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第16回高校生福祉文化賞エッセイコンテスト 講座レポート 書く力UP↗指導法講座第16回高校生福祉文化賞エッセイコンテスト 講座レポート 書く力UP↗指導法講座

高校の先生方を対象にした「朝日新聞社 書く力UP指導法講座」が5月26日(土)、ハービスENT9階会議室(大阪市)において開催されました。第一部は、中村浩二氏(株式会社進研アド Between編集長)による「大学入試どう変わる?新テストで求められる力とは」。続いて第二部の薮塚謙一氏(朝日新聞社 東京総局長)による「書く力UP↗指導法講座」と、座談会が行われました。

主催者あいさつ

これからの高校生は18歳の段階で職業を意識し、探求心を育んで、多様な選択肢から意欲をもって自分の道を選び出すことが重要になってきます。日本福祉大学では、福祉文化創成事業の一環として「高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト《36℃の言葉。》」を朝日新聞社と共催しています。今年で16回目を迎え、高校生が社会に広く目を向け、問題を共に考える力を引き出す一助となっています。日々のご指導に本講座をお役立ていただければ幸いです。

粉川 玲子 氏 日本福祉大学 理事長・学長室長

粉川 玲子
日本福祉大学 理事長・学長室長

大学入試どう変わる?新テストで求められる力とは

中村 浩二 氏 進研アド Between編集長

中村 浩二
進研アド Between編集長

身につけたいのは、自分の意見を伝える力

2020年度に向けて大学入試改革が進められていますが、この改革の狙いは、「これからの社会を生き抜く力」を育成することにあります。具体的には、学力の3要素と呼ばれている、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を身に付けることです。

「思考力・判断力・表現力」は、今、高校や大学で取り入れられているアクティブ・ラーニングを通して養われる力だと言えます。そこでは、異なる考えに耳を傾け、自分の意見を論理的に説明することが求められます。

こうした力が必要とされている背景には、社会のグローバル化の他に、加速する就業構造の転換があります。今後、重視されていくのが「人の付加価値」です。コミュニケーション力や相手を思いやる気持ちを含め、「AIやロボットに代替されない仕事をする力」を養うことが必要とされています。

また、高校生の主体性を養うために、生徒一人ひとりの特技や部活動、ボランティア活動、取得資格などの情報をまとめた「eポートフォリオ」 の活用も進められています。自身の取り組みを振り返り、それを言語化し、蓄積することを通して自分の考えを深めていく取り組みです。

実はeポートフォリオは、多様化する企業の採用手法としても注目を集めています。学生のeポートフォリオから、学修履歴や体験といったキーワードを拾い出して採用に結びつける流れです。すなわち自分の意見や考えをしっかり表現できる力を身につけていると、人生の選択肢が広がるわけです。

高校3年間は、自分の可能性を広げる基礎づくり

では具体的に、入試がどのように変わるかについてです。入試では、学力の3要素を多面的・総合的に評価するように変わります。その変化の1つが、大学入試センター試験に代わって新たに実施される大学入学共通テストです。

共通テストの英語は、4技能評価(読む・聞く・話す・書く)となります。 国が定めた団体の資格・検定試験において、高校3年の4月~12月の間の2回までの試験結果を活用します。試験を受ける際に受検者が申告すると、試験結果とCEFR(※)の段階別成績表示が大学入試センターから大学に送られる仕組みです。また共通テストでは、国語と数学1で記述式問題が新たに導入されます。こちらはそれぞれの試験時間内で実施され、両科目とも試験時間が現行より延長される見込みです。

また、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を入試で評価することも大きな変化です。実のところ、大学側もこの「主体性・多様性・協働性」の評価には、頭を悩ませています。そのため、この点については、高校と大学がお互いに情報共有しながら、より良いやり方を探っていく必要があると言えるでしょう。

※ CEFR:Common European Framework of Reference for Languages:Learning,teaching,assessment:外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠