「雨にも負けずゴルファーは」雨にも負けず風にも負けず、ゴルファーは歩き続ける。ミスショットにも決して怒らず、いつも静かに笑っている……そういうゴルファーになりたいが、名コースはチャレンジを求め、心を揺さぶる。日本海に面したシーサイドコース「能登カントリークラブ」は黒松林が戦略性を高め、挑戦心をかき立てている。
年間日照時間が国内最長級の宮崎・フェニックスカントリークラブ…雨。
穏やかな気候で知られる松山のサンセットヒルズカントリークラブ…小雨。
爽やかな5月に訪れた福島のボナリ高原ゴルフクラブ…季節はずれの台風が前線を刺激し、最終3ホールが豪雨。
そして今回訪れた能登カントリークラブも雨。
「弁当忘れても傘忘れるな」と言い伝えられる雨が多い北陸だけに心配はしていたが、ゴルフ予定日は曇りの天気予報を裏切って朝から大粒の雨。「池に井戸に潤うだから、水には縁があるのですが、最近、雨男ぶりが上がっているような気がします」
池井戸さんはゴルフ雑誌「Waggle」でもラウンドリポートを連載しているが、その取材も雨続きだという。

能登カントリークラブは樹齢100年、高さ30メートルを超す松林に包まれている。もともと防風林だった土地を生かすとともに、毎年500本近い苗木を植え、この環境を守ってきた。
雨が松の色を濃くし、耳を澄ませば潮騒も聞こえてきそうだ。
クラブハウスでコーヒーを飲むうちに重い雲は切れ、空が明るくなってきた。
スタートは「日本海コース」の1番。軽い打ち下ろしながらレギュラーティーからでも550ヤード近い。池井戸さんの1打目は軽いドローでフェアウエー左サイドをとらえた。ランも出て、飛距離は250ヤード近い。そこからウッドで2オンは逃したものの軽々パーオンし、グリーン上も危なげなく2パットで決めた。

初代日本プロゴルフ協会(PGA)理事長を務めた安田幸吉設計で、池井戸さんのようなロングヒッターには戦略的に配置されたバンカーが効き、200ヤード前後のショットのプレイヤーもパーオンは可能で、技量に応じた楽しみ方ができる。安田設計の小樽カントリー倶楽部のメンバーが訪れてきたときは「似た雰囲気を持っている」と話していたという。
池井戸さんは能登カントリークラブへは二度目の訪問だった。「前回より、コースが明るくなったかな?」
昨年、松くい虫の被害で1000本近い松を切ったという。そのため、松の圧迫感がなくなったところもあるが、風が通り、明るくなった。

5番をプレーするあたりから、また雨が強くなってきた。6番ティーグラウンド前の茶屋でしばしの休憩。
強い雨脚にため息をついていると、従業員の方からは「ここしばらく雨がほとんど降らなくて、松も芝も弱っていたので恵みの雨なんです」と声をかけられた。
クラブを置いて休憩していると雨は弱まってきたが、「さあ行こうか」とティーグラウンドに立つと、再び強い雨。
池井戸さんは「もう少しでこの能力をコントロールできそうなんだけどな」と苦笑する。
この6番ホールはまっすぐなロングホールで左右に遥かに続く松林が美しい。再び強くなった雨を切り裂くように池井戸さんのティーショットは力強く飛び出した。

Text by Osamu Kato

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おしゃれの基本
池井戸さんのおしゃれの基本は、ブランドや値段にはこだわらず、違和感をなくしていくこと。

例えばラウンド中の小物入れに使っているのは、和倉温泉の名旅館、多田屋でもらった入浴セットを詰めていた布製の袋で、大きさだけでなく、落ち着いたデザインがコースのなかで見事に決まっている。

この日のウェアは緑の半袖ポロシャツに白のパンツ。いずれもゴルフアパレル「FIDRA(フィドラ)」の製品だった。社名はスコットランドの巡礼の島・フィドラの対岸にあった幻のゴルフコース「フィドラ」に由来するという。池井戸さんは「大人が落ち着いて着ていられるデザインで気に入っています」と話す。

能登カントリークラブ

安田幸吉設計で1968年に開場。71年には9ホールを増設した。ダンロップゴルフトーナメント、三菱ギャラントーナメントなどを開催してきた。ベント2グリーンで左右のグリーンはティーグラウンドに置かれた朱鷺の置物で示されている。

住所:〒929-1393 石川県羽咋郡宝達志水町米出ワー1番地
電話:0767-28-3155

能登カントリークラブ 公式サイト

Audi Q3
クーペライクな美しいボディラインが際立つプレミアムコンパクトSUV、Audi Q3。「取り回しがいいサイズなので、街の中でも快適に走れるSUVですね」と池井戸さん。
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Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Masaya Adachi Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )