2020年度 新たな大学入試に挑むすべての親子に
大学入試改革により、2020年度からは大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施され、試験内容も大きく変わる予定です。国公立大学や私立大学の個別試験にも、変化の兆しがみられます。

新たに始まる大学入試で合格するカギは、正しい情報を得ることです。さまざまな憶測に振り回されることなく、確かな情報をもとに合格への第一歩を踏み出してください。
INTERVIEW

藤本幸重さん

学校法人河合塾
教育研究開発本部
教育教材開発部
教育開発チーム

Vol.10

│河合塾に聞く!│
「大学入学共通テスト」最新情報Q&A

※2020年2月取材時点の内容です。

第1回の大学入学共通テスト実施まで1年と少しに迫った2019年11月、民間の英語資格・検定試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」導入が見送られ、12月には記述式問題の導入も延期されました。“変わる”と言われ続けてきたなかでの一部撤回に戸惑う受験生も多いと思います。現時点で決定していること、そして新しい入試への対策について、河合塾の藤本幸重さんに聞きました。

Q 大学入学共通テストの記述式問題がなくなったことで、試験時間や設問数、問題の形式、出題傾向などは、センター試験と同じものになるのでしょうか。
A すべてマーク式問題にはなりますが、センター試験に戻るわけではありません。 今までにない出題形式や題材の問題も出されます。

大学入学共通テストでは、「知識・技能」だけでなく、それらを活用した「思考力・判断力・表現力」がこれまで以上に問われます。その方向性に変わりはありません。

例えば、複数の情報(文章・図・グラフなど)を組み合わせて考える問題や、解答が次の設問と連動するような問題が出されます。

記述式問題導入が取りやめになったことで、国語の設問数・試験時間は、センター試験と同じに戻りました。一方、数学Ⅰ・数学Aの試験時間は、センター試験より10分長い70分となっています。こちらの一覧表を参照してください。

テスト概要と主な変更点

※変更点は下線部
Q大学入学共通テストとこれまでのセンター試験を比べて、一番異なるのはどのような点でしょうか。
A「提示された多くの資料を使いながら、知識を活用して考える問題」が出るという点です。

大学入学共通テストの実現可能性を確認するために、これまでに2回の試行調査が行われました。基本的には、来年の大学入学共通テスト本番でも試行調査に沿った出題がなされるでしょう。センター試験と異なる特徴で、主なものは次のとおりです。

【大学入学共通テストの主な特徴】
・どの教科でも、情報の収集・分析力が問われるため、問題文から必要な情報を素早く読み取り、自分が持つ知識と組み合わせることが求められる。
・一つの問題に、複数の資料が示されることが多く、教科を問わず図やグラフが多用される。
・1問目の解答によって2問目の正解が決まるような「連動型問題」など、これまでにないタイプの問題もある。


ただし、これまでもこのシリーズで繰り返し述べているとおり、形式的な変化はあっても、センター試験と学ぶ範囲は変わりません。まずは教科の基礎・基本をしっかり身につけることが必要です。

Q大学入学共通テストの英語の問題では、どんなことに気をつける必要がありますか。
Aこれまでにないタイプの問題の出され方に慣れておきましょう。

【リーディング】
試行調査の問題を見る限り、まずリーディングは冒頭の指示も含めたすべての問題文が、英語であることを心に留めておきましょう。また、大学入学共通テストでは「発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題は出さない」とされているため、それらがなくなる分、リーディングはすべて読解問題となっています。

【リスニング】
リスニングは読み上げ回数が問題によって変わります(1回または2回)。後半に出される難度が高く分量の多い問題では、1回しか読み上げられない場合もあるので、注意が必要です。

【リーディング/リスニング共通】
内容については、与えられた情報を言い換えたり整理したりする力が特に重要になります。具体的には、読み取ったり、聴き取ったりした内容を整理して表を完成させたり、「事実」と「個人的な意見」を区別させるなどの問題が出されています。配点については、リーディング100点・リスニング100点と均等となるのが大きなポイントです。なお、各大学の合否判定では、その大学ごとに配点比率を変えることができ、例えば東京大学はリーディング:リスニング=7:3、京都大学は3:1で点数を換算すると発表しています。志望大学の入試ではどのような配点比率となっているか確かめて、学習計画に生かしましょう。

Q英語は、どのように勉強すると良いでしょうか。
A リーディングは素早く英文を読み取ること、リスニングは英語の音の特徴に耳を慣れさせることを意識して取り組みましょう。

【リーディング】
リーディングは、読む文章量が多くなるため、速読力が必要になります。ひとつひとつ日本語に訳しながら読むのではなく、英語の順番のまま読んで意味が理解できるよう、読み方を意識して学習に取り組んでほしいですね。

【リスニング】
リスニングは、より自然な読み上げ方がなされるので、英語の音の特徴に慣れるために、スクリプトを見ながら単語がつながると音がどう変化して聞こえるか注意して聞く、自分で声に出して読む、といった練習をこつこつと行うことです。英語を母語としないスピーカーによる読み上げもあるので、インターネットなどを利用してさまざまな英語を聞くことも有効でしょう。英語の学習法は、Vol.9「リーディング/リスニングを攻略する方法とは」でかなり詳しく紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

Q数学でも文章の読解力が必要なのでしょうか。
A数学でも、日常生活や社会の事象を題材とした長い文章を読んだうえで解答を始める問題が出るようになります。

教科を問わず読解力が必要です。とはいっても、まずは数学の基礎を身につけて「数学の問題を解けるようになる」ことが大事です。試行調査で平均点が低かった要因には、受験生が設問の文章の長さに動揺してしまったせいもあるようです。早めに試行調査の問題を解いてみて、どんな問題なのかを知ったうえで、必要な勉強を積み重ねる進め方がいいと思います。

Q試行調査の国語の問題文では、これまでの小説や評論文とは異なる題材の問題も出されていました。大学入学共通テスト本番ではどうなるのでしょうか。
Aこれまで出されていなかった題材を用いた問題も出されるでしょう。

試行調査では、契約書や著作権に関する法律など実用的な文章や、これまでセンター試験では出されていなかった詩とエッセイを題材とした問題が出されました。大学入学共通テスト本番でも、現代文の問題は近代以降の論理的な文章、実用的な文章、文学的な文章から出題すると公表されています。さらに、法律文と論説文の組み合わせなど、複数の異なる題材による出題も予測されます。文学的文章は小説だけでなく、詩やエッセイ、俳句や短歌などバラエティーに富んだものになるでしょう。早いうちから、多様な文章に慣れておくことが必要です。

Qセンター試験の過去問題集はもう使えないのでしょうか。
Aこれからも利用できます。ただし、それにプラスして、先述のような新しいタイプの問題形式や題材に慣れておくことは大切です。予備校の講習や模試などを活用してみましょう。

すべての問題が大きく変わるというわけではなく、センター試験と同じような問題も出されると予想していますので、過去問の学習は生かせます。2020年度センター試験では、大学入学共通テストで出題されそうな新傾向の問題も出されました。

英語(リーディング)に関しては、「発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題は出さない」とされており、センター試験と同じ形式では出されない問題もあります。また、国語の複数の題材、数学の日常生活を題材にしたような問題は過去問にはありません。なるべく多く、新しいタイプの問題形式や題材に触れておくことが有利になります。予備校の講習や模試などを利用することをおすすめします。

Q今年は民間の英語の資格・検定試験を受けなくてもいいのですか。
A個別試験で利用する大学もあります。

「大学入試英語成績提供システム」見送りを受けて、それぞれの大学が改めて対応を発表しています。新たに英語の資格・検定試験の活用を決めていた大学の多くは、「大学入試英語成績提供システム」の導入見送りを受けて英語資格・検定試験の活用そのものを取りやめました。一方で、以前より英語資格・検定試験を活用してきた大学を中心に、資格・検定試験の受験が必要または利用可能な大学があります。

各大学のホームページや文部科学省「大学入試英語ポータルサイト」に各大学の対応一覧があるので、志望校については確認しておくとよいでしょう。

民間の英語資格・検定試験だけでなく、各大学の対応はまだまだ流動的です。こまめに各大学のホームページをチェックした方がいいでしょう。

QAO入試や推薦入試もルールが変わるのですか。
A学力を確認する評価方法が必須になり、スケジュールも変わります。

AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」と名称も変わって、それぞれ学力を確認する何らかの評価方法を取り入れることが必須になりました。出願と合格発表の期日も後ろ倒しになっています。高校側で記入する調査票も新たな書式になり、学校生活の中身が問われます。ただし評価方法は大学によって細かく異なるので、これも大学ホームページなどからの情報収集が必要です。

Q今後、大学は何を観点に選べば良いでしょうか。
A入試を大学からのメッセージと考えましょう。大学の思いと、自分がなりたい姿が一致している大学を選べると良いですね。

大学によって試験科目や配点比率などが異なりますが、それは大学がどういう力を持つ学生に入ってきてもらいたいかというメッセージでもあります。偏差値で選ぶのではなく、「こういう人が欲しい」という大学の思いと、自分が「こうなりたい」という姿が一致するところに入学するのが一番でしょう。その上で、得意科目が生かせる入試かどうか。その順番で候補を絞っていくのがいいと思います。

また、「こういう人が欲しい」「こういう人に育てたい」というメッセージは、大学が策定・公表している三つのポリシー、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)、ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に記載されています。ぜひ大学のホームページで確認しましょう。

Q入試までのスケジュールはどうなっていますか。
A大学や大学入試センターから発表される最新情報をチェックしましょう。

「大学入試英語成績提供システム」導入と記述式問題の導入が見送られ、2020年度(2021年度入学者選抜)入試の各大学の入試内容もまだ不確定なところがあります。今後発表される各大学の入試情報、共通テストの受験案内などを確認する必要があります。新高3生が受験する、2020年度(2021年度入学者選抜)入試のスケジュールは下記の通りです。

全体として、以前よりずっと情報収集が大切になってきています。「主体的に」入試に挑み「情報を整理する」力を発揮する必要性は、もうそこから始まっているといえるでしょう。受験勉強と並行して情報収集をするのは大変だとは思いますが、自分で大学から発信される情報をチェックしたり、予備校を利用したり、この1年間を有効に過ごしてください。

2020年度(2021年度入学者選抜)入試スケジュール

PROFILE
ふじもと・ゆきえ/河合塾横浜校などで校舎運営、生徒指導に携わった後、教育教材開発本部で指導カリキュラム策定、教材・模試開発を担当。2016年から現職にて、高大接続改革に関連したアクティブラーニング、各教科で求められる思考力の分析、大学入学共通テスト試行調査分析・発信などを推進している。

INFORMATION

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