「伊勢神宮、神への祈り」Audiオーナーである作家・池井戸潤が、自らAudiのハンドルを握り、ニッポンの風景を訪ねる旅。最終回は、電気モーター搭載のプラグインハイブリッドカーAudi A3 Sportback e-tronで伊勢を巡った。
旅の最終日、相棒のA3e-tronを五十鈴川沿いの駐車場に残してふと振り返ると、秋晴れの好日に真っ赤なボディがよく映えていた。一足早い紅葉のようだ。
このクルマは、家庭のコンセントでも充電できるプラグイン・ハイブリッド。200Vなら最短三時間、それで約五十キロを走る。ガソリンでの走行モードも選択できるが、この日はモーターだけのEVモードで走ってみた。予想した以上にパワフルだ。なにより、排気ガスを出さないクリーンなエンジンは、この日の目的地である伊勢神宮にふさわしいと思う。

しばらく歩くと、内宮の鳥居が見えてきた。宇治橋を渡れば、そこは神域である。
御鎮座約二千年。伊勢神宮は、天照大御神をおまつりする内宮こと皇大神宮と、豊受大御神をおまつりする外宮を中心に、実に百二十五の宮社をもって構成される聖地だ。
お参りするというので、この旅にしては珍しくスーツにネクタイの正装で、玉砂利を踏んでいく。
平日にもかかわらず、かなりの人出だ。
伊勢神宮への参拝客は年間八百万人を超えるのだとか。実に日本の十五人にひとりが、ここに参拝したことになる。いや、これで驚いてはいけない。実は伊勢神宮への参拝が庶民の憧れであった江戸時代の最盛期にはなんと、五人にひとり、年間三百万人もの人々がこの地を参拝したこともあったという。

当時、江戸から伊勢までは徒歩で約十五日。旅籠(はたご)に泊まりながら、行ってくるのにひと月かかる。生半可な信仰心で出かけられるものではない。
そんなわけで当時は代参(自分の代わりに参拝してもらうこと)を頼むことも珍しくなかったようだが、中には、人ではなく飼い犬に頼んだ者もいたというからおもしろい。
こうした犬を、「おかげ犬」という。犬の首に、道中までの銭とお伊勢参りであることがわかる印をつけて放す。すると、街道の人々はその犬を大切にして、泊めてやったりエサを与えたりして、必要な分だけ銭を貰う。それどころか、感心な犬だというので銭を足したり、小銭ばかりでは首が重いだろうと、わざわざ両替をして軽くしてやったりする篤信の人たちもいたらしい。なんとも、いい話ではないか。

神苑を通り過ぎ、鳥居をくぐって五十鈴川の御手洗場で清めた。
樹齢千年に及ぶ巨木の立ち並ぶ辺りの空気はひたすら清浄で、神への畏怖(いふ)と感謝の念は、奥へ向かうにつれ、ひたすらに高まってくる。
正宮が見えてきた。四重の垣根で囲まれた宮に鎮まっておられるご神体は八咫鏡。作法は二拝二拍手一拝だ。
神職に案内され、ここに旅の無事を感謝し、祈りを捧げる。
争いや悲しみ、憎しみが無くなり、世界中の人々が幸せになりますように――。

さて、この連載も終焉(しゅうえん)のときだ。
またいつかお会いするときまで、どうか元気でお過ごしください。

Audi初プラグインハイブリッドシステムを実用化したプレミアムコンパクトカー。電気モーターとガソリンエンジンの利便性を融合した。航行距離は、電気モーターのみの走行で約50km、ハイブリッド走行では約900kmとなる。電気モーターだけで走行するEVモード、航続距離とパワーをバランス良く使えるハイブリッドオート、バッテリーレベル維持モード、航続距離をできるだけ伸ばすことができるハイブリッドチャージ(ガソリンエンジンを充電に使用)と4通りの走行モードが選べるので、毎日の買い物などの近距離走行にはEVモード、遠出するときはハイブリッドオートと、目的に合わせて選択ができる。
充電電力使用時の航行距離は52.8km、ハイブリッド燃費消費率は23.3km/l。充電は100Vプラグで約9時間、200Vプラグでは約3時間でフル充電が可能。エコカー減税適用車。

※※表示されている燃料消費率は、JC08モード、国土交通省審査値です。気象・道路状況や運転方法、車内電力使用状況により異なります。
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池井戸潤
池井戸潤 1963年岐阜県生まれ。2011年『下町ロケット』で直木賞受賞。テレビドラマ「半沢直樹」は、『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』が原作。最新刊は『下町ロケット2 ガウディ計画』で、テレビドラマと本誌広告特集での連載が同時進行している。「半沢直樹」シリーズ最新刊は文庫版『ロスジェネの逆襲』。愛車はAudi RS 6 Avant。
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