「富士に魅せられた人々」優美な富士の姿に魅せられ、数多くの人々がこの地を訪れる。そしてこの地にしっかりと根を下ろし、富士と生きる人もいる。
今回の富士の旅は、富士の魅力に引き寄せられ、共に生きる多くの人たちに出会う旅となった。
富士の写真を取り続ける冨塚晴夫さんもそのひとりだ。
ハリウッドでスターのポートレイトや広告写真を撮っていた冨塚さんが日本へ帰国すると、自然が豊かな場所に住みたいと山中湖に住まいを見つける。最初は依頼されて富士山を撮っていたが、いつしかその魅力にすっかりとりつかれたそうだ。
「存在感の大きい富士山を撮って個性を出すのは難しいので、迷いもある分、まだゴールも見えません。湖の白鳥や霧氷といった、周りの自然が富士を引き立てる写真が私らしさと言えるかもしれません」
富士を撮るために朝早く起きてクルマを走らせる。ただし奥様とは別々に行動するのだそう。「ここがいい、いやあっちのほうがいいとよくケンカになるんです(笑)。なにより、同じ場所から富士を撮っても同じような写真になってしまいますから」
冨塚さんのお話がとてもおもしろかったと池井戸さん。
「アメリカ時代の話、奥さんと競って富士を撮る話、そしてUFOの話も最高でした。またぜひゆっくりとお話をさせていただきたいです」

『富士レークホテル』は、日本橋で歯科医院を営んでいた創業者が開業。池井戸さんがホームコース『富士桜カントリー倶楽部』にゴルフに来る際に定宿にしているホテルだ。プレイ日に前泊し、高速道路の混雑を避けるためにさらに1泊して東京に戻ることが多いとか。
「ゴルフ場に紹介されてネットで予約をしたのですが、来てみると細やかな心配りがとても心地よい宿でした。大きな規模のホテルですから、この接客のクオリティを保つのは大変だと思いますが、女将が率先してほんとうによくやっていると思います」
我々が取材に訪れたこの日は、ホテルの目の前から花火が打ち上がる「河口湖湖上祭」当日。いつにも増してお客様が多い日だったが、部屋から花火を楽しむ、食事をしながら、湖畔から……と様々な選択肢をさりげなく用意してくださっていた。おかげさまで取材チーム全員で湖畔のテーブルを囲んで花火を楽しみ、忘れられない夏の思い出を作ることができた。

昭和7年に開業した『富士レークホテル』は、当時としては珍しい洋風のホテル。昭和初期、モガ・モボと呼ばれた洒落た人たちが長逗留したという。湖の上に張り出した部屋やプールはとても人気だったとか。
昭和59年には、東館29室のうち23室がバリアフリーに対応。ユニバーサルデザインの部屋は幅広い世代の家族が滞在できる。赤ちゃん連れでも気兼ねなく過ごせる露天風呂付き客室は、個室かお部屋で夕食がいただける。ちなみに、池井戸さんも露天風呂付きの部屋を選んでいるそう。
「部屋の露天ももちろんいいし、大きな露天風呂に行くこともあります。机で仕事もできるし、とてもいいリフレッシュになるんです」

Text by Eri Magara

池井戸潤のエッセイはこちら

河口湖にガウディ建築!?
2週目の「こぼれ話」でご紹介した『ほうとう不動』東恋路店の有機的な建築にも驚かされたけれど、ここ『久保田一竹美術館』のガウディ建築にもビックリ!
室町時代の「辻が花染め」を現代に甦らせた染織家・久保田一竹はガウディを敬愛していたそうで、まるでグエル公園のような趣。設計者は久保田一竹ご本人。インドの古城で使われていたというエントランスの扉も、一竹氏が収集したものだそうだ。沖縄の海と珊瑚が作り出した白い琉球石灰岩を使った美術館の建物は、バルセロナの陽光を河口湖に連れてきたよう。中庭の大きな石舞台では定期的にコンサートも開かれる。
富士山をイメージした荘厳な本館の建築も、水の流れを魅力のひとつにした本館北側の散歩道も美しい。作品の素晴らしさはもちろん、伝統工芸職人の枠を超えた総合芸術家と言える久保田一竹の世界を堪能したい。
久保田一竹美術館 公式サイト

山中湖写真ギャラリー

冨塚晴夫さんと奥様の冨塚裕子さんの富士山の写真を見ながら、ケーキやお茶もいただける。カードや絵葉書の販売も。晴夫さんがハリウッドにいた頃に撮影したマイケル・ジャクソンやオーソン・ウェルズなどの著名人の写真も飾られている。

住所:〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村旭日丘508-389
電話:0555-62-1701

山中湖写真ギャラリー 公式サイト


富士レークホテル

河口湖畔の老舗ホテル。湖が見える部屋か、富士が見える部屋を選べる。富士山の地下1500mから湧き出るサラリとした天然温泉も素晴らしい。食通の池井戸さんも大満足の料理の中に、富士レークホテル伝統のビーフシチューがある。甲州産の赤ワインと新鮮野菜を使い、半日かけてじっくり煮込んだデミグラスソースのシチューは絶品。

〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津1
電話:0555-72-2209

富士レークホテル 公式サイト

Audi R8
レースで培かってきた技術を市販車へ投入したスポーツカーがAudi R8だ。圧倒的なパワーと俊敏な加速、そして安定感のあるコーナリング。ドライビングへの情熱を掻き立てられる一台。
Audi R8 の詳細はこちら

Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Kiyoshi Tanaka Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )