「北海道の自然生かし、世界基準の名門に」名門コースの条件はゴルファーによって違う。歴史と伝統を重視する人もいれば、コースレイアウトを重視する人もいる。ここ北海道クラシックゴルフクラブは世界基準のコースを造り、維持することで名門としての品格を保ってきた。
クラブハウスから一歩足を踏み出すと、空の広さに驚かされる。ジャック・ニクラスの設計は、理想のコースを北海道の雄大な自然の中に溶け込ませている。もともとあったなだらかな起伏を取り入れ、要所にバンカーがある。優美でいて戦略的なコースだ。
「いい芝だね」
池井戸さんが褒めるベント芝のフェアウェーは、緻密に生えそろっている。
ニクラスの目指す理想のゴルフコースは、ミスショットには相応のペナルティーが課され、良いショットには褒賞が与えられる。そのためにフェアウェーの芝は、密度を一定にし、刈り高もそろえている。絨毯のような、という芝の褒め言葉があるが、かなり高価な絨毯の感触だ。
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北海道の恵まれた環境、芝に最適な地質だけでなく、メンテナンスにも気をつかう。コース内には約1000基のスプリンクラーを配置し、水やりだけでなく夏の暑さから芝を守っている。
グリーンはUSGA(全米ゴルフ協会)方式の造成で、水はけが抜群に良い。1991年のオープン以来、雨によるクローズがないほどだ。
「これはいいグリーンだなあ。土がしまっているから、少し芝を刈ればいくらでも速くなるね」
池井戸さんのショートパットは引き続き絶好調で、1ピン以内はほぼ外さない。8番パー3でパーを取ったのに続き、9番のパー4では2打目をピン奥約2メートルにつけ、下りの難しいパットを悠々と沈めた。

この日は早朝に羽田空港を発ち、新千歳空港に着いたのはお昼前。ランチを取って、午後からのスループレーだった。
「飛行機で移動してきた日のゴルフだと、なんだかふわふわするね。体は疲れていないはずなのに、なんだかいつもと違う気がする」
それでも体が慣れてきた8番以降はパーを続ける。「春の宮崎の穏やかな気候も好きだけど、夏の北海道のからっとした空気もいいね」
傾いた日差しが穏やかな起伏に美しい陰影をつける。いつまでも見飽きない優美さだ。

「あ~やられた」
グリーン近くのアプローチで池井戸さんが声を上げた。美しいベント芝は、グリーン周りのラフではからみつくやっかいな存在になる。グリーンエッジから5ヤード、ピンまで10ヤードの簡単なアプローチのはずが、グリーンにさえ乗せられない。「これだけ粘ると10ヤード、20ヤードぐらいのアプローチが難しくなるね。今度はロブショットを試してみようかな」
「あ~っ」。そばで見ていたはずのF君のアプローチもラフに絡め取られ、ボールはちょろりとしか動かない。
美しくも手ごわい。いや美しいから手ごわいのか。ジャック・ニクラスはグリーン奥のラフはペナルティーエリアだと教えているのかもしれない。

Text by Osamu Kato

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世界に二つのゴールデンベア
北海道クラシックゴルフクラブのエントランスには1メートル近い大きな金色の熊が置かれている。世界に二つだけの注文品で、もう一つはコースを設計したジャック・ニクラスの自宅に置かれているという。

ニクラスがその金髪から「ゴールデンベア」と呼ばれていたことと、北海道の名物が木彫りの熊だったことから開場記念のプレゼントに選ばれた。木彫りで金の彩色が施されている。

エントランスにはその子どものような、小さな金色の熊もたくさん並べられていた。ニクラスが名誉発起人となって来春オープンする「東京クラシッククラブ」のメンバーになった人へのプレゼント用だという。
大きくても小さくても、ゴールデンベアにはゴルフが人生を豊かにし、人間性を高めるというニクラスの精神が込められている。

北海道クラシックゴルフクラブ

ジャック・ニクラスの設計で1991年にオープン。「ザ・メモリアルトーナメント」を開催し、ニクラスの庭ともいえる米オハイオ州のゴルフコース「ミュアフィールド・ヴィレッジ」をイメージして造られたという。天然芝からのショットができる300ヤードのドライビングレンジなど、世界的なクオリティーの名門コースを目指して造られた。2016年には日本プロゴルフ選手権大会が開かれる。

住所:〒059-1434 北海道勇払郡安平町早来富岡406番地
電話:0145-22-4101

北海道クラシックゴルフクラブ 公式サイト

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