林 きょうは、JAが取り組んでいる農業の新しい発展の形について見ていきましょう。農家の人たちが仕事に使う農機具を買ったり、施設を作ったりするにはお金が必要ですね。そうした資金が必要な人に、JAが組合員、利用者から預かった貯金を融資する事業を「信用事業」と言いました。
上川 はい、覚えています。JAは、組合員の仕事とくらしをお金の面でもサポートしているんですよね。
林 そうです。現在、日本で農業に関連した融資の総額は約4.2兆円(2017年3月時点)。そのうち約6割をJAバンクが担っています。農家個々の実情に合わせたきめ細かな支援はもちろん、近ごろは農業に関わる企業を対象とした大規模な融資も増えています。
上川 もっと大きな力を合わせて、みんなで成長していこうということですか。
林 そうです。より大きな視野で農業と地域の発展に貢献しようということです。
上川 でも、お金さえ借りられれば新しい取り組みがすぐにうまくいくわけでもないですよね。
林 その通り。大切なことは、「事業の成長・拡大の段階に合わせた適切な支援」です。下の表を見てください。例えば技術力は高いものの、設立から日が浅く資金面でもまだ弱い農業法人に対しては、「事業を安定軌道に乗せる」ことが最大のミッションです。この場合、財務を安定させるための出資や、加工業者、流通業者などとの協力体制の整備をまず急ぐ必要があります。事業が安定し、拡大期に入れば必要な支援の形はまた違ってくるはずです。
熊本県宇城市で洋蘭を栽培する農業生産法人。アグリシードファンドによる出資で財務基盤が安定化、新商品の開発に着手できるようになった。新商品のボトルフラワーは、季節を問わず保存できるため、1年を通じた地域の雇用創出にも貢献している。
上川 たとえば、倉庫や加工場を大きくしたり、配送の車を増やしたり……。
林 そうです。事業の拡大は、新たな雇用や地域の活性化にもつながっていきます。まさに、JAが続けてきた「地域密着」の取り組みモデルといえるでしょう。
上川 農家以外の人たちも含めて、地域全体が元気になるのはいいことですね。
林 そう思います。近ごろ言われる「農業の成長産業化」というのは、みんなのお金や蓄積された知見、技術力などを総動員して、新しい産業の形を創ろうということです。協同組合の「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の考え方が、これからの日本の発展につながるといいですね。