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河合塾 X 朝日新聞 ひらく 日本の大学

大手前大学 Otemae University

ANALYSIS 「就業力が身につくカリキュラム設計」を分析

「ひらく日本の大学」調査結果より

学びの軌跡を振り返り、自己肯定感につなげるeーポートフォリオシステム

学びに関わるさまざまな過程や情報を蓄積するポートフォリオシステム。学生一人ひとりの学習や活動の記録を「見える化」できるとして、大学教育でも徐々に導入されるようになっている。過去にどう学んだか、ポートフォリオを通じてその積み重ねを定期的に振り返ることは、学生が自分自身を客観的に見つめ直し、次の学びに活かせるという効果も期待されている。「ひらく日本の大学」の調査によると、「学生の活動記録・成績記録(ポートフォリオ)」を「学部全体で実施」している大学の割合は44%と半数以下。そうした中で大手前大学では、大学全体でポートフォリオシステムをネットワーク上で実施しており、先進的な取り組みといえる。

その活用方法も注目だ。授業ごとに課せられるさまざまなリポートは、提出後pdf化されて自動的にポートフォリオに蓄積され、その時の自分の考えや思考レベルをいつでも見直すことができる。また留学やボランティアなど、学生生活ならではの貴重な体験で感じたこと、やりとげたことを、そのつど記録する「アピールシステム」も学生の成長を促している。ただ活動を記録するだけでなく、「なぜこうした結果に結びついたのか」「どうすればもっと良い成果が上げられたか」をできるだけ深く掘り下げ、改めて見つめ直すことで、就職活動で必須となる「自己分析(性格や興味関心から、どんな仕事がしたいかを自ら認識・理解すること)」にも役立っているという。

大手前大学に入学すると、入学後すぐに自分の目標を1分間でスピーチする時間や、高年次生での本格的なプレゼンまで「人前で自分の学びを表現する」機会が多い。そうした時間も一人ひとりを動画で撮影し、ポートフォリオに蓄積する。入学時から4年間でどれだけ表現力や学修成果が身についたか、一目瞭然でわかる記録だ。C-PLATS®で設定された能力や、1年ごとの自己目標をどれだけ達成できたかを定期的にセルフチェックする機能もある。ポートフォリオを使って目標を計画し(Plan)、実行し(Do)、振り返り(Check)、改善(Act)するその繰り返しは、多くの社会人が業務改善のため実践している「PDCAサイクル」に他ならない。リポート、動画、セルフチェックと4年間で積み上げるさまざまな蓄積は、自己管理だけでなく、「4年間でこれだけ自分は成長した」という実感をもたらし、学生の自己肯定感にもつながっているという。

学年を経るごとに成長した自分を確かめられる

大手前プレゼンフェスタで成長を可視化
教育ボランティアによる学生サポートも

1・2年生が学びの成果を発表し、成長の度合いを可視化するイベントが「大手前プレゼンフェスタ」だ。1年生は身近で働く人にインタビューして感じたことを、2年生は自分が考えるキャリアプランを発表する。クラス内発表、2次選考を経て選抜された優秀者は、会場いっぱいの聴衆をはじめ、学長や大学教員、企業関係者で構成される審査員がずらりと並ぶ前で、堂々とプレゼンを行う。

この審査員も務め、かつ大手前大学の学生の成長を社会人の立場からサポートする存在が「教育ボランティア」だ。キャリアカウンセラー、企業経営者や人事教育担当者など450人が登録。プレゼンフェスタの審査をはじめ、キャリアデザインに関する授業では、リアルな社会人経験をもとに、学生へのアドバイスを行っている。

積水マテリアルソリューションズ㈱で人材開発に携わる西脇正晃さんもその一人。進路選択や大学での活動に消極的な学生の背中を押すことが教育ボランティアの使命と感じ、サポートに臨んでいる。授業内容に限らず、学生生活をどう過ごすべきかについて助言することもあるという。「学生生活を送りながら、ふと卒業後の進路を考えると、その間には『大きな溝』があり、現実のものとして明確にとらえられない学生もいる。そこをどう埋めていくか? そのきっかけになるアドバイスを、学生と同じ目線で送るように心がけています」。教職員とはまた違う、第三者的な立場からの客観的な助言や励ましも、学生にとってはこの上なく心強いはずだ。

「教育ボランティアとして大学に行く日は、当日の朝から“どんな学生に会えるのか”と楽しみ」と西脇正晃さん
大手前プレゼンフェスタの様子
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