林修の特別授業

lesson06 食の安全、安定供給に関わる取組

林修の特別授業

食の安全を守る

協同の力で、ブランド管理、飼料・資材の安定供給を担う

農家が大切に育てた食べ物を、安全・安心に食卓に届けます。

 第6回は、みんなの力を合わせて行う、協同組合の「食への取り組み」を紹介します。復習ですが、上川さんの毎日の「食事」、家で食べるものは、どうやって食卓まで届けられていましたか。

上川 農家のみなさんが作ってくれたものがJAの集荷場に集められ、スーパーなどに販売されて……と、いくつものステップがあるんですよね。

 そうです。消費者のニーズを踏まえた計画的な生産や収穫、集荷、運送など、やるべき仕事が多くて驚きましたね。また、品質や規格をそろえて付加価値の高い「ブランド作物」をつくり、輸出力を高めるといった新しい取り組みも各地で始まっていました。また生産、加工から生まれる副産物などを有効活用する、食品産業を含めた大きな無駄のないリサイクル(循環)が形成されています。

上川 そして、食べ物を安定的に供給するには、「どう売るか」と同時に、農家の人たちが必要な肥料・飼料などの資材を「どう買うか」も同じぐらい大事なこともわかりました。

 その通り。いずれのプロセスも、農家が個別に取り組むより、みんなでまとめて行った方が効率的でしたよね。農業協同組合(JA)の場合、農畜産物を集荷して売ることを「販売事業」、農業資材などを共同購入し組合員に提供することを「購買事業」といいます。購買事業では、みんなのニーズを取りまとめて大量に買う方が価格交渉で有利になりますし、必要なものを安定的に手に入れやすいというメリットもあります。一つ例にあげて詳しく解説しましょう。


国際的競争力を備え、飼料穀物を安定的に供給しています。

JAグループでは、飼料穀物の栽培・収穫・貯蔵・輸送などを徹底して分別管理し、安定的な供給と同時に、安全性の確保にも努めています。

 写真は、アメリカにある「全農グレイン」という会社の施設です。

上川 全農ってJAの全国組織のことですよね? 外国で何をしているのですか。

 アメリカ中西部でとれたトウモロコシ(主に家畜の飼料用)や大豆(食用油の原料など)を集め、日本などに輸出しています。この船は「パナマックス船」と呼ばれ、大体6万トンの穀物を積みこめる、とても大きな船です。

上川 想像できないくらいの規模ですね。

 船の奥にある「エレベーター」で、大体1日で6万トンの穀物を積みこむことができるんです。輸出先は日本がメインですが、近年需要が伸びている中国やインドネシアなどにも及びます。

上川 JAがアメリカにこんな大きな施設を持っているなんて想像もしませんでした。

 畜産農家が飼料となる穀物まで自分たちで育てるのは容易ではありませんし、外国のような大規模栽培が難しい日本ではコストも高くなりがちです。必然的に輸入に頼ることになりますが、個々の農家が海外と交渉するのも大変ですよね。みんなのニーズとお金を集めて、個人では難しい大きな施設を自分たちの資金でつくる。それができるのが、協同組合の特長です。また近年は、世界的に穀物の需要が高まっていますから、安全な穀物を安定的に日本に届けるために、自前の施設を持っていることは大きな意味があるといえるでしょう。

上川 日本の協同組合は、ここまで取り組んでいるんですね。

個々の農家では取り組めない規模のことが、協同組合の力でできるんですね。
世界の食料事情が大きく変化している今、日本の食を安全・安心、安定的に守る役割を果たしていますね。

今日のまとめ

日本の消費者・農家のニーズに応え、世界に負けない力を作る。それが協同組合。日本の消費者・農家のニーズに応え、世界に負けない力を作る。それが協同組合。

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