「課題解決型学習」「国際人材育成」「高い実就職率」を分析
「ひらく日本の大学」調査結果より

Point1 仲間と課題を解決 イノベーションを生む「PBL」を全学部で導入!
与えられた問題に答えるのではなく、自ら課題を見つけ、解決するための情報収集、分析、検証を仲間と一緒に考える「PBL(課題解決型学習)科目」を、大阪工業大学では2014年度から1年次後期と3年次に全学部で導入した。「ひらく日本の大学」の調査でPBLを「学部全体で実施」と答えたのは63%。特徴的なPBLに取り組む大阪工業大学の姿勢は際立つ。
例えば、2017年に新設されたロボティクス&デザイン工学部では「デザイン思考実践演習」と題して、1年次後期にPBL科目として、3学科の枠を超えた合同演習を実施している。ロボット工学科、システムデザイン工学科、空間デザイン学科の1年次生で少人数のグループを混成。2017年度は、キャンパスが位置する大阪・梅田の街が抱える課題の発掘、解決に向けたアイデア出し、簡易なプロトタイプ(模型)の製作、テストを繰り返した。課題解決の大切さに加え、工程管理や作業分担、コミュニケーションなど「ものづくり」のアウトラインを入学間もない時期に体感できる。後に本格的に開始される専門科目や実験・実習へとスムーズに道を開き、学生の素養も高められる。3年次はより専門性の高いPBLを開講し、さらなる社会人基礎力を身につける。
人ならではの仕事ができる人材を育てる

ロボット工学科 教授
大須賀 美恵子 氏
多くの仕事がAI(人工知能)に奪われるという悲観的な予測もありますが、人にしかできない仕事、人の方が得意な仕事は残ります。学部開設初年度に1年生対象の学科横断型「デザイン思考」PBLを実施しました。「デザイン思考」はイノベーション(新しい価値の創出)の技法で、ユーザの気持ちに寄り添い(共感して)、ユーザ自身も気づかない課題やニーズを見つけるところから始めます。このトレーニングは人ならではの仕事につながります。低学年の学科を超えた学生が集まってのPBLは難しい面もありますが、本学部の独自のプログラムとしてブラッシュアップしていきます。
「できない」への気づきが意欲を高める

システムデザイン工学科長 教授
井上 明 氏
学生の多くは「できることを増やしたい」と大学に入ってきます。しかし、教員の話を受動的に聞く座学だけでは学びに限界があります。他学科の学生との白熱した議論や、フィールドワークなどで多様な意見に触れ、課題解決の難しさに直面し、「自分ができないこと」への気づきこそが大学で学ぶべきものを明確にし、意欲を高めるのです。学生が主体的に学ぶ仕組みを今後も充実させていきたいですね。
ロボティクス&デザイン工学部PBLに
参加した学生の声

人に役立つロボットを作りたい
ロボット工学科2年次
山﨑 颯斗さん
「飲料自販機のお釣り取出口の改善」
皆の前での発表に苦手意識を持っていました。ただ、PBLの授業では、いろんな学科の多彩な意見を聞く中で、僕にしか考えられないアイデアもあり、積極的に発言できるようになりました。授業を経験し、“人に役立つロボット作り”を勉強したいとさらに強く思うようになりました。

自ら発信する楽しさを実感
システムデザイン工学科2年次
荻野 実佳さん
「たばこをポイ捨てさせないゴミ箱」
課題を探そうと皆でリサーチした際、知っている梅田の街が、まったく違って見えたことが新鮮でしたね。異なる学科の人と友達の輪が広がったのもうれしかったです。先生から聞くだけでなく、自ら発信したことに対していろんな反応があり、積極的に学ぶきっかけとなりました。

皆で創り上げる喜びを知る
空間デザイン学科2年次
三浦 凜樹さん
「万人が持ちやすい電車の吊り革」
グループ6人は学科や出身校が違いスキルも人それぞれ。いろんなアイデアがどんどん形になっていき刺激的でした。協力してひとつのものを創り上げることは難しく、成し得た時の喜びも知りました。将来は自分の考えを表現したモノで人の心を動かせる仕事に就きたいです。