2020年度 新たな大学入試に挑むすべての親子に
大学入試改革により、2020年度からは大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施され、試験内容も大きく変わる予定です。国公立大学や私立大学の個別試験にも、変化の兆しがみられます。

新たに始まる大学入試で合格するカギは、正しい情報を得ることです。さまざまな憶測に振り回されることなく、確かな情報をもとに合格への第一歩を踏み出してください。
SPECIAL TALK

下松淳子さん

学校法人河合塾
教育イノベーション本部
教育企画開発部部長

守屋佑真さん

学校法人河合塾
英語科講師

Vol.03

│大学入試改革で英語はこう変わる ①│
英語4技能で
問われる力とその対策

実践力としての
「読む」「聞く」「書く」「話す」

下松 2020年度から新たな大学入試が始まるのに伴い、英語の試験も大きく変わります。変わるポイントの一つに、これまでは「読む」「聞く」の2技能の評価に重点が置かれていましたが、新入試では「書く」「話す」も含めた4技能で評価される点が挙げられます。
守屋 そうですね。4技能というと、多くの人は「読む」「聞く」という2技能に、「書く」「話す」という2技能が足されたものと考えるのではないかと思いますが、実はちょっと違います。新入試では、それぞれの技能が切り離されたものとして問われるのではなく、互いに関連し合ったものとして問われます。ですから、技能の種類が増えるというより、深めるというイメージを持っていただいた方がわかりやすいかもしれません。

4技能は関連し合っている

下松 従来のようにそれぞれの技能を独立して学習するだけではなく、総合的に学ぶ必要がありますね。
守屋 その通りです。ただ単に英文を読むだけではなく、その英文が耳から入ってきたらどう聞こえるのか、発音したらどうなるのか、読むことはできても書くことはできるのかといった、他の技能との関連・統合を常に意識することが大切です。
下松 覚えたことを覚えたままにするのではなく、実際に使ってみることで知識がより定着しやすくなりますからね。読み上げられた英文を書き出してみたり、単語のつながりを意識しながら発音してみたりするだけでも違います。また、長文素材のWords数が多い場合では、全体にすばやく目を通して要旨を把握したり(スキミング)、キーワードを拾いながら要点を押さえたり(スキャニング)する手法も必要になってきます。4技能を総合的に学ぶ場合には、まずは文字ベースでインプットとアウトプットを行う「読んで書く」、音声ベースでインプットとアウトプットを行う「聞いて話す」ような学習が大切だと伝えています。「聞いて話す」ことは推敲(すいこう)する時間がない分、難しく感じるかもしれません。英語を「聞いて話す」練習をする場合(シャドーイング)、ナチュラルスピードの音声をたくさん聞いてトレーニングすることで慣れていくことができますので、意識して取り組んでほしいと思います。
守屋 今回の教育改革によって、これまで受験生にとって比較的優先順位の低かった音声に大きな比重が置かれるようになっていきます。語彙(ごい)学習で言えば、単語一つ一つの発音を覚えることも大切ですが、これからは話すことまで意識して単語を身につけていく必要が出てきた、ということです。知識が単体であるとしたら、新入試で主に問われるのはその組み合わせです。何か一つのことができたら大丈夫という発想は、もはや通用しないのです。

学校の授業と新しい入試問題の間に
ギャップはあるか

下松 河合塾が中学1年生から高校2年生の親子500組を対象にアンケートを実施したところ、新しい入試の中でも英語の試験に対して、さまざまな不安を抱えているようです。4技能をいかに向上させていくかも不安要素ですが、生徒・保護者ともに「学校の授業と入試問題とのギャップ」に不安を感じている方が多いという結果でした。

Q
英語について不安を感じる原因は
何ですか?(複数回答)

[対象]全国の中学1年生から高校2年生の生徒とその保護者 
(n=500)

生徒 保護者

守屋 高校や中学校の英語教育も変わり始めていますが、教える側も今までのやり方をどの程度変えたらいいのか、どう指導していくのが正しいのかで悩んでいる部分はあると思います。それが生徒や保護者の不安につながっているのかもしれませんね。
下松 そうですね。でも、大切なのは4技能の素地を養ったうえで、将来的に英語を使って何ができるのかということです。試験の変更点だけを見て不安になるのではなく、まずは教科書で使われている語彙をしっかり身につけ、自分なりに活用できるようになることが第一だと思います。学校での日頃の学習の積み重ねが大切であることは、どの試験を受けるにしても必ず根底にあるので、そこはきちんと押さえておくべきだと思います。
守屋 おっしゃる通りですね。4技能といわれると今までになかった学習が登場してきたように思えますが、今回の入試改革で求められているような、実際に使う場面を想定した英語の学習指導は、優れた教師ならこれまでもしてきたことです。語彙、文法、読解という従来の学習方法が不要になるわけではありませんし、まったく異質の技能が求められるようになったわけでもありません。それでも学校の勉強だけでは不安が拭えないのであれば、民間の資格・検定試験を活用して力をつけていくのも一つの方法です。詳しくは次回お伝えしますが(11月公開予定)、民間の資格・検定試験には4技能がバランスよく取り入れられています。資格試験のために学ぶというより、資格試験で学ぶというスタンスに立ち、学校での勉強の価値を再発見する機会にもできるといいのではないでしょうか。

4技能を磨く教材は
身近にたくさんある

下松 受験を意識するようになってから、英語に苦手意識を持ち始めるケースもありますね。
守屋 楽しいコミュニケーションツールだったはずの英語に「理屈」が入ってくると、多くの生徒にとってはハードルに感じられます。とはいえ理屈や理論はどこかで通過しなければなりませんから、避けて通ることはできません。その場合は環境を変えるといいと思います。
下松 たとえばどんなことでしょうか。

守屋 映像コンテンツでも構いませんし、塾や予備校でもいいと思います。一度苦手意識を持ってしまうと、それを打破するのは至難の業ですが、少し見方を変えるだけで「なんだ、こんなことだったのか」と気づく柔軟性があるのも中高生のいいところです。ピーマンが苦手な子どもに、無理矢理ピーマンを食べさせようとしても口を閉ざしてしまいますが、わからないように細かく切って料理すれば食べられる。それと同じことです。「苦手」や「嫌い」というのは、自信を失ってしまった状態のことですから、映像コンテンツや塾・予備校なども活用して、もう一度「できる」という経験を積むことが大切です。保護者の皆さんには彼らが自信を取り戻せるようサポートしてあげてほしいと思います。
下松 同感です。それから逆もありますよね。これだけ英語が注目されるようになると、「英語ができなくてどうするの」とプレッシャーをかけられてしまうことがあります。でも、英語は他の教科に比べて身につけたことを日常で実感しやすいというメリットがあるので、楽しみながら学習できると思います。たとえば、レストランに英語で書いてあるメニューがあったら挑戦してみるとか、動画サイトで海外発信の映像を見てみるとか、英語を学ぶツールは身近にたくさんあります。ぜひ活用しながら英語4技能の学びに役立ててください。

●英語4技能を測る「民間の資格・検定試験」については、次回詳しく解説します。

PROFILE
  • くだまつ・あつこ/河合塾広島校、大阪の教務部にて生徒指導を行い、教務本部 教育教材開発部では英語科、数学科チーフとして全国カリキュラム策定や教材開発を推進。2016年より現職。英語4技能を中心としたグローバル教育、アクティブラーニング、学力スタンダード、「ひらく日本の大学」などの大学調査に取り組んでいる。
  • もりや・ゆうま/一般入試のみでなく、英語重視型入試指導にも長けた人気講師。英語資格検定試験に関する教員向け研修も行う。一人ひとりの学習状況をふまえた質問対応や軽快な語り口の授業で生徒から高い信頼を得ており、現役生から高卒生まで幅広い志望・学力層の授業を担当している。
※掲載内容は取材・作成当時のものです。

INFORMATION

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