「コースがゴルフの本質を問いかける」優れたゴルフコースはゴルファーを育て、良いゴルファーが集まれば凜としたゴルフ倶楽部が生まれる。京都の南に位置する城陽カントリー倶楽部は半世紀に及ぶ取り組みを経て、落ち着きのあるクラブライフを作りあげてきた。
この日も天気予報は朝からの雨。ホテルを出るときにすでに雨は降り出していて、午後からは本降りになるという。宮崎から京都まで、ラウンド取材は実に5回連続の雨だ。
京都駅に近いホテルから城陽カントリー倶楽部までは、朝の渋滞もあって車で約1時間ほどだった。京滋バイパスを降り、宇治川を渡ったあたりで空は明るくなってきた。
池井戸さんは新しい小説のことで頭がいっぱいで、雨雲を呼び寄せてしまう力も隠れている様子だ。
本降りになる前にハーフだけでもと、そそくさと着替えラウンドが始まった。
この日の池井戸さんは、ドライバーを持てば軽いドローでびっくりするほどの飛距離を出し、1ピンの距離のパットはすべて決める好調ぶりだった。「小説のことばかり考えていたので、頭がゴルフ脳になっていなくて、無心で打てたのが良かったのかも」

コース設計は日米でトップアマとうたわれた佐藤儀一氏。アプローチの名手らしく、大きなガードバンカーに囲まれた砲台グリーンに近づくに従って難易度を増していく。飛ばしよりも、アイアンやアプローチの精度、パッティングの正確さが求められている。
「アプローチやパットの重要性というゴルフの本質と向き合わせるコースですね」
ピンポイント予報では時間雨量10ミリを超える強い雨になっているはずだが、ハーフを終えても、まだ大粒の雨は降り出さない。
支配人の佐藤浩市さんは「地形のせいか、京都市内が雨でも、ここ城陽はあまり降らないことが多いんです」と話す。

3連続パーで折り返した池井戸さんは、後半もボギー、パー、パーと好調の波に乗っている。
メンバーの紹介がないビジターはプレーできず、36ホールでメンバーが1300人と少ないこともあり、ラウンドは渋滞知らずだ。
城陽カントリー倶楽部ではメンバーのみのラウンドでは事前予約が不要で、到着順にスタートする「ノーエントリー制」を維持している。
初代キャプテンの寺田甚吉氏は理想のクラブの条件を「コース」「メンバー」「ロケーション」と考えていたという。その思想を守ろうと、ラウンドにはゆとりがあり、ゴルフ以外のメンバーの交流も盛んだ。

池井戸さんの口癖の一つに「ゴルフはメンツが9割」というものがある。一緒に回るプレーヤーの息が合えば、スコアではない、ゴルフの楽しさが味わえる。
ただ、気心の知れた友人だけでなく、ゴルフに向き合う姿勢が同じプレーヤーがそろえば、ラウンドは楽しい。そんなプレーヤーがそろっているのが、理想のゴルフクラブだろう。
「芝や松の手入れも行き届いていて、おもてなしの心を感じます。落ち着いた雰囲気で、京都の奥深さを反映したコースですね」

Text by Osamu Kato

池井戸潤のエッセイはこちら

ゴルフ焼けにご用心
4年前の7月。池井戸さんは『下町ロケット』で直木賞を受賞し、記者会見に臨んでいた。小説をめぐるさまざまな質問の後に出たのは、「ずいぶん日に焼けていますが、今日は何をしてお待ちでしたか?」という質問だった。
その日の池井戸さんは猛暑のなか朝からラウンドで、顔も腕も真っ黒だった。

「それ以来というわけではありませんが、なるべく日傘をしてゴルフをするようにしています。日焼けすると疲れてしまうので、仕事場に戻ってからが楽なんです」

愛用の日傘はキャディーバッグに入っているが、この日はアウディのマークが入った特製アンブレラをプレゼントされた。 「これは日傘ではなくて、雨用ですね。この取材で雨が続いているからかな……」

城陽カントリー倶楽部

1959年開場。コース設計は日本アマで4回の優勝歴を持つトップアマの佐藤儀一氏。京都駅からは車で南へ1時間弱。50周年にあたる2009年には、アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップパナソニックオープンが開催された。

住所:〒610-0121 京都府城陽市寺田奥山1-46
電話:0774-52-2525

城陽カントリー倶楽部 公式サイト

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