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05月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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教育学者/明治大学文学部教授 / 齋藤孝さん

教育学者/明治大学文学部教授
齋藤孝さん

混沌とした時代を生き抜くために「メンタルの強さ」を

 コロナ禍に加え、デジタル化の加速、昨今の世界情勢など、社会はますます混沌としています。こんな時代を生き抜くために、今求められるのは「メンタルの強さ」ではないでしょうか。それは、どんなことがあっても平常心を保てる「胆力」と言い換えてもいいかもしれません。溢れかえる情報を取捨選択し、熟慮の上、行動につなげる——。次世代の若者に求められるこうした資質は、まさに「胆力」の上に成り立っています。まず湧き上がるエネルギーがあって、その先に語学力やITスキルといった専門知識の習得というチャレンジが成り立つのではないでしょうか。

 アフターコロナの世界は、大学のデジタル化も加速するでしょう。これは日本の人口減社会を生き抜く上でたいへん重要なことです。ただ、私はこんな時代こそ、大学で「本」と出合ってほしいと思っています。読書という体験は、人格との出会いです。デカルトやニーチェといった偉大な先人たちと向き合い、精神の文化を引き継ぐこと。読書にはそんな意味があると思います。まさに、「読む力」が問われる時代です。

 精神文化の継承という意味において、大学の「建学の精神」を知ることは、読書体験に似ています。心は常にうつろうものですが、精神は変わりません。各大学が創立時から継承してきた教育姿勢を理解する上で、志望大学の「建学の精神」をしっかり読んでみることは大いに意味のあることです。

 今、世界は不穏な空気に覆われています。ここで、ただ不安になるより、世界情勢を“自分ごと”として直視する姿勢が重要です。世界と日本の歴史、文化を理解し、平和のために自分に何ができるかを考えることで、現実と向き合うエネルギーが得られるはずです。これは前述した「胆力」や「読む力」を鍛えるヒントにもなるでしょう。日々の新聞などにも目を通しながら、世界と向き合うことで、大学で学びたいテーマが見えてくるかもしれません。

 大学4年間は、自由に学び、探究できる人生においてかけがえのない時間です。そして、学生時代に出会った仲間は、一生ものの財産になっていきます。『星の王子様』で知られるサン=テグジュペリも「真の贅沢とはひとつしかない。それは人間関係というものだ」と述べています。大学で本と出合い、仲間や先生と大いに対話をしながら、自分の世界を思う存分広げてほしいと思います。(談)

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