもまだ保守的な考え方も強いように思います。もっと提案力のある人が増えていったら、面白くなりそうですよね。

加藤:ノリタケのこれからの100年を自分が作ってやるっていうくらいの、強い気概も必要ですね。

岡田:スキルの伝承という点は、社内でも危機感があったところだと思います。それをクリアするためという想いがあるから、社員みんなが同じ方向を向いてできているのかな。

―やりがいがあり、自分自身のメリットもある取り組みだからこそ、実現できるんですね。本日はありがとうございました。

ノリタケカンパニーリミテドが作る、新たな価値

ノリタケカンパニーリミテドでは、美しい食器を作るためのセラミックスの製造技術を様々に応用・発展させ、事業を展開している。

研削・研磨工具で産業界を支える工業機材事業、セラミックスの素材から電子部品まで、製造業に供給するセラミック・マテリアル事業、製造設備や技術を開発・提案するエンジニアリング事業。

どの分野でも、日本の産業・技術の未来を切り開くことを目指している。これを支えるのが、今回紹介した多能工化を始めとした、ノリタケの新たなワークスタイルの創出だ。

理想と現実の乖離に、様々な声が上がっている「働き方改革」。多能工化という新鮮な切り口で取り組むノリタケは、働き方の未来をも切り開くかもしれない。

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