2020年度 新たな大学入試に挑むすべての親子に
大学入試改革により、2020年度からは大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施され、試験内容も大きく変わる予定です。国公立大学や私立大学の個別試験にも、変化の兆しがみられます。

新たに始まる大学入試で合格するカギは、正しい情報を得ることです。さまざまな憶測に振り回されることなく、確かな情報をもとに合格への第一歩を踏み出してください。
INTERVIEW

稲木 博さん

学校法人河合塾
教育コンテンツ本部
教育教材開発部
部長

Vol.05

│最新の試行調査を徹底分析│
大学入学共通テストに向け、
教科ごとにやるべきこと

出題は改善されたが、問われる力は変わらない

 「大学入学共通テスト」の出題形式や難易度、採点方法などを検証するため、これまで2回にわたり高校2・3年生を対象にした試行調査が行われています。第1回試行調査(2017年11月実施)については、本シリーズ2回目で詳しく分析結果を紹介しました。今回は、第2回試行調査(2018年11月実施)の分析結果をお話しします。
 第2回試行調査では、基本的に第1回の方向性はそのままに、課題となっていた問題量や難易度などが調整されました。また、正答率が低かった記述式問題に対しても受験生が解答しやすいような改善がみられ、全体として平均得点率5割程度をめざしたものとなりました。
 ただし、こうした変更がみられたとはいえ大学入学共通テストの本来のねらいに変わりはありません。第1回、第2回の試行調査のいずれも、以下の3つの力が各教科に共通して問われています。

  • 1. 知識を活用して考える力
  • 2. 複数の資料から必要な情報を見極めて比較・判断する力
  • 3. 問題の意図を読み取ってわかりやすく表現する力

 こうした力を身につけるために大切なことは、主体的な学習です。たとえば、知識を活用して考える力を養うには、普段からそれぞれの教科が身近なところでどう関係しているかを考える姿勢が必要です。数学を数式の世界だけで、歴史を過去の話だけで捉えるのではなく、いかに日常生活と結びつけられるかという視点が大切です。
 複数の資料から必要な情報を見極める力にしても、「何が読み取れるのか」「他の見方はないのか」「別の資料との共通点や相違点はどこか」といった視点を持ちながら、さまざまな図表やデータに触れることが大切です。同様に、文章で示された内容を表や図にまとめるのも有効でしょう。

まずは基礎学力をしっかり身につけて

 記述式問題や、マークシート方式で選択のパターンが増えるなど、これまでとは違う形式で出題される問題もありますが、まずは形式にとらわれず、ベースとなる知識・技能の習得をめざすことが第一です。対策問題も、最初から複数の資料を扱った問題を解こうとするより、一つの資料を題材にした問題で練習を積む方が着実です。基礎がしっかりしていれば、次のステップに進んでも理解がしやすくなります。
 教科ごとの具体的な対策については、以下を参考にしてください。

模試を活用して新しい出題形式に慣れる

 学校の授業では、今後さらにグループ学習やディスカッションの機会が増えていくと思います。こうした学習は、自分の考えだけではなく、他の人の考えや見方を理解し、さまざまな視点を養ううえでとても大切なトレーニングになります。積極的に取り組むようにしてください。
 模試も大いに活用できます。河合塾の模試は新入試を想定した新しい切り口の問題も出題しています。また、個人成績表に「知識・技能」「思考力・判断力」「表現力」を測定・評価する欄もあり、全国のライバルと比較した評価を確認できます。強みを伸ばし、弱点を克服するツールとなるのはもちろんのこと、目の前の受験対策としてだけではなく、その先に広がる未来への羅針盤としても大いに役立ててほしいと思います。

河合塾全統模試 個人成績表の例(一部抜粋)
棒グラフ:平均得点率(%) :あなたの得点率(%)
※実際のレイアウトとは多少異なります。

 また、第1回試行調査では、自己採点の難しさも課題になりました。大学入試センターの分析によると、記述式問題における「自己採点」と「実際の採点結果」の一致率は、国語が約7割、数学が約9割でした。完全一致は難しいとしつつも、第2回試行調査では採点基準が複雑にならないような改善がみられました。
 自己採点の結果は志望校の選択に大きく影響します。受験生は、自分がどのような記述をしたかわかるようにしておかなければなりません。自分の解答を問題冊子にメモしておく時間を確保する必要があることも覚えておいてください。

大学入試の「先」を見据えて

 2030年ごろには、人類史上5番目の新しい社会が到来するといわれています。それが、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続き、ビッグデータやAI(人工知能)などの技術がいっそう進展した「Society5.0」と呼ばれる社会です。文部科学省では、来るべき新時代に向けて取り組むべきこととして、①多様な学習の機会と場を提供し、②すべての児童生徒が基礎的読解力・数学的思考力や情報活用能力を習得するとともに、③文理分断から脱却することを掲げています。
 これまでは「国語」「英語」「数学」など、教科ごとの学力を測ることに主軸が置かれていましたが、これからは「教科を超えた力」が問われることが増えるでしょう。文系の学生でもグラフやデータを分析・判断する力が必要になりますし、理系の学生でも文章を読み論理的に表現する力が、これまで以上に必要になります。
 今、皆さんが伸ばそうとしている力は、大学に入学し、社会に出てからも確実に必要になる力です。そのことを忘れずに、受験という目の前の壁を乗り越えてほしいと思います。(談)

PROFILE
いなぎ・ひろし/1986年河合塾入塾。河合塾名駅校にて、高校生・高卒生の生徒指導を行った後、教務本部、中部地区教育部、教育教材開発部、メディア教材開発部を通じて、すべての教科の教材開発・模試作成を推進。その他、カリキュラム構築、時間割配置、教育関連コンテンツ研究・開発を担当。2018年より現職。
※掲載内容は取材・作成当時のものです。

INFORMATION

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