「長崎。TTでビューン」長崎には、明治日本の産業革命をリードした歴史的な建造物が数多く残っている。街並みには異国情緒が漂い、レールを軋ませながら路面電車が走る。そんなコンパクトに魅力が凝縮された港町を、Audi TTと供に訪れた。
真っ赤なTTでビューン。
今回の相棒は、大人が夢中で遊べるクルマ、TTだ。小ぶりな2リッターエンジンなのに286馬力※をたたき出す。高速道路もスイスイ。アクセルを踏めば、ブロロロという低く太いエンジン音を背に、ぐいぐい走り出す。坂道の多い長崎の道だってなんのその、いつでもどこでも行きたいところへ連れて行ってくれる、実に楽しい相棒だ。
そのTTで向かったのは、ぼく自身、三度目となる長崎だ。

こんなにもコンパクトに、様々な歴史と異国情緒、それに人々の生活が詰まった港町、他にない。
行き交う街角に立って、目を閉じてごらん。クルマの行き交う音に路面電車がやってくるモーターの音が入り混じり、長崎港から汽笛が聞こえ、列車がレールを打つ音がする。ここは坂道の街だ。きっと平らなところに全てがぎゅっと詰まっているからこんなふうに聞こえるんだろう。見上げれば、住宅や学校、お寺や教会、異人館が斜面にぎっしりと建ち並び、港には見上げるような旅客船が停泊している。連綿と続いてきた人と文化の交流がいまなお、ここに息づいている。

さて、どこへ行こうか。
大浦天主堂にグラバー邸、それにオランダ坂。長崎ちゃんぽんも食べますか。
はいはい。どこへでも、すぐに行けますよ。TTでビューン、だ。
天気は最高、いやはや楽しい時間があっという間に過ぎていく。
おいしいもの食べて早めに休んだら、翌日は楽しみにしていたゴルフだ。
TTの後部座席を倒し、ハッチバックを開けるとキャディバッグを二本、ぽんと放り込む。あとはもちろん、TTでビューン!
風もなく、鏡のような大村湾を見ながら、気楽なゴルフ仲間とゆっくりとラウンドする。笑いが絶えない。これぞ大人の休日といわずして、なんという。

一日芝生と戯れた後は、長崎の夜景を見たくなった。
そうだ、稲佐山の展望台へ行ってみよう。
日没前に着いて、眼下に広がる長崎の街に夜の帷が下りるのをじっと眺める。
入港する船影が次第におぼろになっていき、手前に見える造船所の明かりが目にしみ出すと、街全体が目を覚ましたかのように光の海に包まれていった。まだ群青の空に星が瞬きはじめ、一本の光の帯となった列車が音もなく走り去る。
いいね、最高だ。
今度はあの光の海へ飛び込もう。
そのときはきっと、TTのヘッドライトも無数の輝きのひとつになるに違いない。
よし、出かけよう。
TTでビューン!
※数値は今回試乗したTTS Coupéのものです。

今回で3代目となる新型Audi TTは、先代モデルの美意識を継ぎながら、より本格的なスポーツカーへと進化している。軽量かつ高剛性ボディを実現するASF(アウディ スペースフレーム)に、走り出しから驚くほどダイナミックなTFSIエンジンを組み合わせることで、新次元の走りを実現。
Audi史上初搭載の最先端テクノロジー、Audiバーチャルコックピットは、高解像度の画面に3D地形図のナビゲーションマップを表示するなど、ドライバーのニーズに合わせてフレキシブルかつお好みにあわせて情報提示を行う。カメラシステムにLED光源を組み合わせたマトリクスLEDヘッドライトは、配光のアダプティブコントロールを実現。他の車両などを検知すると、相手の視界をライトで妨げることが無いように、そのエリアだけを暗くし、それ以外をハイビームで照射する。
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池井戸潤
池井戸潤 1963年岐阜県生まれ。2011年『下町ロケット』で直木賞受賞。テレビドラマ「半沢直樹」は、『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』が原作。最新刊は『下町ロケット2 ガウディ計画』で、テレビドラマと本誌広告特集での連載が同時進行している。「半沢直樹」シリーズ最新刊は文庫版『ロスジェネの逆襲』。愛車はAudi RS 6 Avant。
Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Masaya Adachi Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )