「北の国のソウルフード」北海道のソウルフードである羊やニシンには、開拓途上の北海道の産業を支えてきた一面もある。現在はニシンは不漁となり、羊の飼育頭数は減ってはいるが、食文化は今もしっかりと受け継がれている。
北海道の漬物にはニシンが入る。冬、表面が凍った漬物樽からニシン漬けを取り出し、食卓に運ぶ。ニシンは道民には欠かせないソウルフードだ。
かつて北海道の日本海沿岸には、春になるとニシンが大群となって押し寄せた。浜にはニシン漁で財を成した親方が建てた鰊御殿が建ち並び、出稼ぎ漁師が続々と鰊御殿に集まった。けれど、最盛期には100万トン近い漁獲量があったニシンも、小樽では昭和29年の6000トンを最後にほとんど漁がない。ニシンの激減の原因としては海水温の上昇、乱獲、森林破壊など諸説がある。
現在水揚げされているニシンは石狩湾を回遊している魚種。稚魚の放流に長年取り組み、現在その成果が徐々に現れている。
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『小樽鰊御殿』は積丹の泊村にあった番屋を移築復元した建物。中では漁の手順の解説、当時の暮らしぶりが伺える道具などが展示されている。採れたニシンのうち食用は一部で、ほとんどは大釜で炊いて魚油と肥料に加工していた。
鰊御殿の2階に上がると、隠し部屋が再現されている。その用途は、納戸、人払いを必要とする場所……と諸説あるが、はっきりとわかっていない。なぜ隠し部屋をここに作る必要があったのか、小樽の海を眺めながら、当時の親方の生活に想像をめぐらせるのもいいかもしれない。

北海道のソウルフードといえばもうひとつ、忘れてはならないのがジンギスカンだ。
そのルーツには諸説あるが、大正時代に緬羊の飼育に取り組んだ日本人が、それまで食べる習慣のなかった羊肉も食べられるよう試行錯誤した末にできた料理と言われている。
北海道では、札幌や函館では羊肉をそのままジンギスカン鍋で焼いてタレにつけて食べるスタイルだが、旭川や滝川ではタレに漬け込んだ羊肉を焼く方法が主流。2005年前後に全国で突然ジンギスカンブームが起き、東京にもオシャレな雰囲気でジンギスカンを楽しむ店が数多くオープン。その後は、道民も様々なスタイルでジンギスカンを楽しむようになった。

今回の旅で池井戸さんが訪れた『八仙 2号店』の主力は塩ジンギスカン。これがめっぽう旨い。
オーストラリア産の子羊の肩ロースのみを使い、注文を受けてから調味する。強めの炭火で網焼きすると、柔らかなラムの旨味がさらに凝縮される。からみネギを載せ、レタスで巻いても。シメの牛トロライスも絶品。
池井戸さんも塩ジンギスカンの旨さに驚いたようだ。「東京にお気に入りのジンギスカンの店があるのですが、そこを超えたかもしれません」

Text by Eri Magara


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忘れ得ぬ味、アイスサンド!
北海道はスイーツ天国でもある。

豪雨でスケジュールがキャンセルになった滞在2日目の昼、ホテル至近の『六花亭 札幌本店』でコーヒーブレイクを楽しむことにした。お目当ては北海道土産の定番中の定番・マルセイバターサンドがアイスになった「マルセイアイスサンド」200円也、だ。ここ札幌本店と帯広本店でしかいただけない限定品。評判通りほんとうにおいしい。味や香りはマルセイバターサンドそのもので、ひんやり口の中でとろけつつも、ビスケットがパリッ。

六花亭の喫茶室の居心地の良さも噂通り。接客が細やかで心地よい。焼きたてのマドレーヌ「大平原」をお皿に乗せて、テーブルを回って試食をお勧めする姿も。店内は明るく、器も可愛いし、食事もできる。観光客だけでなく、地元の方も大勢来店しているそうだ。
六花亭 公式サイト

小樽市鰊御殿

積丹の泊村の親方・田中福松の鰊御殿を移築した建物。総面積は611.9㎡。長大な材木をふんだんに使った豪放な番屋。北海道の民家では初めて北海道指定文化財になった。

住所:〒047-0047 小樽市祝津3丁目228番地
電話:0134-22-1038

小樽市鰊御殿 公式サイト


八仙 2号店

16席+カウンター2席の小さな店なので必ず予約を。店を広げないのは、隅々まで目を配れなくなるからという店主のこだわりゆえ。公演で札幌を訪れた数多くのアーティストが立ち寄る店でもある。

住所:〒060-0061 北海道札幌市中央区南1条西13丁目4-62
   ベストール南大通1F
電話:011-272-4055

八仙 2号店 公式サイト

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Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Kiyoshi Tanaka Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )