広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局
JAISTシンポジウム2017 in 東京
主催/国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 共催/朝日新聞大阪本社メディアビジネス局
Breakthrough デザイン&テクノロジーで未来を突破する

JAIST

五感を磨き、固定観念を壊す 新たな価値が未来社会を創る
IoT※1やAI(人工知能)の進化が加速する中、デザインと最先端科学技術は未来に何をもたらすのでしょうか。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST※2)のシンポジウム「Breakthrough デザイン&テクノロジーで未来を突破する」が1月28日、東京のベルサール秋葉原で開かれました。脳科学者の茂木健一郎さんとジャーナリストの福島敦子さんをナビゲーターに迎え、研究者や企業家の講演とパネルディスカッションを展開。活発に意見が交わされた当日の模様をお届けします。 ※1「Internet of Things」の略 ※2「Japan Advanced Institute of Science and Technology」の略
講演1

「本質」を見抜く力
ー既成概念を突破し未来を切り開くー

前刀 禎明氏
元アップル米国本社副社長兼日本法人代表取締役
前刀 禎明氏
さきとう・よしあき/ソニー、ディズニー、AOLなどを経て、アップル米国本社副社長兼日本法人代表取締役に就任。iPod miniを大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを見事に復活させた。現㈱リアルディア代表取締役社長。

感性に訴えるものづくりが 新しい価値を生む

 私がアップルに入社した2004年、日本でiPodは売れていませんでした。当時の携帯音楽プレーヤー市場はMDが主流で、日本メーカーが寡占していたからです。iPodのリモコンにはMDプレーヤーにあった液晶ディスプレーがなく、パソコンの周辺機器という認識も難点でした。

 そこで私が考えたのが、iPod miniで音楽を楽しむ新しいスタイルをつくること。技術や性能を誇示するのではなく、ファッションアイテムとして売り出したのです。5色展開し、実物大のプラスチックカードを貼ったポスターを掲示して自由に持ち帰れるようにしました。カードに書かれたURLにアクセスすると、ファッションとのカラーコーディネートがわかる仕組みです。

 iPod miniは大ヒットし、感性に訴えるデザインや利用する楽しさが新しい商品価値を生んだと言われました。まさにブレークスルーです。実は感性に訴求するアプローチは、私が最初に入社したソニーが当時目指していた「心の琴線に触れるものづくり」に極めて近い。需要の創造にとどまらず、消費者が待望するアプローチで欲求を生むことが必要です。

セルフイノベーションで 自分らしく未来を創る

 新しい価値を創造するには、自分自身を変えて成長させるセルフイノベーションが重要です。大人になっても喜びを常に持つことが人を成長させます。セルフイノベーションのポイントは感じる(感性)、創る(創造力)、動かす(共感力)こと。特に五感で感じて何かを創造することが大切です。

 世の中の小さな動きから、大きな変化を想像できるかが違いを生みます。物理的には円柱の電柱を下から見上げると三角に見えるように、視点を変えることで解決策の糸口が見つかることもあります。固定観念から抜け出し、色々なことに好奇心を持ちましょう。未来は自分次第。明日の自分には無限の可能性があると信じ、セルフイノベーションとチャレンジを続けてください。

講演2

「ICTからみた未来」

丹 康雄 教授
JAIST・セキュリティ・ネットワーク領域
丹 康雄 教授
たん・やすお/2007年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授。現在、セキュリティ・ネットワーク領域長および高信頼IoT社会基盤研究拠点長。IoTに関する研究、標準化に従事。スマートIoT推進フォーラム技術・標準化分科会長などを務める。

IoTに欠かせない 三つの要素

 あらゆるものにコンピューターが内蔵され、互いに通信しているものが身の回りを囲むのはユビキタス・コンピューティングで、これは1980年代の技術です。IoTとはユビキタス・コンピューティング、インターネット、クラウドが組み合わさったもののこと。クラウドの中には高度な処理をするWeb2.0やビッグデータなどが入り、互いに連携しています。IoTの三つの要素に一社で取り組んでいるのは世界でもアップルなど数社です。IoT時代は他社と協力して経営する必要があります。

 今、IoTは過度な期待を取り過ぎた幻滅期にあると考えられます。企業や自治体が様々なシステムの実例を作っていますが、システムの不具合やセキュリティー、プライバシーなど多くの問題があることがわかってきました。課題を解決しないとマネタイズできるシステムにはなりません。

 今後はコンピューターによる人工知能の進展が継続的に進み、2045年くらいにはコンピューターの能力が人間を超える2045年問題が起きるといわれます。人の顔の認識が苦手だったコンピューターですが、今は人より優秀です。45年ごろには知的な作業もコンピューターにかなわなくなるといわれます。多くの職業で人の役割が変わってくるでしょう。

住環境をまるごと把握する ホームネットワークを目指す

 私の研究室では、ホームネットワークの分野を研究しています。家の中の家電や住宅設備機器などをネットワークにつなげ、集めた情報を元に住宅を制御します。今の日本ではネットワーク対応のエアコンが急増しています。もし悪意を持って設定温度を変えれば、ヒートショックを起こさせるなど人命に関わる事件に発展しかねません。我々は一台一台の機器の動きだけでなく、人間と同じ目線で家全体をトータルに把握できるオペレーティングシステムを目指しています。異常な動きを見分ける仕組みができてはじめて安全性を担保できると考えます。

パネルディスカッション Panel Discussion
テーマ 「デザインとテクノロジーは未来に何をもたらすか」
パネリスト
永井 由佳里 教授
JAIST・ヒューマンライフデザイン領域
永井 由佳里 教授
ながい・ゆかり/武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、造形学修士。千葉大学大学院修了、博士(学術)。2004年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教授、11年教授、現在に至る。
谷池 俊明 准教授
JAIST・物質化学領域
谷池 俊明 准教授
たにいけ・としあき/東京大学工学部化学システム工学卒。2006年~12年北陸先端科学技術大学院大学助教、13年准教授、現在に至る。材料を選ばない研究を展開し、国家・産学連携プロジェクトを多数牽引。
ナビゲーター
福島 敦子氏
ジャーナリスト
福島 敦子氏
ふくしま・あつこ/中部日本放送を経て、1988年に独立。NHK、TBS、テレビ東京などで報道番組のキャスターを担当。これまで700人超の経営者を取材。経済・経営などをテーマとした講演やフォーラムでも活躍。
茂木 健一郎氏
脳科学者
茂木 健一郎氏
もぎ・けんいちろう/東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。
コーディネーター
竹原 大祐
朝日新聞社メディアラボプロデューサー
竹原 大祐
講師
元アップル米国本社副社長兼日本法人代表取締役
前刀 禎明氏
JAIST・セキュリティ・ネットワーク領域
丹 康雄 教授
イメージ

直感力を磨きイノベーションを創出する

JAISTにおける デザインと物質化学の研究

竹原 JAISTの永井さんと谷池さんに研究内容をお話しいただきます。

永井 私の専門はデザインです。新しいことを考える創造的思考を解明しています。大事なことは、デザインは誰にでも備わる能力だということ。デザインという思考には正解がなく、だからこそ自分で実践しながら考えていくことが必要です。
 本学では、環境や生活を変えるデザインリーダーを育成しています。インドネシアの留学生は最新の技術を駆使して、天然素材の新しいデザイン製品を作っています。日本人学生は車椅子の利用者が自由に楽しく時間を過ごすためのナビゲーションシステムを開発しました。2015年には日本の木の多様性を生かした音遊び教材を開発し「キッズデザイン賞審査委員長特別賞」を受賞しました。今後は日本のどこで育った木か、履歴がわかる仕組みを作り、感動を創出したいです。

谷池 私の研究室では探索・学習・予測という三つの方法論を使い、マンパワーに依存した従来のマテリアル設計を刷新することを目標に研究しています。仮説を立証する実験には膨大な時間が必要でしたが、当研究室では実験プロセスを自動・並列化するハイスループット実験を行うことで検証を飛躍的に加速させます。実験時間が減り、新しいアイデアや予想外のものを発見できる可能性があります。また、高精度な分子モデルを構築し、コンピューターによる新規材料の予測にも取り組んでいます。最近は産業用構造材料として注目される人工クモ糸の熱に対する安定性の問題を解決することに成功しました。

ICT社会で求められる 創造性や直感力

竹原 永井さんのお話にあった皆が創造力を持つというのは本当ですか。

永井 誰もが言葉を覚えるより先に絵を描きます。生まれてからハイハイしたり、なんでも舌でなめたりすることで五感が発達していきます。そうやって感じ取ったことが創造性の原点です。

前刀 ある幼稚園で左右対称の絵しか描かない子どもがいました。整った形を器用に描くことがうまいと教えられている。こうした固定観念を壊さないと誰もが持つクリエーティビティーは出てこないと思います。

茂木 遊ぶことは大事です。動物は生後一定期間しか遊びませんが人間はずっと遊んでいる。遊ぶ時に脳のシナプス接合が変化することがわかっています。遊ぶように研究する人がよい仕事をし、結果としてクリエーティビティーが出ると思います。

丹  私の研究室では、クリエーティビティーが高い人を育てるために「白紙に絵を描ける力」を身につけさせます。と同時に、プログラミングやプロセッサーの設計など基礎的な知識をしっかり養います。

福島 経営者の取材を通して感じるのは、強いリーダーは現場を大切にしていること。ビジネスの現場、製品、顧客を観察し、色々な人と積極的にコミュニケーションを取っています。自分の五感を使って現場で得たリアルな情報を蓄積することが、イノベーションを生むと思います。

前刀 日頃から感性を磨いておかないと現場感覚はわかりません。例えば、デザインのどこが好きかを自問自答し感じようとすることで感性は磨かれる。五感で味わって食べることも効果的な方法です。

茂木 脳科学の立場から理論的にいうと、身体から送られてくる膨大なデータを自分と対話しながら使うのが直感です。今のAIはビッグデータがあることが前提ですよね。アップルの創業時にはビッグデータがなかったから、直感で進むしかない。どんなにAIが発達しても直感で判断することはなくならないでしょう。

永井 直感は自分の中で生まれるものです。それを引き出すためには、多様な人々と交わる経験が大切。それが直感を得る近道だと思います。

谷池 科学的な研究分野に携わる人は、基礎知識とともに直感力を身につけてほしいです。それがチームとして集まれば大きな力になります。

福島 JAISTの留学生は学生の41%。日本人学生も全国から集まる多様な環境で学べ、本質を見抜く力、直感力が培われると思います。

竹原 ありがとうございました。

国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学

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