「美し国、豊穣の海」神宮の深い森の恵みは、川を伝い、海に注がれる。複雑に入り組んだ海岸線を持つ志摩の海は、多くの生き物を育むゆりかごだ。
『鳥羽水族館』の前身は、魚介の問屋だったそうだ。伊勢志摩を訪れる観光客に生きた魚を見せたところ、とても反応がいい。それではということで、水族館を作ってしまった。公の援助を受けずに誕生した株式会社『鳥羽水族館』だ。そんな経緯もあってか、飼育員はみな情熱に溢れ、魚の飼育技術はピカイチ。水槽にはギッシリと魚がいて、どの魚もイキイキとしている。飼育種類数は日本一に輝いている。
『鳥羽水族館』のニューフェイスは、2015年3月にオープンした新ゾーン「奇跡の森」にいるスナドリネコ。水族館では珍しいネコの展示だ。漁をする(すなどる)から来た名前で、泳ぎが上手く、魚やカエルを捕まえる。
【長崎編】"情熱を呼び込む坂の街"はこちら

伊勢湾にも棲んでいる小型のイルカのスナメリや、レタスを持って食べる姿が愛らしいマナティも大人気。けれど『鳥羽水族館』の顔といえば、日本で唯一飼育されているジュゴンの「セレナ」。飼育が非常に困難で、世界でもわずか4施設のみで飼育されている。1日約30kgのアマモを平らげるそうで、訪れた時はちょうど食事のまっ最中。食べやすいようにプールの底に沈めてあるアマモ(海外から空輸!)の他にも、浮いていたり漂っていたりとプール中がアマモだらけだったが、「明日の朝にはキレイに完食です」、『鳥羽水族館』学芸員の杉本 幹さんにそう解説していただいた。フィリピンに海洋調査に訪れた際、海を漂っていたところを保護されたのが「セレナ」だった。まだミルクを飲んでいたくらい幼かったそうだ。杉本さんは「セレナ」の保護にも同行していたそうで、当時の出来事を懐かしそうに話してくれた。

伊勢志摩の旅は『タラサ志摩ホテル&リゾート』に宿をとった。このホテルもまた、志摩の海の恵みをふんだんに取り入れている。ホテル目の前の沖合720メートルの場所からミネラルがたっぷり含まれた海水を汲み上げ、ひとりあたり1~1.5トンもの量を使ってタラソテラピー(海洋療法)を行っている。ジェットプールで水圧を感じながらカラダを動かすことで血行を促進し、関節の可動域を広げていく。凍結乾燥した海藻を海水で混ぜあわせたミネラルたっぷりのパック、温海水のプールにカラダを浮かべてリラクゼーション、海水をミストにした部屋でリラックスするなどのメニューが用意されている。今は他にも海洋療法を行う施設ができているが、汲み上げたばかり、かつ太陽の光が届く活性化している海水を使っているのはここだけなのだそうだ。もちろんホテルに宿泊をしなくても、日帰りでタラソテラピーを体験できる。

伊勢に来たなら「的矢(まとや)かき」を食べずに帰るわけにはいかない。伊勢に到着したその日に、すぐに『いかだ荘 山上』に向かった。
こちらでいただけるのは、神宮林などから流れ込む3つの川が、牡蠣の食べる豊富な植物プランクトンを育てる的矢湾の牡蠣。他の地域では出荷まで2~3年かかるが、的矢では短期間で育つので、若い牡蠣ならではの柔らかさや甘さがあるのだ。佐藤養殖場では、的矢湾で育った牡蠣を紫外線で殺菌した海水に浸け、特殊な流れの中で約20時間飼育して牡蠣を浄化させることに成功。直接取引のある一部の高級レストランと、そしてここ『いかだ荘 山上』でのみ堪能できる。
「牡蠣の美味しさはもちろんだけれど、料理人もしっかり仕事をしてますね」と、池井戸さんも大満足。

Text by Eri Magara


池井戸潤のエッセイはこちら

明日水槽を買いに行こう!?
『鳥羽水族館』で池井戸さんの心を捉えて離さなかったのが、水草水槽やアクアテラリウム水槽だ。アクアテラリウムとは、水中と陸上部分の両方を水槽内に再現したスタイルのこと。

実は池井戸さん、かつて水草水槽にチャレンジしたことがあったのだそう。「苔に悩まされたり、伸びてきた水草をトリミングするのが大変で、結局止めてしまったんです……」。けれど『鳥羽水族館』で、飛沫をあげて流れ落ちる滝や、岩に生える苔、渦巻く急流を再現した水槽や、水辺の動植物の展示、田んぼ水槽などを熱心に見ているうちに、俄然ヤル気が湧いてきたようだ。

「よし、明日水槽を買いに行こう!」

鳥羽水族館

『鳥羽水族館』は“海の広さ、豊かさ、不思議さを知っていただくための施設”。「へんな生きもの研究所」コーナーには、不思議生物がいっぱい。1869日間の絶食が話題とったダイオウグソクムシや、ガラス細工のように透明で紙のように薄っぺらなカラダでひらひら泳いでいるのは、伊勢海老の幼生だ。

住所:〒517-8517 三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
電話:0599-25-2555

鳥羽水族館 公式サイト


タラサ志摩ホテル&リゾート

朝6時にホテルを出発し『伊勢神宮』に早朝参拝するツアーをホテルで企画している。『タラソテラピー』でリフレッシュした翌日に早朝参拝に出かければ、身も心も清らかになるはず。

住所:〒517-0025 三重県鳥羽市浦村町白浜1826-1
電話:0599-32-1111

タラサ志摩ホテル&リゾート 公式サイト


いかだ荘 山上

この日いただいたのは「的矢かき料理」。生牡蠣、焼牡蠣、牡蠣の伝法焼き、牡蠣蕎麦、牡蠣フライ、牡蠣鮨、牡蠣土瓶蒸し、牡蠣ご飯、牡蠣の味噌汁…。まさに手をかえ品を変えての牡蠣づくしのフルコースだ。まったく飽きが来ることなく牡蠣を堪能できる。

住所:〒517-0204 三重県志摩市磯部町的矢883-12
電話:0599-57-2035

いかだ荘 山上 公式サイト

Audi A3 Sportback e-tron
Audi初プラグインハイブリッドシステムを実用化したプレミアムコンパクトカー。環境に配慮しながらもスポーティさは損なわない、未来のモビリティを提案している。長距離航行可能なのも魅力的だ。
Audi A3 Sportback e-tron の詳細はこちら

Art Direction : Hiroyuki Aoki (Mag) Photograph : Kiyoshi Tanaka Styling : Takahisa Igarashi Edit : Mitsuhide Sako , Eri Magara Produce : Teruhiro Yamamoto ( AERA STYLE MAGAZINE ) Cooperation : Iseshima Tourism&Convention Organization