「情熱を呼び込む坂の街」潜伏キリシタンの熱い信仰、そして宣教師の使命。西洋の文化を絶え間なく受け入れてきた長崎には、人々の重い想いが交錯する。
長崎市には、産業革命遺産の他にも世界遺産の候補になっている資産がある。世界でも類を見ない長崎のキリスト教信仰の歴史を伝える「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」だ。
長崎に外国人居留地が作られ、そこに住む外国人のために創設されたのが『大浦天主堂』。完成の1ヶ月後、「私の胸、あなたと同じ」と、潜伏していたキリシタンがプティジャン神父にキリスト教を信仰していることを告白する。禁教令が定められてから約250年もの時を経て信者が発見された“信徒発見”の瞬間だった。長崎には、豊臣秀吉から始まったキリスト教禁止令の下でも、密かに信仰を守る潜伏キリシタンがいたのだ。
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その1865年の信徒発見から半年後、プティジャン神父が船で密かに出津(しつ)を訪れ、潜伏キリシタンと面会した。当時はまだ禁教下で迫害があったが、260戸のうち200戸がカトリックに復帰する。そして1879年にド・ロ神父が出津に赴任し、1882年に『出津教会堂』を完成させる。白い漆喰の外壁の、清楚なたたずまいが美しい。
さらにド・ロ神父は女性の自立を促す施設、『出津救助院』を創設。仕立て、染め物、機織りの技術を習得させ、ここで作ったマカロニやパンは、居留地の外国人に販売された。

「長崎には、他の港町にはない独特の熱気がありますね。異人さんが行き交い、西洋の技術を懸命に取り入れた当時の建物がそこここにあるかと思えば、原爆投下の生々しい傷を残した場所もある。歓楽街の雑踏もいい。それらが坂の多い街にコンパクトに詰まっている長崎の街のすぐ側に、穏やかな内海の大村湾もある。長崎はとてもいい所ですね」

長崎べっ甲の職人、藤田 誠さんもすこぶるエネルギッシュな方。大好きなハーレーのツーリングの話になると止まらない。話が幾度となくハーレーに脱線しながらも、べっ甲細工のお話を伺う。

熱を加えると材料が一体化する性質から、べっ甲細工はウミガメ(タイマイ)の甲羅から作られる。ガスコンロで巨大なレンチを熱し、水を含ませた2枚の材料を挟んで力を加える。すると不思議な事に、ひとつのカタマリとなる。それをさらにプレス機で完全に接着させてから糸ノコで切り出すのだが、その糸ノコは慶応元年生まれの祖父の代から、3代使い続けている道具なのだそうだ。材料は、輸入禁止になる前に仕入れたものを大切に使っている。
「バイクに乗って、プールにも通って体力をつけてるから、90歳まではこの仕事を続けますよ」と藤田さん。「4代目? 息子には継がせなかった……」と少しさみしそうに笑った。

Text by Eri Magara


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フロントの恐竜に驚愕
「国家や会社も現状維持はありえない。チャレンジして上昇するか、衰退するかのどちらかしかない」……旅行会社のエイチ・アイ・エス創業者である澤田秀雄氏が『ハウステンボス』の再建を請け負ったのが2010年4月。リストラせずに成果主義を貫き、毎年20~30%の成長を続けている。
その『ハウステンボス』内の、その名も『変なホテル』というチャレンジ精神の塊のようなホテルを体験するため、佐世保まで足を延ばしてみた。
なんとホテルのフロントで出迎えてくれたのは、ロボット。しかも恐竜と美しいお姉さんという変な組み合わせ(笑)。荷物の預かりや運搬までロボットがこなす。ロボットの研究機関と連携していて、ベッドメイキングやお風呂掃除ロボットの導入まで計画されているそうだ。『変なホテル』の“変な”は、変わってるホテルという意味ではなく、変わり続けるホテルという意味なのだと理解! せっかくテーマパークに遊びに来たのなら、アトラクション満載の『変なホテル』でホテルライフも楽しみたい。
変なホテル 公式サイト

大浦天主堂

瓦や漆喰などの日本の伝統的な建築技術と、教会建築が融合した『大浦天主堂』は1865年に完成している。『大浦天主堂』の正式名称は「日本二十六聖殉教者天主堂」。禁教令の中、1597年に殉教した二十六聖人に捧げられた教会だ。

住所:〒850-0931 長崎県長崎市南山手町5-3
電話:095-823-2628

大浦天主堂 公式サイト


出津教会堂

『出津教会堂』と『旧出津救助院』も世界遺産候補に選定されている。2012年には「長崎市外海の石積集落景観」として、国の重要文化財にも指定されている。『出津教会堂』の見学には事前の連絡が必要。『旧出津救助院』と『ド・ロ神父記念館』は見学が可能だ。

住所:〒851-2322 長崎県長崎市西出津町2602
電話:0959-25-1002(旧出津救助院)

出津教会堂 公式サイト

Audi TT
今回で3代目となる新型Audi TTは、先代モデルの美意識を継ぎながら、より本格的なスポーツカーへと進化している。Audi史上初搭載の最先端テクノロジー、Audiバーチャルコックピットを搭載。
Audi TT の詳細はこちら

Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Masaya Adachi Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE )