よくわかる

林修の特別授業

テーマ
協同組合

Lesson 15 JA未来新聞

労働力確保への対応と新しい技術

農業は進化し続ける

今から10年、20年後。日本の農業は大きく様変わりしているかもしれません。ロボットやAIの進化が働き手不足解決の一助となり、農家は潤い地域はにぎわいを取り戻す。各地で始まっている新たな取り組みから、そうした明るい未来図が見えてきそうです。林修編集長と望月まりなリポーターが、農業の今とこれからをお伝えします。

無人のキャベツ収穫機。カメラの画像をAIが判断しながら実を傷つけずにカットする。
【望月リポーターへの指示】
農業を元気にする新たなテクノロジーや地域の特色を生かした取り組みを取材せよ。

露地野菜の自動収穫技術の実用化JA鹿追町

取材協力
営農部 審議役 今田伸二 さん

最小の労働力で最大の生産を

畑が広いほど機械の作業効率は上げられる。

望月編集長、今回私は北海道の鹿追町で、露地野菜の自動収穫・運搬の実証実験を取材してきました。この町では主要産品のひとつであるキャベツの出荷額が、一時期大きく減っていたそうです。高齢化などで離農する人がいると、その土地を受け継いだ周辺の農家は経営面積が広がる半面、収穫作業に必要な労働力を十分確保できなかったからです。

なるほど。複雑で手間のかかる農作業をロボットなどに置き換える取り組みは海外でも進んでいますからね。今回取材したのは、そんな状況に対応する技術なんですね。

望月そうです。自動収穫機でキャベツを収穫し、コンテナがいっぱいになったら自動運搬車で運び、無人フォークリフトでトラックに積み込む。大学やJA、メーカーなどが主体となり、研究開発をしてきて技術的にはもうそこまで可能になっています。現在の収穫機でもキャベツの切り取りは自動化されていますが、収穫機の操作や選果、運搬は人力に頼っています。この新しい技術は、収穫作業にかかる人手を半減することをめざしているそうです。

収穫したキャベツを金属のコンテナに入れるというのも珍しいですね。

望月少しでもコストを削減するためダンボールの使用をやめたんだそうです。鹿追町で生産されるキャベツは加工用が主で中食・外食に使用されており、受け入れるキャベツ加工工場などの側には、従来のやり方を変えることに戸惑いもあったようですが、しっかり話し合って理解を深め、今ではとても良い関係を築いていると聞きました。

省力化もコストの削減も、すべては農業を持続させることにつながります。産地を支え、私達もおいしいキャベツを食べ続けられるよう、新しい技術が早く実用化するといいですね。

まりなのまとめ

無人化・省力化を進めながら生産規模の拡大やコスト削減をめざす取り組みです。

山形セルリーの栽培技術の継承JA山形市

取材協力
農業振興課 課長 鈴木公俊 さん

産地をあげて伝統を未来へ

望月ところで編集長は、「山形セルリー」ってご存じですか?

セルリーはセロリですね。山形が産地というのは知りませんでした。

望月「山形セルリー」には50年の歴史がありますが、セルリーは非常にデリケートで栽培に手間がかかるため、担い手不足が進み、数年前まで生産額はどんどん減少していました。このままでは栽培技術が途絶えてしまうと、地元には強い危機感があったそうです。

それを取材したということは、現在は状況が変わってきたんですね。

望月そうです。JA山形市では、5年前に「農業みらい基地創生プロジェクト」がスタートしました。これまでセルリー栽培の経験がない人にも始めやすいよう、JAがハウス整備などを進めて人を募ったところ、既存農家だけでなく農業未経験の人からも応募がありました。今ではセルリー生産者の平均年齢はぐっと若返ったといいます。

G I 登録証

それは喜ばしいですが、栽培技術の継承はうまくいっているんですか?

望月ハウスには温度や湿度を計測するセンサーがあり、生産者はモバイル機器でいつでも内部の状況を確認できます。この仕組みのおかげで、若い生産者はベテランが温度や湿度を細かく調整するやり方を見て学ぶこともできるんです。また山形セルリーは地理的表示(GI)や地域団体商標の認証を取得し、ホームページではユニークなメニューの提案もたくさんしています。PRにもずいぶん力を入れているんですよ。

GI取得のためには、ベテランの知識や経験を「見える化」して文書などに残す必要がありますから、それも技術の保存に役立ちますね。貴重な伝統をしっかりと未来に伝えてほしいものです。

まりなのまとめ

JAがハウスの整備や最新技術の導入を進め、就農促進と伝統の継承に役立っています。

【望月リポーターからの報告】
労働力の確保や栽培技術の継承に向けて
農業の現場で進む取り組みがあります。

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