林 昨年は西日本での「平成30年7月豪雨」や「平成30年北海道胆振東部地震」など、自然災害の多い年でした。望月さんも災害への備えをしていますか。
望月 はい、わが家ではいつも食料や電池を備蓄して、いざという時の連絡方法も家族で話し合って決めています。
林 それはいい心がけですね。ただ被災から少し時間が経つと、他にも必要になるものがあるんです。何かわかりますか。
望月 何でしょう、すぐには思いつきません。
林 それはお金です。たとえば避難所生活をしている人でも、数日も経てば買い足さなければならないものが出てくるでしょうし、公共料金などの支払期日がやってくるかもしれません。
望月 たしかに、いつも多額の現金を手元に持っている人はあまりいませんし、災害時ともなればなおさらですよね。
林 JAではそうしたお金の需要に応えるために、金融サービスの「移動店舗車」を被災地に派遣しています。昨年夏の豪雨被害に見舞われた広島では、JA安芸の管内に近隣のJA尾道市、JA三原、JA山口中央から金融サービスの「移動店舗車」が応援に来たそうです。
望月 その「移動店舗車」は、もともと災害の時に備えて用意しているものですか。
林 一番の目的は、近くに店舗がない過疎地域や、移動手段を持たない高齢者などに金融サービスを提供することですが、災害支援も重要な役割のひとつです。安芸では車体の側面に書かれた三原や山口といった地名を見て、他地域のJ A のみなさんがこんなに応援してくれているのかと、とても喜ぶ高齢者もいたそうです。
望月 あらためて、協同組合は「人と人との助け合い」なんだとわかりますね。
林 JA安芸管内の坂地区などでは、土砂の流入で人が住めなくなった家屋の解体が始まり、ずいぶん寂しくなった地域もあるようです。農地もかなりの被害を受けましたが、復興はライフラインが優先ですので、人々のくらしと農業がもとに戻るにはまだ時間がかかるでしょう。
望月 それまでの間、JAの金融サービスの「移動店舗車」が被災した人たちのくらしの支えになりますね。金融サービス以外にも地域のライフラインを支えるJ A の取り組みには、私も期待しています。
昨年の豪雨の被害額は水害としては過去最大
JA安芸管内では三つの金融店舗が被災
「YOYOビール」には坂地区のムラサキ麦を使用