宮崎は神話の国である。
黄泉の国から日向に逃げ帰ったイザナキは、禊ぎによって太陽神アマテラスらを生む。
天界と現世が交錯する地。日本人にとって、ここはまさに魂の原点だ。アウディを駆る旅の出発点として、これ以上相応しい場所が他にあるだろうか。
さて、空港を出たぼくを待っていたのは、アウディRS6アバントだ。
こうきたか。ぼく自身、この車種のオーナーであることを知ったアウディ社の粋な計らいである。
荷物をラゲッジルームに放り込み、スタートボタンを押すと、ずんと腹に響くエグゾーストノートとともにエンジンがかかる。
自分が乗っているからいうわけではないけれど、やっぱりこのクルマ、最高だ。
V型8気筒、4リッターのエンジンは560馬力。停車した状態から時速100キロまでに要する時間は、わずか3・9秒。その加速たるや、凄すさまじいものがある。
しかし、ただ速いだけのクルマなら他にもある。このRS6アバントの最大の特徴はなんといっても、たくさん荷物が積めることだ。
ゴルフのキャディバッグを2本、ぽんと放り込める。余裕のラゲッジスペースは、ステーションワゴンならでは。ふたり乗りのスポーツカーではこうはいかない。
まあ、クルマの自慢はこれぐらいにして、そろそろ出かけるとしますか。
向かったのは、フェニックス椰子が道路の両側に並ぶ、南国情緒豊かな日南フェニックスロード。
まだ3月はじめだというのに、まぶしいほどの陽春が車内に降り注ぐ。
鬼の洗濯板とよばれる奇観に囲まれた青島神社を参拝し、休憩がてら堀切峠で道草して、「鵜戸さん」との愛称で親しまれている、鵜戸神宮に詣った。
主祭神を祀るのは、一千平方メートルもの広さの洞窟内に建立された朱塗りの社殿だ。作法は二拝二拍手一拝。旅の無事を祈願して振り向くと、そこにはどこまでも青く深い宮崎の海、そして空が広がっていた。
ゴルフをして、おいしいものを食べ、そしてアウディで走る。
旅の〆は、市内のお寿司屋さんでいただく、”宮崎前”の寿司だ。
宮崎の魅力を心ゆくまで満喫した二泊三日のクルマ旅。よき相棒、RS6アバントに感謝。さて、次はどこへ行きましょうか。