Audiオーナーである作家・池井戸潤が、自らAudiのハンドルを握り、ニッポンの風景を訪ねる旅。会津・磐梯をAudi S7 Sportbackで巡った第3回目は、再生に挑むフクシマの人々の熱い思いに触れることとなった。「フクシマ、闘う大地。」
新しくなったアウディS7に乗って出かけたのは、福島だった。ワインディングロードを軽快に駆け上がり、到着したのは天空のゴルフ場、ボナリ高原ゴルフクラブ——。
新緑の山々に囲まれた標高八百五十メートルの大地に広がる戦略的な18ホールは、とくに紅葉シーズンの絶景で知られるゴルファー憧れのコースだ。
圧巻は、アウトコース3番パー5。山のてっぺんを平たく拓いたS字のレイアウトは、グリーンの向こうに見える山々の絶景に加え、右サイドに深くえぐれた断崖が、圧倒的な迫力でゴルファーを魅了する。一度見たら忘れられない、印象的なホールだ。

だが、このゴルフ場がかつて、鉱山であったことを知る人は少ない。
江戸時代から、日本を代表する硫黄採鉱として知られた沼尻鉱山がそれだ。時代の流れに呑まれ、最盛期に二千人もいたヤマの男たちは、一九六八年の会社倒産によって、給料も退職金もないまま放り出された。ヤマはその後、二十年以上もうち捨てられ、人々の苦しみの記憶とともに封印されたのである。だが——。
——ヤマを再生しよう。
一度はどん底に落ちたこのヤマを再興しようと立ち上がった男達がいた。彼らの情熱と不断の努力によって、草木も生えなかった酸性の土地が改良され、芝をはぐくみ、フェアウェイが作られた。

ここが美しいのは、単にその景観のせいではなく、その壮絶な歴史ゆえである。ここが感動的なのは、枯れた大地と苦闘し、まさにどん底から再興を遂げた人々の努力と情熱があるからだ。
それこそ、いま私たちが必要とし、心に刻まれるべき物語ではないだろうか。
フクシマは、かつてない苦境にあるかも知れない。だが、ここにはかつて不可能を可能にした、熱い人たちがいた。不屈の精神が、ここにはある。
フクシマよ、再生せよ。
芝を踏みしめて見上げる空に、五月の風が薫っていた。

優美なフォルムが魅力的なプレミアム4ドアクーペ、Audi S7 Sportsbackが、今年4月にさらなる進化を遂げた。常に新しい技術や方向性を示してきたモデルにふさわしい革新的なテクノロジーを搭載。静粛性と安全性も大きく向上。出力がアップしたツインターボ付きV8 4.0リッターTFSIエンジンにより、運転する人をさらに魅了するクルマとなっている。
ひときわ精巧なデザインが施されたマトリクスLEDヘッドライトは、対向車・先行者を確認すると、その車の動きに合わせて照射される部分のみ、自動で光量を落とす。専任オペレーターによるコンシェルジュサービスや、グーグルアースによるマッピングサービス、クルマ自体がWiFiホットスポットになるなど、情報を最大限に活用できる次世代の環境も構築されている。

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池井戸潤
池井戸潤 1963年、岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒。98年「果つる底なき」で江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、『下町ロケット』で直木賞を受賞した。13年に放映されたテレビドラマ「半沢直樹」(TBS系)は、『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』が原作。ドラマは歴史的な高視聴率を記録し、「倍返し」は流行語にもなった。半沢シリーズ第3弾の『ロスジェネの逆襲』は100万部を超える大ヒットとなり、シリーズ第4作の『銀翼のイカロス』も発売3日で50万部を超える爆発的な売れ行きを示した。国内で最も新刊が待たれている作家の一人。愛車はAudi RS 6 Avant。
Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Kiyoshi Tanaka Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )