2020年度 新たな大学入試に挑むすべての親子に
大学入試改革により、2020年度からは大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施され、試験内容も大きく変わる予定です。国公立大学や私立大学の個別試験にも、変化の兆しがみられます。

新たに始まる大学入試で合格するカギは、正しい情報を得ることです。さまざまな憶測に振り回されることなく、確かな情報をもとに合格への第一歩を踏み出してください。
INTERVIEW

船津昌己さん

学校法人河合塾
進学教育事業本部副本部長

Vol.01

│大学入試改革を乗り切るために│
正しい情報収集で、
不安は自信に変えられる

7割以上が大学入試改革に
「不安」を感じている

 大学入試改革が、いよいよ2020年度の入試から本格化します。受験生や保護者の皆さんのなかには、入試が変わると聞いて不安を感じる人も多いと思います。
 河合塾が中学1年生から高校2年生とその保護者を対象に行ったアンケートによると、大学入試改革に不安を感じている人がそれぞれ7割以上いることが分かりました。生徒が感じる不安の理由として最も多かったのが「漠然とした不安」(40.2%)、保護者は「十分な情報収集や対策ができているか」(47.0%)でした。私立大学が定員を抑制して入りにくくなっているところに輪をかけて大学入試が変わるなど、さまざまな要因が重なった結果の不安だと思いますが、しっかりとした情報収集ができていないなかで「入試が変わる」という言葉だけが先回りした結果といえるかもしれません。
 各大学の方向性がまだ出そろっていないなかで、不安を感じるのは当然です。でも、本当に入りたい大学は、そう簡単には諦められないはずです。大学入試が変わるからと不安になり過ぎて志望校まで変えてしまうのは、挑戦する前に夢を諦めてしまうのと同じです。不安を抱えたままにせず、正しい情報をもとに対策を立て、本当に入りたい大学を目指して頑張ってほしいと思います。

Q新入試に向けての不安は何ですか?

[対象]全国の中学1年生から高校2年生の生徒とその保護者
生徒の回答(n=358)/保護者の回答(n=389)

生徒 保護者

知識を活用し、どう考え、
伝えられるか

 それでは、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」では、大学入試センター試験と何が変わるのでしょうか。一言でいうと、従来のような一問一答で答えられるような問題ではなく、さまざまな知識を複合的に組み合わせて正解を導き出す問題へとシフトします。
 大きく変わるポイントは4点です。

  • ①大学入試センター試験はすべてマークシート方式でしたが、大学入学共通テストでは記述式が一部加わります。
  • ②マークシート方式も出ますが、これまでのように選択肢のなかに必ず正解が一つあるとは限らず、適当なものをすべて選ばせる問題や、正解がない問題も出題されます。
  • ③複数の資料を読み、必要なところを素早く見抜いて解答する情報処理力も求められます。
  • ④英語に関しては、「読む」「聞く」に加えて「書く」「話す」力も求められ、民間の資格・検定試験が取り入れられます。

 つまり、これまでの「知識・技能」は大前提として、それを活用した「思考力・判断力・表現力」、チームワークをもって物事に取り組める「主体性・協働性」がより問われることになるのです。

マークシート方式はこう変わる

「適当なものをすべて選択」や「該当するものがない」というパターンが加わり、より正確な知識がないと正解を導き出せないようになっている。選択肢が3つの場合、選び方は3通りから8通りに増えるため、それだけ難易度が高くなる。

物理〈第3問B 問4〉
問4 表1から、この表中の金属について考察できることとして適当なものを、次の①〜③のうちからすべて選べ。ただし、該当するものがない場合は⓪を選べ。
  • ①金属1gの温度を1Kだけ上昇させるのに必要なエネルギーは、原子量が小さいほど大きい。
  • ②金属の温度を1Kだけ上昇させるのに必要なエネルギーは、金属原子の数が同じであれば、ほぼ等しい。
  • ③金属の温度を1Kだけ上昇させるのに必要なエネルギーは、金属の質量が同じであれば、ほぼ等しい。
※平成29年11月大学入試センター
「大学入学共通テスト 平成29年度試行調査問題」から
選択のパターンが増える!

 これらは共通テストだけに関わる話ではありません。国公立大学や私立大学の個別試験でも、思考力・表現力・判断力や記述力・論述力、英語4技能などが求められる入試に変わっていきます。主体性や協働性を重視する大学や、表現力を重視する大学など、受け入れたい学生像によって入試にも個性が出ることが予想されます。
 「主体性・協働性」というと部活動や生徒会活動を思い浮かべるかもしれませんが、新入試では社会人基礎力あるいは生きる力として捉えています。いくら勉強はできても協調性がなければ社会では通用しません。人と話すのは苦手でも、知識や意見を共有して協力し合う力は身につけようというのが今回の改革の狙いです。大切なのは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性」をバランスよく身につけることなのです。

今まで
これから

学ぶべきことは
これまでと変わらない

 そもそも、なぜ今、大学入試を変える必要があるのかご存じでしょうか。そこには、これからの社会で必要とされる力を、教育の場できちんと養っていくべきであるという国の方針があります。
 これまでは、決められたことを正しく処理できる人が評価されてきました。ですから教育の場でも、年号や人名などを暗記し、正しい答えを選ぶことに軸足が置かれていました。
 ところが、先を読むのが難しいこれからの社会は、より複雑に入り組んだ問題を抱え「こうすれば良い」という正解があるわけではありません。難しい問題に対して、大勢が知恵を出し合い、協力しながら解決策を見つけていく力が求められています。
 グローバル化も加速するでしょう。いまの子どもたちが40代、50代になる頃には、会社の半分くらいは外国人になっているかもしれません。そういう時代に活躍できるのは英語でコミュニケーションがとれる人であり、より実践的な英語力を身につける必要があります。
 今回の入試改革は、社会で必要とされるこのような力の基礎を身につける「高等学校教育」、高校までに養った力をさらに発展させる「大学教育」、その二つをつなぐ「大学入試」を一体的に捉え、日本の教育全体を変えていこうという大きな流れの一環として実施されるものなのです。
 ここまでくると教科書では足りないのではないかと思うかもしれませんが、覚えるべきことが増えたり、変わったりすることはありません。インプットは変わらないけれど、アウトプットの仕方が変わるだけなのです。
 とはいえ、自分一人では、思考力・判断力・表現力のなにが得意でなにが苦手かわからないかもしれません。学校では、先生が一方的に授業を進めるのではなく、生徒が自主的に発表する機会が増えていきます。それによって自分の得意不得意を知ることができるようになるでしょう。

正しい情報収集が合格への第一歩

 河合塾ではこうした動きに先駆けて、日々の行動をチェックして、主体性、協調性、課題解決力などを測定する「学びみらいPASS」を導入しました。各項目5段階評価になっており、学校の教科の成績が「オール5」の生徒でも、主体性で「1」が出ることもあります。職業診断では、親から医者になることを期待され、自分でも医者になろうと思っている生徒に、全く違う職種の適性が出る場合もあります。でもこれらは人格を否定しているわけでも、医者になりたい夢を否定しているわけでもありません。自分が知らなかった可能性を見つけ、未来につなげるきっかけと捉えてほしいと考えています。
 今までの偏差値評価は、欠点を見つけ、補うために活用されてきました。これからはむしろ、伸びしろを見つけ、いかにそこを発展させられるかが受験を成功に導くポイントになると思います。
 最初にも述べた通り、合格の第一歩となるのは、正しい情報収集です。受験生の皆さんには、各大学がどういう方針を掲げているのか情報収集したうえで、あらゆることに興味を持って一歩を踏み出してほしいと思います。保護者の方には、お子さんが一歩を踏み出せるよう正しい情報を入手していただき、入試が変わるからと不安になり過ぎて将来の選択肢を狭めさせてしまうことなく、きちんと応援するから志望校を貫いていいのだということを伝えてほしいと思います。(談)

PROFILE
ふなつ・まさみ/1962年生まれ。河合塾のチューターや校舎長を経て現職。受験指導や保護者および高校教員向けの講演などで幅広い実績を持つ。大学入試改革に関する教員研修も行っている。
※掲載内容は取材・作成当時のものです。

INFORMATION

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